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チェック機能が働かなかった、夫婦での物件探し (第44回)

【地元に帰って独立したい】

 物件探しは時間がかかる。故に、パートナーに物件探しを手伝ってもらう
ケースがある。今回は、そんな例を紹介したい。
 高見優子さんは、山形県出身。東京の大学に進み、15店舗ほどの居酒屋を展開する外食チェーンに就職。上司だった哲平さんと結婚した。「いつか独立したい」と、2人は懸命に働き、節約をして資金を貯めた。独立が具体化する頃には、実家である山形での独立を考えるようになっていた。
 ついに決断の時を迎え仕事先に話すと、優子さんは1ヵ月後に、責任ある立場にあった哲平さんは3ヵ月後に退職することが決まった。



【妻が気に入った物件を契約】

 店のコンセプトやメニュー作りなど、すべてを取り仕切るのは哲平さんだったが、少しでも早い開業を目指し、先に退職した優子さんが、実家に帰り物件探しを始めることとなった。高見さん夫婦は、何度も話し合いをしプランを練って、イメージを共有した。
 退職した優子さんは、翌日には実家に帰り、物件探しをスタート。1週間程で十数軒を見て、その中から気に入った物件を2軒に絞った。さっそく電話で「A物件は、天井も高くて間口が広く、駅からも近いので一押し」と、興奮気味に報告。「B物件は?」と聞いたが「条件には合っているかもしれないけど、A物件にはかなわない」と伝えた。
 3日程して、哲平さんも山形に足を運んだ。時間のない中、物件を見に行ったが、優子さんが矢継ぎ早に話をし、不動産屋も口をはさむ余地がない程。電話で聞いた説明で、ある程度のイメージができていた哲平さんだったが、実際に訪れたA物件はイメージと異なり「B物件の方がいいのでは」と思った。しかし、A物件に心酔している優子さんを見て、「そんなに気に入っているのなら、A物件の方がいいのだろう」と、その日のうちに契約し東京に帰った。



【売上げ不振で予感的中】

 3ヵ月後、哲平さんが退職する頃には_新宿にあってもかなりオシャレな居酒屋_が完成した。タウン情報誌などにも紹介され注目を集め、来店したお客は皆感動を口にした。が、客足はいまひとつ伸びない。
 携帯電話を使った会員登録や駅前でのクーポン配布など、積極的に行ったが、固定客の確保にはつながらなかった。
 哲平さんは、その苦しい業績を見て思った。「予感は的中したノノ」と。
 実際に物件を見た時に感じたイメージとのズレに目をつむり、熱くなっているパートナーの意見に流されてしまったことを後悔した。確かにビルは新しかったが、周りの雰囲気に調和しているとは言えなかった。赤ちょうちんのような気軽に立ち寄れる居酒屋や定食屋がいくつかある中に、ポツンとオシャレな店ができても、なかなか利用してはもらえない。営業時間を延ばそうにも、地域がら23時を過ぎて営業している店はほとんどなく、人通りもなくなってしまう。



【思い込みが生んだ失敗】

 このケースでは、最終決断を下したのは経営者である哲平さんだったが、先に探し始めた優子さんの想いが先行してしまい、冷静な判断を下すことができなかった。
 理想的には、先に物件を探した優子さんと、後から見に行った哲平さんがそれぞれ、物件や周辺の状況を確認し、ダブルチェックすればよかった。だが実際には「最終判断は哲平さんが下すから」と感情の赴くまま、好みだけで選んでしまった優子さんと、すでにチェックをしているものと思い込んだ哲平さんで、結局ノーチェックのまま決断に至ってしまった。
 時間のかかる物件探しを、誰かの手を借りてやること自体が間違っているのではない。ただ、経営者として最終判断を下す前に、自分で納得がいくまで調査することが大切なのだ。なぜなら、失敗して一番苦しむのは自分自身なのだから。




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