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要望は必ず伝え、有利な契約を結ぶ (第20回)

【契約を甘く見ない】

これまで何年も飲食店で調理や接客の経験を積んできた人でも、物件の契約をしたことがある人は少ない。物件契約に限らず、飲食店を経営するには、数多くの契約が存在し、その数だけ契約書が取り交わされるが、それは経営者がするべきことであり、ごく限られた立場の人以外、その内容や書面を目にすることはない。ところが独立をすると、最初の段階で物件契約という大きな関門がでてくる。
実は私たちの日常生活の中でも、たくさんの契約が存在するのだが、その内容に無関心という人が多いのも現実。小さい文字で書かれた契約書の内容を読まずに押印してしまったり、インターネットの世界では、詳細な同意事項を読まずに、『同意する』というボタンをクリックした記憶がある人は多いだろう。
ところが物件契約で、同じような感覚で対応すると、後でとんでもないことになってしまう。
今回は、契約書の重要性と対応策について考えてみたい。

【まず契約書を熟読する】

当然のことだが、契約に関わる条件を書面にしたものが『契約書』であり、物件の所有者である大家と借主の両者が署名・捺印することで契約が成立する。そして同時に、契約書に書かれていることに同意したということになる。
この契約書を作成するのは、大家だ(管理会社のこともある)。当然大家は、その内容を十分熟知しているが、契約希望者がそれを目にするのは、物件を見つけ、契約を前提とした段階となる。
ここで気をつけなくてはならないのは、契約書を見る段階で、あなたはすでに物件を気に入っているということ。「この場所で自分の店を作ろう」と決意してしまい、もう心は次のステップに進んでしまっている。どんな店を作るのか、具体的に思い描いてしまっているため、まさか契約ができないということは想定していない。そのため、契約書の細かい内容を精査しない傾向にあるのだ。さらに、多少意に沿わない個所があっても、「それなら、契約はしない」と言われたくないために、口にせず、後で何とかなるだろうと思ってしまう。
ところがこれは大きな間違い。要望は先に伝えておかなければ、後で痛い目にあう。契約にないことをしてしまい、トラブルにつながるケースも少なくない。
また例え、契約書に書かれた内容を変更できなくても、特記事項として付け加えてもらったり、特例として認めてもらえたりするので、要望は必ず事前に伝えるようにする。

【相手によって変わる対策】

ところで要望はどの程度受け入れられるのだろうか?
一概には言えないが、物件を管理しているのが誰かにより、その傾向は大きく変わる。一番融通がきくのは大家本人が管理している物件。自己物件であるため、その裁量もすべて自分自身で決めることができる。熱意をもって依頼すれば受け入れられることが多い。
ただし、飲食店に対する理解度に大きな差があり、細かな内容まで説明しておく必要がある。飲食店では常識的なことが、大家には想像もつかないことであったりする。説明したつもりでも、内容が伝わっておらず、後で「言った」「言わない」のトラブルになることもある。
一方、管理会社が間に入っている場合は、難易度が上がる。管理会社は、大家に代わって日頃の管理や契約をしているが、あくまでもその範囲は決められている。つまり、特例を認める権利をもっていないため、要望が通ることは少ない。
しかし現実には、管理会社が認めないといっても、それは会社の杓子定規な対応であり、熱意をもって依頼することで、逆に味方になって交渉してくれ、案外すんなり受け入れられたということも多い。
一方、特例がまったく認められないケースもある。それはショッピングセンターなどの商業施設や大型ビルなどだ。これらでは、契約書の内容がすべてであり、変更や特例は認められない。それどころか、契約書の販売商品の欄に『ラーメン』と書いたために、餃子やチャーハンなどサイドオーダーの販売すら認められないこともある。このような場合、事前に十分な確認をし、納得した上で契約に望まなければならない。
何はともあれ、店舗物件の契約に当たっては、契約書を熟読し、要望を伝えるという前提を忘れてはならない。その交渉の過程で、認められることと認められないことを理解できる。それがその後の大家との円満な関係に繋がるだろう。

コラム

【認められなかったこだわりの味】

ある焼き鳥店の話だ。彼は開業以来、いろいろな策を講じてきたが、売上げの低迷に苦慮していた。ファーストドリンクをサービスしたり、ポイントカードを導入したが一時的な客数増はあっても、固定化には結び付かなかった。そこで自分の得意な商品力を強化することにし、その一つとして焼き鳥をガス焼きから、炭火焼きに変えた。すると、立ち上る煙が焼き鳥のうまさを演出した。
ところが、数日経った頃、大家が訪ねてきた。
「炭火焼きは認めない」
突然、そう言い渡された。
しかし、開業からずっと焼き鳥を売ってきたし、変わったのは焼き方だけ。必死に説明したが、答えは「NO」。ついには契約書を持ち出し、「そんな話は聞いてない」と怒らせてしまった。
これは、契約内容の解釈の違いが起こしたトラブル。焼き鳥屋としての営業を認められたから、どんな調理法でも問題ないと思った店主と、ガス焼きに限って認めた大家に温度差があったのだ。確かに炭火焼きの煙は、数々の訴訟の原因にもなっている。それを考慮していなかった店主にも問題はある。せめて炭火に変えるとき、事前に声をかける配慮があれば大きなトラブルにはならなかったのかもしれない。


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