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最後に頼れるのは自分自身。時には直感がものを言う (第16回)

まずはいろいろな物件を見る


物件探しは焦らず冷静に、自分の夢を現実にするのにふさわしい条件を満たしたものに出会うため、時間をかけてたくさんの物件を見て回る必要がある。その物件数や期間は皆それぞれだが、たくさんの候補の中から、最終的にその物件に決めるには、何らかの理由があったはずだ。今回は、その決断に至ったポイントを探ってみたい。
まず、物件探しには、パートナーとなる不動産業者の協力がなくてはならない。彼らに予算や業態、理想とする立地などの諸条件を伝え、物件を紹介してもらう。最初は、相場観がないために、自分の予算で借りることができる物件の条件がどの程度のものなのか分からない。できれば、『自分の予算で借りられる物件』と『(予算に関係なく)自分が借りたいと思っている条件の物件』の両方を見て回るといいだろう。そうすることで、的確な相場観が身につき、落としどころが分かってくる。物件探しは、そこから本格化すると言っていいだろう。


具体的なイメージが見えた


さていよいよ本題。今回話を聞いたのは、開業2年以上のオーナー達。「今の物件に決めた理由は?」との質問を投げかけた。
もちろん「賃料が安かった」とか、「希望していた地域だった」などそれぞれの条件にあった理由が挙げられたが、それ以外に多くの人に共通するものがあった。それは、『直感』。物件を目にした瞬間、「ここだ」と思うひらめきのような感覚があるというのだ。
「探していた物件とは条件が違ったのに、『ここを変えれば大丈夫』と具体的なひらめきがあった」
そう話すのは、開業からわずか1年でラーメン店を2軒出店したオーナー。その1店舗目での話だ。長年の飲食店勤務を経験し、独立を計画していたが、厳しい予算と居抜きという条件にあった物件がなく、難航していた。連日、仕事の合間に物件を見て回っていたが、なかなか理想のものがなく、しびれを切らした不動産屋が苦肉の策で紹介した物件だった。
「あまりに厳しい条件を出す自分に対し、不動産屋が『その予算ではこの物件がやっとですよ』と皮肉半分に説明するために連れて行った物件で、まさか契約するとは思ってもみなかったそうです。でも私は見た瞬間、テーブルの配置が浮かび、この壁には薀蓄を書き、ここにカウンターを作りたいと具体的なイメージが次々と出てきて、すぐにでもオープンしたくなりました」
それまで見たどの物件でも味わうことのなかった具体的なイメージがその物件では浮かんだというのだ。そして彼はその物件でラーメン店をオープンし、あっという間に2店舗目を出店した。


時には条件を広げてみる


次に直感で、意外な物件に決めた例を紹介しよう。彼は最初、居抜き物件を中心に探していたが、気に入った物件は保証金が高く、自分の作りたい店を実現するためには、相当なコストをかけて造作に手を加えなければならないことを知った。「なんとか打開策を…」と考えたとき、物件候補の条件を広げ、前業が飲食店以外のものも候補にいれ、イチから店舗作りをすることにした。
「苦労して貯めたお金を使って店を作るのですから、どうしても妥協をすることができず、自分が作りたい店を作るには、居抜きでも新しく作っても、やり方次第でコスト的にそんなに違わないことが分かりました。それなら、前業が飲食店ということにこだわらず、例え事務所として使っていたところでも、可能性はあるんじゃないかと思ったわけです」
こうして彼の物件探しは、条件の見直しから始まり、再スタートを切った。もともと自分で『こうしたい』というイメージが強く、それを譲れない性分の彼には、正しい判断だった。
そして3ヵ月後、建設事務所がオフィスとして使っていた地下の物件を見つける。
「最初見たときは、薄暗いスペースにデスクが1つだけポツンと残っていて、店舗には程遠いイメージだった」という。一番奥に倉庫として使っていたスペースがあり、一段下がっていた。「ここはキッチンに使えるな」と思いながら物件全体を振り返ったとき、お客であふれる店内が見えたという。もちろん敷金は安く、シンプルな内装を心がけたことで、居抜き物件と変わらぬ予算で開業することができた。


まずは理想を具体化


これらの例を見ても分かるように、多くのオーナーが、初めてその物件を見た時に、直感的に何かを感じている。確かに、緻密な理想像を描こうとしても、物件が決まらなければ詰められないことが多い。それでも、自分の理想像を具体的に描き、頭にインプットしているからこそ、物件を見たときに重要な何かを感じることができるのだ。
「どうせ物件によって、内装が変わってしまうから・・・」と具体的なことをイメージしていなければ、時には不動産業者に勧められるままに契約してしまったり、家賃や保証金などの価格面だけを見た判断をしてしまう。これは、安易な妥協を生み、店のコンセプトがぶれてしまうことにつながる。
まずは、自分の作りたい店を明確にし、その上でピンッとくる物件を探そう。いつか必ず、運命の物件に出会えるはずだ。


[コラム]

人生の転機となる店


ある40歳代後半のサラリーマンの話を紹介しよう。
彼は、地方に営業に行った帰り、ふと駅前の喫茶店に立ち寄り、店主のやわらかい応対とマイペースな生き方に触れた。ストレスばかりの日々の生活を振り返り、「このままでいいのか?」という疑問が急にわき起こり、第二の人生を歩きたくなった。そして、「どうせやるならこんな店のオーナーがいい」と直感的に思い、勉強を始めることにした。
そして2年後、いよいよ会社に辞表を出そうと思ったとき、自分が決心した店で、もう一度自分の意思を固めようと、その地を訪れた。そこで彼が目にしたのは、『空テナント』という張り紙。彼はその足で不動産屋に行き、契約を済ませ、喫茶店オーナーになった。
「飲食店の魅力は、何気なく存在しながら、人の心に響く何かができること。最初にこの店に入ったのは偶然だったが、再び訪れたのは運命だったとしか思えません。一人でも多くの人が幸せを感じる店を作るのが私に与えられた仕事です」と充実した毎日を過ごしている。
直感は、時として人生を変えるほどの大きな決断につながる。感度を高め、鋭い直感力を身につけたい。


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