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「リスキリング」とは?
海外では数年前から提唱されていたリスキリング。2020年1月の世界経済フォーラム年次総会では、2030年までに世界で10億人をリスキルすることが目標に掲げられました。日本国内でも、経済産業省が主体となって2021年2月に開催した「第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会」で提唱されたのをきっかけに、急速な広がりを見せています。経済産業省は、リスキリングを「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義しています。対象となるのは、企業で働く従業員や、成長分野の業界・職種への転職を考えている人です。
従来のスキルアップとリスキリングの違い
これまで重視されてきたスキルアップは、現在従事している業務を続けるため、その延長線上でより高い技術や能力を身につけていくことでした。一方のリスキリングは、新しい知識を習得し、自分のスキルが陳腐化しないように軌道修正を図っていく発想です。「従業員や転職者に新分野での活躍を促すため、現在持っているものとは異なるスキルの習得を促す再教育」と言い換えることもできるでしょう。リスキリングとDXの関係
リスキリングが広まった背景には、世界中で急速に進むDX(デジタルトランスフォーメーション)があります。DXとは、AIやビッグデータなどの最新デジタル技術を駆使した業務プロセスの効率化や新ビジネスの創出のこと。難しそうな印象を受けますが、飲食業界においてもすでに身近なものとなっています。例えば紙の予約管理からデジタルツールを駆使した予約管理システムへの切り替えも、飲食業におけるDXのひとつ。予約管理システムを従業員が使いこなすことで、在庫管理や顧客情報など、これまで個々の担当者のみが把握していた情報を皆で共有でき、店舗運営や接客がより良くなったと実感している店舗も多いでしょう。
新たなデジタル技術の導入・運用や成長分野への参入は、企業の成長のために不可欠な取り組みです。しかし、日本では成長分野のスキルを持つ人材が圧倒的に不足しているのも事実。そこで、リスキリングによって新たな角度から人材育成を推進しようという流れが生まれたのです。
リスキリングは飲食業に関わる人にも不可欠
コロナ禍において、飲食業界にもサービスの提供の非対面化が求められたことで、テイクアウトサービスを導入した店舗は多いでしょう。テイクアウトサービスを軌道にのせるには、単にテイクアウトでの売買の仕組みを作ることだけではなく、インターネットで集客するための検索エンジン最適化施策、予約をしやすくする導線のよいWEBデザイン、決済方法の変更などの取り組みもしなければならないことを実感したはずです。飲食業従事者がこうした環境変化に対応しながら、新たな価値を生み出していくために、「学び直し=リスキリング」は欠かせないのです。
従業員にリスキリングを施すことには、経営者にとっても大きなメリットがあります。従業員はすでにさまざまなスキルや経験を持っていますが、個々の従業員が持つ強みはバラバラであることがほとんどです。
しかし、リスキリングを行えばそれぞれの強みがつながり、さらに深まることが期待できます。従業員のモチベーションが上がり、新たなアイデアが生まれる可能性もあります。自店でもぜひリスキリングに取り組み、従業員の成長をいっそう促しましょう。
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