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「家賃以上の差がでる、路面店と2階店舗の売上差」 (第12回)

路面店はどれだけ得か?


売上は、地下や2階以上に位置する店舗より、路面店の方がよいのは周知の事実だ。
視認性が高く、さまざまなアピールがしやすいことは、商売をする上で最強の武器となる。
ところが路面店は、家賃はもちろん、保証金など、すべてのコストが高い。
そのため、「売上は期待できるけど、手を出せない」ということも多い。

しかし実際に、路面店とその他の階の店舗での売上や家賃の差を実際に比較できることは少ない。
今回は、同じタイプの店舗を2階と路面店に出店した焼肉店オーナーの話をベースに、どれくらいの差があるのかを比較していきたい。


家賃1.8倍、取得費2.5倍


今回話を聞いた2つの焼肉店は、大型地方都市のターミナル駅から、徒歩5分程度のところにある。
駅を起点に、真逆に位置する。
店名をはじめ、商品構成や価格はまったく同じ。
どちらも20坪程度の広さで、席数は28席と32席。
どちらも、駅から住宅地に向かう通りにあり、人通りは多い。
ファミリー客をターゲットに、産地直送の和牛の他、黒豚や地鶏なども扱い、品質第一を心がけている。

オーナーはすでに居酒屋を2店舗経営していたが、新しい展開を考え、焼肉店をオープンした。
「仕入れルートは確保されていたのですが、一定以上の仕入れ数をキープしたほうが、価格的なメリットを得られたため、最初から2店舗目を間もなくオープンする計画でした」と話す。

物件はほぼ同じ時期に見つかったが、どちらも他業態の飲食店が営業しており、より早く撤退予定だった路面店を先にオープンすることになった。

2つの物件のオーナーが違い、最初に提示された賃料には約2倍以上の開きがあった。
だが、熱心に賃料の交渉を行い、結局、路面店は2階店舗の1.8倍程度の賃料にまで抑えることができた。

「実は、利益予測の差を考えれば、家賃の2倍程度の差は当然と考えていた部分もあったのですが、交渉が思いのほかうまくいき、どんどんと賃料が下がっていきました。
ただし、物件を契約するためにかかった取得費用は、2倍以上の差があります。具体的には2.5倍くらいかかっています」

物件取得には、保証金や敷金のほか、礼金などが含まれる。
相場のある家賃と違い、大家の裁量で決まるこの費用は、大きな差がでるものだ。
保証金や敷金は、ある程度の償却はあるものの、いずれは返ってくるコスト。
しかし、自由に活用できないこの費用はできるだけ低く抑えるのが賢明だろう。


オープン景気は無関係


先にオープンしたのは路面店だったが、作成したチラシなどには、「間もなく開業予定」として、両店の情報を載せた。
2店舗目もすでに物件取得済みだったが、1店舗目が軌道に乗り、安定してからのオープンの方が失敗ないとの読みから、そのまま手をつけずにいた。

路面店は事前の告知をほとんどしなかったため、オープンから1週間は客足が伸びなかったが、だんだんと来客数も増え、客単価も予想以上に高く、順調な滑り出しを見せた。

オープンから2ヵ月。
堅調な業績に気をよくしながら、いくつかの内装の改善点を踏まえつつ、2号店の工事を始めた。
人員は、1号店で余分に採用し、オープンまでにトレーニングを完了させる計画を立て、オープン景気に対応できるよう準備を整えた。

2階店舗の2号店は、事前に1号店で告知していたことと、オープン記念の格安サービスを実施したため、オープン日から大盛況となった。
店舗に上がる階段には列ができ、1時間以上の待ちがあることを伝えても、列が途絶えることはなかった。

ところが開業から2ヵ月程度経つとオープン景気が終わり、売上が落ち着いてくる。
これからが本番と思っていたが、2号店の売上は、「落ち着く」という程度のものではなかった。


キャンペーンの効果にも差


結局、開業から1年が過ぎ、現段階の売上の差は、家賃の1.8倍を越える差があるという。

「週末の売上はほぼ同じなのですが、平日の差が大き過ぎるため、トータルすると大きな差につながります。
その差を埋めるため、2階店舗の方には看板を変えたり、大きな置き看板を用意し、いろいろな店舗限定サービスを実施していますが、結果にはつながっていません」

季節ごとに行うキャンペーンも、効果があるのは路面店で、「2階店舗はあまり変化がない」という。売上アップのための手法を探し続けているというのが本心のようだ。

2階店舗のオープン景気の影響があるため、まだ年間売上や利益の正確な差は算出できないが、「次に店を作るときには絶対路面店にしたい」と言う。

もちろん、これは一例に過ぎず、実際には店舗を取り巻く環境が違うため、誰でも同じ結果につながるというわけではない。
また、業態によっては、階数に影響を受けにくいものもある。
ただ、他に比較した例は少ないため、ひとつの目安にはなるのではないだろうか。

導入部分での2.5倍の差は、誰でもがまかなえる差ではない。
毎月発生する賃料にしてもそうだ。
ただ、それにともなって得られる売上という結果は、単純に比例するものではなく、より大きな違いとなってでてくることは認識しておくべきだろう。


■コラム
2階や地下の店には、子どもが少ない?

今回取材したオーナーから、面白い傾向があることを聞いた。

2階や地下の店舗は、子どもが圧倒的に少ないというのだ。
この傾向は、今回の焼肉店に限らず、これまで働いてきたいくつかの飲食店のほとんどで共通しているというのだ。

「子連れをあまり歓迎しないようなお洒落なレストランでも、路面店だと家族で利用する人が多く、手を焼くことも少なくなかったし、逆に子ども歓迎のファミリー居酒屋でも、地下の店は大人がほとんどで、子どもがくると目立っていました」

たしかに、子連れで利用するには、店内が見える方が安心できるし、手軽な印象がある。
行きなれた店やチェーン店であれば別だが、どんな店かわからない2階や地下の店舗にわざわざ行くのは面倒で、最初に足を踏み入れるキッカケがない。
そういったことがこの傾向につながっているのだろう。

この傾向を利用すれば、子どもを歓迎しないのであれば、あえて路面店を避けるのも正しい判断となるだろう。

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