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「賢い妥協と創意工夫が夢の実現を早める」 (第10回)

賢い妥協で理想の店を


開業希望者は、時間をかけて物件を探し出し、途中、いくつかの新しい条件を加えたり妥協したりする。そうして、「ここだ」と思う物件にめぐり合う。まったく妥協することなく、思い通りの物件を探し出した人は皆無だろう。
多くは、「気に入った物件があってもコスト的に合わない」という問題にぶつかり、「予算内だが立地が悪い」「天井が低い」「間口が狭い」など、何らかの妥協を余儀なくされる。

最良の物件を見つけるために重要なのは、妥協しないことではない。
コストも含め、自分の理想の物件を追い求めてばかりいると、いつまでたっても店を開くことはできないのが現実だ。
少しでも早く夢を現実にするためには、多少の融通は不可欠。
賢い妥協をしながら創意工夫で理想に近い店を作るのが、成功の秘訣といえるのだ。

今回は、この妥協とそれを打開する創意工夫について考えていきたい。


目先の条件に左右されない


物件選びをする際、チェックしなければならない項目はたくさんある。
保証金や家賃などの「コスト面」と、広さや形状、建物の状態など「物件そのもの」に関すること。
そして駅からの距離や物件の近隣状況など「周辺環境」に関するものがある。

コスト面に関しては、物件探しをスタートする段階で見通しがたっているはずで、それを大きく変更するようなことは最も避けなければならない。
物件探しの本格化の前に、コスト面のシミュレーションをしっかりしておくことは経営者として当然のこと。
そもそも予算立てが甘ければ、そこからはじき出されるコストも厳密なものではなくなる。
それを元に経営を始めると、必ずどこかにひずみが生じ、必要以上の苦労や時には破綻をきたすこともある。

物件探しは、あくまでも当初計画した資金内で条件にあったものを探すしかない。
つまり、コストを最優先にして、物件や周辺環境に関して妥協することが必要となる。

しかし現実には、これから独立しようという人が陥りやすいのが、物件の内部の状況に目を奪われ、コスト面や周辺の状況が見えなくなってしまうケースだ。
これは特に、居抜き物件に多い。内装が気に入ったために、「以前にその物件でやっていた商売が失敗している理由が立地などにあるのでは?」」と深く考えることもなく、契約にいたってしまう。
「ちょっと予算オーバーだけど、この雰囲気なら大丈夫だろう」と思ってしまうのだ。
これは実に危険なことであり、一番陥ってはいけないミスだ。

内装は、最も変更をしやすい部分。
壁紙を変えたり、椅子やテーブルなどの調度品を入れ替えたりすれば、まったく違う印象の店にすることが可能だ。
そのため、「内装が気に入った」という理由は物件決定の要因にすべき事柄ではない。
目に見えることではなく、見えない事柄こそ十分にチェックすべきで、いかに冷静に状況を見極め、優先順位をつけるかが、後の成功のカギを握る。


賢い妥協は妥協ではない


物件探しでは、自分の力ではどうやっても変更ができないことから順に優先していく必要がある。
特に、周辺環境については、どうにもならないことが多い。
たとえば、「駅から遠い」「物件の周りに街灯がなく暗い」「看板を取り付けたいが、となりのビルの看板が邪魔をして視認性が悪い」「雑居ビルで入り口が分かりにくい」などは、工夫がしにくい事柄で、事前によく観察しておく必要がある。
ところがこういった事柄は、うっかり見落としてしまいがちで、後から「困った……」となるケースが多い。ちょっとした甘さが後の大きな苦労を引きおこしてしまうのだ。
そうならないためにも、冷静な判断が欠かせない。

では、前述のような悪い条件があるときに、絶対に妥協してはならないのだろうか。
実は、その妥協が、“他でカバーできる”ものであればまったく問題はない。
逆に、創意工夫をすることで、個性を発揮する格好の利点になる可能性もある。

例えば、ビルが並んで建ち、似たような場所に看板が設置され視認性が悪い場所でも、店の間口が広く、存在感をアピールできるのであればまったく問題はない。
入口がわかりにくくても、置き看板の設置ができればカバーできるところもあるだろうし、発想の転換をして、会員制のバーを作り成功した人もいる。


目標は継続すること


店は、開業することはスタートに過ぎず、その後、どうやって売上を上げ、収益を得ていくことが本来の目的だ。
開業時の妥協は、その時点で我慢すればやり過ごせることではなく、その後もずっと背負っていかなければならない現実だ。
「開業はギャンブルのようなもの」というように、甘い目算が大きな代償となって返ってくることも少なくない。
開業後、1年を待たずして閉店を選択する店が多い現状を考えても、「これくらい問題ないんじゃない?」という甘さは捨て、状況を多方面から分析する冷静さと個性ある創意工夫をする発想力を身につけてもらいたい。


■コラム400
発想力で弱点を強みに。

店をオープンする際に、わかりやすい看板を設置するのは基本中の基本といってもいい。
ところが、この看板を設置することが困難な場所で、一切看板を出さず、成功しているバーがある。

都内の私鉄沿線にあるそのバーは、元々路地裏で長年経営していた店舗を移転した。
駅から住宅地に続く道中、徒歩3分のところにある地下店舗だ。
バーだから、当然営業は夜のみ。
昼間は重い金属製の扉に閉ざされ、そこに店があることすら分からない。
そして、夜になっても看板はなく、そこに店があることすら知らない人も多い。

バーは、店の存在を隠しつつ、さまざまな方法で宣伝をした。
「一度行ってみたい」と興味を持たせる一方で、実際にその住所地に行っても、店がどこにあるのか分かりにくい。
行きたい店がないとなると、探したくなるのが人の心情。
やっと見つけたその店では、十分なもてなしで満足を得ることができる。
そうしてクチコミで広がり、知る人ぞ知る隠れ家バーとして繁盛するにいたった。
看板を出せないデメリットを最強の武器にした、オーナーの発想力に脱帽する。

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