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市場は次のフェーズへ突入! 座談会で明らかになる「ゴーストレストランのリアル」

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コロナ禍の影響で増加したデリバリー需要に比例して、急速に拡大したゴーストレストラン市場。多種多様なブランドと、参入する事業者が激増し、早くも飽和状態の様相も見られている。そんなゴーストレストラン市場の現状はどのようなものなのか? 新規参入者に勝機はあるのか? 今回は、現在ゴーストレストランを運営・展開をしている気鋭の経営者を3名招き、座談会を開催。「ゴーストレストランの今と未来」について話してもらった。

今回の座談会参加者



盛永哲志氏

株式会社Wiaas(東京都新宿区)CEO。インバウンド向け洋服レンタルサービス「Kitemee」など、いくつかの事業を企画・運営していたが、コロナ禍によって苦境に。しかし、既に運営していたデリバリー事業に勝機を見出しゴーストレストランに注力。現在は、直営の「DELI STATION」を運営しているほか、FC、クラウドキッチン、キッチンカーと、幅広く展開している。

【展開ブランド例】DeliStation(デリステーション)


山路健一郎氏

株式会社X Kitchen(東京都千代田区)代表取締役CEO。学生時代にITベンチャーのインターンを経験。営業職を経て、独立開業の計画を立てるために海外をリサーチし、当時、成長を見せていたフードデリバリーサービスに着目。「職人」、「シェフ」といった作り手の支援をしたいと考え、「新たな食文化をITの力で想像する」をビジョンに2019年にゴーストレストランX Kitchenを開始した。

【展開ブランド例】【X-Kitchen】デリバリー特化型フランチャイズブランド


鮫島佑介氏

株式会社あわくろ(神奈川県茅ケ崎市)代表取締役。徳島県産ブランド牛の「阿波黒牛」をメイン商品としたゴーストレストランFC「ゴロゴロお肉の牛タコス」を運営。デリバリー事業や飲食店へのフードデリバリー導入支援、「阿波黒牛」を使用した独自ブランドメイキング、キッチンカーなどの展開も広げている。

【展開ブランド例】あわくろタコライス

競合他社の増加により、1店舗あたりの売上が減少傾向に

-飲食FC比較へお問い合わせをくださる方の中で、「ゴーストレストランに興味がある」、「始めてみたいけれど、どこを選ぶべきかわからない」といったご相談が多く寄せられています。その疑問にお答えするため、ゴーストレストランを運営している御三方にお集まりいただきました。最初のテーマは「御社運営のゴーストレストラン、調子どう?」。盛永さんからご回答、お願いします!

盛永氏:現在、弊社直営は9店舗(内3店舗は業務委託店舗)で、1店舗あたり月商300万~500万円程度で推移し、好調だと言えると思います。FCは2020年9月頃から募集を開始して150程度の拠点数です。この頃はいわゆる「出せば売れる」という状態で1ブランドあたり1日10万~20万円ほどの売上がある時期もありましたが、現在は1日1万~5万程度に落ち込んでいます。市場自体が伸びたことでアカウントが激増し、それにともなって1アカウントあたりの売上が落ちているということが顕著に出ています。

鮫島氏:弊社も同じような理由で1アカウントあたりの売上は落ちていますね。ただ、私としては、今まで好調だったのはバブルだった、という印象もあって。「なんか売れ過ぎじゃね?」と感じていました。現在の状態がようやく肌感が合ってきたような気がしていますね。一都三県あたりは、そんな状態ですね。一部地方の店舗はいまだにバブルのような売れ方をしているところもありますが、おそらくそれも落ち着いていくのかな、と思っています。

山路氏:そういう意味でいうと、弊社も直営で売れていたところは月商400万円が200万円くらいになっているので数字的には落ちています。まさしくお二人がおっしゃっているのと同様に競合の増加が原因だと思いますね。

-御三方とも、競合の増加によって以前と比べて売上が減少しているという印象ですね。

鮫島氏:私の見解では、テイクアウト・デリバリーのユーザーの母数は、今後大きく伸びることはないと思っています。また、緊急事態宣言の前後では、注文を受ける場所や時間、数量もだいぶ変化している。競合の増加とユーザーのニーズの変化が、売上減少の要因かなと思います。

盛永氏:そうですね。おそらくこの先はマーケティングやプロモーションでどう伸ばしていか、というのが肝になっていくのかなと。従来は、単一ブランドで伸びているゴーストレストランが多かったんですが、今はかなりマルチブランド化が進んでいる。でも、その中でしっかりと差別化できているところは少ないんです。今後は、この部分をブランディングできる会社が生き残っていく。弊社もまさに、マルチブランドでの戦略を立てて新たなフェーズのロールモデルを作っていこうと思っています。「ゴーストレストラン2.0」的な。

山路氏:盛永さんのようにロールアップでブランドを広げる戦い方って、ゴーストレストラン本部としてはある種「正しい広げ方」だと思うんです。あとは本部とFC加盟店の距離感ですよね。弊社はFC加盟店に個人店オーナーが多いため、密にコミュニケーションをとりながら色々な施策を試しています。最近だと、既存店舗に私たちの施策を伝えて、1ヶ月無料で検証してもらったり、早いスパンで新メニューを出してもらったり。小さな会社だからこそのフットワークの軽さを活かして、検証すべきところを明確にしたり、試行錯誤をしたりして、正解をため込んでいる状態ですね。

鮫島氏:弊社はまさに盛永さんのいう単一ブランドの会社で、本部としては阿波黒牛をいかに飲食店に卸して、売れて、その良さが広がってくれるか、というところが最も重要です。実際、1店舗あたりの売上をどう伸ばすか、という課題の解決は必要なんですけど、「自社ブランド牛の認知拡大」という本質的なやるべきことは変わらない。逆を返せば、そのブランドの価値が高まれば、加盟店さんのメリットも増えるわけで。なので、弊社は新メニューを開発したり、キッチンカーやケータリング事業など、ゴーストレストラン以外の事業も合わせながらブランド向上に力を入れています。

デリバリー需要増加の要因は、コロナ禍以外にもアリ

-続いて「飲食FCユーザーからの質問」です。こちらはいくつか質問を用意しているのですが、ひとつめは一番多かった「デリバリーが売れるのはコロナ禍だから?」という質問からお答えいただきましょう

盛永氏:弊社に関して言えば、コロナ禍だから売れたという考えはないですね。と、いうのも弊社は創業当初、阿波黒牛のようなブランド力の強いアイテムがない状態だったので、コロナ禍でもそこまで高い売上ではなかったんです。大事なのは、市場や競合の変化に対してPDCAをいかに高速に回して改善していくかということなので、本部として商品開発、マーケティングのノウハウを積み上げ、加盟店さんにも共有して、しっかりと体制を整えていくという部分なのかなと。

鮫島氏:極端な話、デリバリーを利用するユーザーって「コロナ禍だから利用する」、「家にいるから利用する」っていうわけでもないような気がしていて。売れるために大事なことは、盛永さんのいう通り売り方と商品の強さで、外部環境ではないと思います。

山路氏:少し視点を変えてユーザー側に立って考えてみると、アイテム選びには差が出るかな、と思っていて。コロナ禍だと外に出られないことで割と新しいジャンル、見たことのないアイテムでも頼んでみようかな、という心理になる人も多いけれど、情勢が落ち着けば外食をするし、珍しいものにも自分から足を運んで触れに行く。そうなってくると、デリバリーで注文するモノは納得感のある大手チェーンなどのジャンルを選ぶようになる。結局「売り方」の話に帰結するんですが、そういったところも視野に入れて戦略を立てる必要はありますね。

-では、次の質問です。「よく『月商100万以上』と言われるけど、本当なの?」です。

山路氏:言われますね(笑)。

鮫島氏:言われます(笑)。結論から言うと、弊社は「店舗次第」と言うようにしています。と、いうのも既存飲食店に卸して、そこで売ってもらうという形態なので、どうしてもその店舗の体制と営業時間に左右されるんですよ。なので、ウチのブランドを組み込んでもオペレーションがしっかり回るかということと、営業時間の長さは売上との相関性がありますよ。とはお伝えしていますね。

山路氏:鮫島さんと同意見で、参入するオーナーさんの意向によって売上が変わるかなと。例えば、副業的に参入するオーナーさんとこれ一本でやりたいというオーナーさんであれば、ゴーストレストラン事業に投資する時間やお金の使い方も違うわけです。私たちとしては、長いお付き合いがしたいと思っているので、オーナーさん一人ひとりの意向を聞いて、リアルに売れる数字をお伝えするようにしていますね。

盛永氏:弊社では、お問い合わせを受けた時点でUberEats等の管理画面を見せて、数字も開示しているので、それに納得いただいた上で開業に向けて進むようにしています。今、山路さんから話があった専業と副業もきっちり分けていて、専業で力を入れたいと考えているところに強いブランドを渡すようにしているので、全体の25〜30%の店舗が月商100万以上は稼げている状態です。

加盟店の利益創出は、本部の意向と今後の展開にも期待

-「売上が上がっても、本部へのロイヤリティなどで利益が残らないって聞くけど、どうなの?」という質問も多かったりします。

鮫島氏:確かに利益率の話はよくされますね。弊社は販売価格をデフォルトで決めているんですが、加盟して一定期間が過ぎたら変えていいよ、ということにしています。極端な話、倍の価格にすればその分利益が残るし、ばんばん数を出せるなら薄利多売で売るというのもアリだし。そういったお話は、導入していただいてから2~3週間くらい動向を見て、オーナーさんと方向性を決めていきます。

盛永氏:逆の発想をすれば、加盟店さんが利益を残せないと本部も長期的な運営ができないので、本部だけが儲かるような仕組みって作ること自体現実的ではないというか。実際、加盟店さんの利益を増やすには、プラットフォーム手数料を下げるか、原価を下げるか、人件費を削るかしかない。人件費は削れないので、弊社の方針としては加盟店舗数を増やし、流通額を増やすことに注力しています。全体の流通量が増えれば、本部のプラットフォームに対する交渉力が高くなり、プラットフォームへの手数料を3%、5%と下げていくことも現実的になる。そうすれば、加盟店さんに還元することもできる。並行して原価の削減にもサプライヤーを巻き込み、協業を軸に取り組みを進めております。

ゴーストレストラン市場は次のフェーズへ。既存のルールを変えることも視野に

-では、今後の展望をいただけますでしょうか!

鮫島氏:弊社の場合は自社アイテムの商品力が高くなるほど加盟店さんにも還元できるブランドなので、今までとやることは変わらず、阿波黒牛の認知拡大が最重要ミッションです。一方で、現状、導入拠点数が300~350件ほどになっているので、メイン商品がエリア競合になりやすくなっていることが課題です。商品開発や販路の拡大をするなど、次の一手を打っていこうと考えています。初心者の方への導入としてはハードルが低いので、それこそ、ITやシステムがよくわからないという方に対しても、私たちの方でしっかりサポートして、背中を押していきたいなと思います。興味のある方がどんどん挑戦できる環境を作っていきたいですね。

山路氏:弊社はやはり「作り手の支援」をミッションとして掲げているので、料理人の熱量がデリバリーでも伝わるような仕組みづくりを進めていきます。そのためにも、加盟店さんとは互いに「言うべきことを言って、やるべきことをやる」という関係性を築き、スピード感を持ったトライ&エラーを繰り返していきたいですね。何か要望があれば、それを言ってもらうことで私たちも改善ができる。一方で、こちらの提案や指摘も聞いていただいて、毎日しっかり営業する。もちろん、そういったことを実現するために、1000店舗ほど展開を広げて、きちんと認知のとれるブランドにしていきたいですね。

盛永氏:ゴーストレストランに関しては将来的に海外展開を考えていて、2023年以降に実現したいと思っています。それまでに国内の月間流通額1億円超えはマスト。それをベースにプラットフォームへの交渉力を高めて業界の仕組みを変えたり、アパレルやエンタメといった他の業界も巻き込んだりして、新しい風を吹かせたいと考えています。日本では、ゴーストレストランと聞くと、「不衛生」、「劣悪な労働環境」、「本部だけが儲けている」といったイメージを持つ消費者の方々も、まだまだ多い。そういった一部分の負の面だけ取り上げられてしまっている現状を変えて、本当に真面目に、きちんとやっている事業者さんの姿を認知していきたい。そんな、ゴーストレストラン業界全体のイメージを変えていきたいと思っています。



<座談会参加ブランド>

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X Kitchenの詳細はこちら
追加の設備・人員は不要!直営店で実証した1オペで運営できるゴーストレストランFC

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