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飲食店には経営者と近い視点で経営を考える「幹部」が必要
幹部とは、いわゆる経営者の「右腕」と呼べる存在。経営者が判断に迷ったときなどに、経営者に近い視点で考え、意見を出したり、動いたりしてくれたりする人物を指します。経営ノウハウや労務、顧客情報などが経営者一人の頭の中にあるというケースは珍しくありません。ただ、経営者が一人で抱えられる仕事量には限りがありますし、独りよがりになってしまうと組織としての機能が弱まり、経営改善や事業成長が難しくなってしまいます。
また、いくら素晴らしい戦略や商品があっても、従業員に近い立場で方向性を示したり、モチベーションに働きかけたりできる「人」がいなければ、それらは活きません。その意味でも、幹部はとても重要な役割を果たしてくれます。
さらに、幹部は経営者の精神的な支えにもなってくれるので、経営者は気持ちにも余裕を持てるようにもなるでしょう。より広い視野で事業を見られるようになるだけでなく、きちんと休みが取れるなど、メリットは多岐に渡ります。
どんな幹部を育てたいか? まずはビジョンを明確に
幹部の在り方は、店舗の規模や方針によって異なります。そのため、幹部候補の育成を始める前に、自店ではどの階層の従業員にどういった仕事を求めるかを見直し、幹部の在り方や仕事の範囲を明確にしましょう。また、5年後、10年後の経営計画を立てることも重要に。目指すところが明確にならなければ、有効な育成ができないためです。「何年後・どんな人材に・どんな仕事を任せたいか」とビジョンを明確化してみましょう。
頼れる幹部候補の探し方
幹部候補を発掘するには、まず人材像を具体的に考えるのがベスト。経営のノウハウを持っている、リーダーシップに優れている、グローバルな視点で物事を考えられるなど、経営計画から欲しい要素を考えます。発掘方法は主に3つあります。1つ目は、社内公募。もともといるスタッフから意欲のある人材に立候補してもらい、教育することは、幹部候補育成の近道になります。2つ目は、推薦です。普段から新しい事へのチャレンジ精神が旺盛であったり、チーム意識を持ってコミュニケーションや問題解決に取り組んでいたりする人材は適任といえるでしょう。そして、3つ目は中途採用。応募者のキャリアや意欲、人柄から自社が求める人材がどうかを判断します。
幹部候補の育成は焦らず、十分に時間をかけて
発掘した人材を育成する時には、次のようなポイントを押さえておくことが重要になります。■社外の研修も活用する
経営者が持つノウハウや考え方を理解してもらう、社内で新規事業の立ち上げを行うといったことだけでは、広い視野を持てない恐れがあります。未経験の職務を経験してもらうほか、社外での研修にも積極的に参加してもらい、広く経験と実績を積んでもらいましょう。■適宜フィードバックをする
計画やプログラムに沿って育成しても、すべてをスムーズにクリアできるとは限りません。どんなことを身につけられたのか、あるいはどんな点を改善していけば良いかなどを定期的に見直し、フィードバックを行いましょう。■必要に応じて計画やプログラムを改良する
幹部候補は想定以上のスピードで成長することもあれば、反対に成長のスピードが思わしくないこともあります。もし、なかなか育成がうまくいかないと感じた場合は、幹部候補者が負担を感じすぎていないか、モチベーションを保てているかという視点でも、育成の進捗を見ていきましょう。問題が発生した場合、計画やプログラムを変更するなど、柔軟に対処するのが望ましいです。■フォロー体制を整える
幹部候補者がプレッシャーを抱えてしまい、ストレスを強く感じることも起こり得ます。ストレスによって本来の能力が発揮できないことは、本人にとっても会社にとっても残念なこと。定期的にストレスチェックをしたり、プレッシャーや不安を軽減するカウンセリングを受けられる体制を整えておきましょう。飲食業界では厳しい状況が続いています。「この状況で幹部候補を探すのはちょっと……」と考える経営者も多いことでしょう。確かに、適性が求められる経営幹部の育成には時間とコストがかかります。しかし、厳しい状況だからこそ人材の確保と育成は待ったなし! 中長期的な戦略のもと、幹部候補の育成に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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