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トラブルの種がある物件は、 魅力的でも、契約に値せず。 (第57回)

【元繁盛店の空き物件】


 千葉県でも、東京への交通の便が良い場所は「千葉都民」が多く住み、駅前商店街が活況なところも多い。
 居酒屋で調理担当として働くAさんは、学生時代からその駅が活動拠点だったこともあり「店をやるならココ」と決めていた。そろそろ独立も視野に入れ始めた頃、駅前商店街のビル3階に空きがあることを知った。そこは以前にも居酒屋があり、Aさんも何度か訪れている。立地の良さも手伝って、満席のことも多かった。その物件が空いているとなれば、飛びつかずにはいられなかった。



【居酒屋だけには貸さない】


 通常ならこれだけ好条件の物件は、前の契約者が明け渡す前に次の契約者が決まるのだが、Aさんは「テナント募集」の張り紙を見た。こういった場合は、家賃が高いなどの理由が絡んでいる。
 Aさんが張り紙の不動産屋に連絡すると、最初に質問されたのは「何を販売する店舗ですか?」だった。「飲食店です」「具体的には?」「居酒屋です」そこまで言うと、不動産屋の声のトーンが下がった。何でも大家は、飲食店はよくても、居酒屋のように酒をメインとする業態は「NO」ということだった。飲食店全般がダメであれば諦めもつくが「居酒屋だけがNO」であれば脈は有り。そう考えたAさんは、説得にかかった。
 話を進めるうちに、大家は居酒屋に対する拒否感が強いことを知った。しかし、不動産屋経由で理由を聞いたが、明確な理由は出てこない。不動産屋も「とにかく居酒屋はNO」とだけ指示をされているとのことだった。
 物件は1階が花屋、2階が美容室、3階が空き物件で、4〜6階が事務所という雑居ビル。専用階段があるわけでもないので、3階でやっていけるのは、居酒屋が現実的。実際、前の店舗も居酒屋だった。それなのに、なぜ?



【トラブルを抱えた物件はNO】

 何度か足を運ぶうちに、1階の花屋の店長からその理由を聞くこととなる。
 前の居酒屋は、開業から10年近く経っていた。特に大きなトラブルはなかったが、ある朝花屋が出勤すると、エレベーターや階段が汚物にまみれ、とんでもない状況に。大家から居酒屋店主に連絡をしたがつながらず、結局、大家が掃除をすることになったそうだ。居酒屋は夕方からしか開けないため、早朝に連絡がつかないのはやむを得ない。が、大家の怒りは収まらず、文句を言おうと出勤を待った。事情を知らない居酒屋は「店じまいをして帰る時には、階段もエレベーターもキレイだった。
「うちのお客ではないのでは?」と言ったそうだ。大家は怒り心頭で文句を言い、売り言葉に買い言葉で契約更新をしないことになったらしい。
 一部始終を見ていた花屋は言う。「あれだけの惨事になっていれば、居酒屋の人も退勤後に階段を下りてくることすらできなかったはずで、さらに踊り場に下げた看板にも汚物があったため、クローズ後にやられたのは間違いなく、もしかすると酔った人がトイレを探してビル内に入りあの惨事になったのではないか」とのことだった。
 大家はこの一件で、「絶対に居酒屋には貸さない」と決めたのだそうだ。こうなって一番困るのは、何かトラブルがあった時、冷静に考えれば違う理由があっても「居酒屋が悪いに決まっている」と決めつけられてしまうこと。
 不動産屋によれば、大家は年を追うごとに頑固になっていて、人の話を聞かなくなっているそうで、この一連の話を聞いて、妙に納得したらしい。
 Aさんは、誠意を尽くして信頼を得る方法もあったが、長い付き合いになることを考え「トラブルの種があることを知って、わざわざ契約するのはリスクが大きい」と、その大家に関わることを諦めた。
 開業するからには、なるべく長く商売を続けたい。そのためには、最初からマイナス要素があるような物件は、避ける方が賢明だろう。




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