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分かっていながら過信した? メールを使った物件探し (第56回)

【ネットで物件探しはもはや常識】


 情報化社会と言われる今、飲食店もインターネットを使った情報発信が欠かせない。ホームページが あるのは当たり前。ブログやツイッター、フェイスブックと、数多くのツールを使いこなすのも、売上げアップの必要条件となった。
 Aさんは、元々ITエンジニアとして働いていた。が、激務に耐えかね退職。以前から興味があった居酒屋に転職した。店長はAさんの経歴を聞き、ホームページの作成などネットを使った販促全般を任せることにした。



【添付写真の物件にひと目ぼれ】


 ある日、大量に届く営業メールを削除しようとした時、ある物件の画像に目を奪われた。ビルの外観と物件の内装の写真。黒をベースにした店内の床には、赤いタイルがライン上に配置され実にセンスがいい。間接照明とダウンライトを効果的に使った高級感あふれる物件写真を見て、Aさんはひと目ぼれした。
 さっそくAさんはメールを返信し、物件の詳細を聞きたい旨を伝えた。すると程なく、保証金や家賃などの契約条件とともに、以前はバーとして営業されていたが、フードメニューも充実していたので、厨房機器もそれなりにそろっていること。2年弱の営業だったため、什器や機器類は問題なく作動すること。営業不振によるクローズではなく、売上げが良かったため、より大きい物件に移ったことなどの情報が送られてきた。
 何度かメールでやり取りをする中で「厨房の様子を写真で送ってほしい」「ソファの質感を知りたいので、アップの写真が見たい」「ビルのエントランスから、店の入口までの動画は撮れないか」と、細かい要望を出したが、業者はそれらを受け入れ何枚もの写真や動画を送ってきた。
 Aさんは、1日も早く自分の目で確認したいと思ったが、現実には忙しい日々が続き、なかなか時間を作れない。はやる気持ちを抑えながら、業者から送られてくる写真を心待ちにする日が続いた。



【イメージと現実の大きなズレ】

 半月程して、Aさんはやっとの思いで時間を作り、物件に足を運んだ。何枚もの写真と動画を見た物件。ビルのエントランスに立てば、そこからは何度も見た風景が見える。物件に入れば、何度もメールでやり取りした営業担当者が待っている。
はやる気持ちを抑え、扉を開けて驚く。そこに待っていたのは、20歳そこそこの青年。スーツも着ず、腰履きしたズボンが何ともだらしない。
 Aさんはメールのやり取りから、30代くらいのバリバリの営業マンをイメージしていた。要望は何でも聞いてくれ、誠実そのものだった青年像は、現実とあまりにもかけ離れていた。
 「何度も写真を送ってくれて、ありがとうございます」
 「いや〜、まいったっすよ。何枚写真とりゃいいんだよ! みたいな?」
 Aさんの熱い気持ちは、どんどん冷めていった。確かに写真にウソはなかったが、印象は違う。ソファにある小さな汚れや傷の数々。油汚れがこびりついた厨房機器。テーブルはガタつき、よく調べると空調は中古でカタカタと小さな音を立てていた。
 結局Aさんは契約をしなかった。物件が思ったほど良くなかったことと、何より彼と契約する気になれなかったからだ。
 Aさんは言う。「必ず契約して帰ってこようと心に決めて物件をだったために、もしイメージ通りの人が出てきたら、契約していたのは間違いなかった。ある意味、彼に感謝しなければ」と。
 インターネットはさまざまな場面に登場し、スピーディーな情報収集には欠かせない。そして、その状況がますます顕著になっていくのも間違いない。しかし、落とし穴があるのも事実。最後は自分の目で見て判断しようと思っていても、それまでに得た情報が多ければ、いざという時に冷静な判断力が働かない可能性があることも、覚えておいた方がいいだろう。





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