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石橋は叩いて渡れ。うまい話には裏がある?! (第23回)

【注意力と理解力が必須スキル】

物件探しに限ったことではないが、ビジネスをする上で、注意力と理解力はとても重要なスキルとなる。今回は、物件探しで失敗をした実例を上げながら、どういったことに注意しなければならないのかを考えたい。
フードコーディネーターをしていた女性は、長年和食料理店で働いた腕の確かな料理人と意気投合し、共同経営で店を開くことになった。テーマは新感覚の創作和食の店で一致。料理人は腕には自信があったが、経営についてはまったくの素人。一方女性は、それまでにいくつかの店舗のオープンにメニューを提案し、立ち会ってきた経験があったため、物件探しから店作りまではすべて彼女が担当することになった。その際、後々のトラブルを避けるため、「彼女が厨房を軽視しない代わりに、料理人は細かいことを言わない」と約束した。「少しでも早く店舗をオープンしたい」と彼女は先に会社を辞め、出店構想に集中することにした。そしてスタートした物件探しは、費用はあまりかけたくなかったため、居抜き物件を中心に展開された。


【甘い考えが最悪の事態に】

物件探しは思った以上に難航した。知り合いの不動産屋だから、いい物件を優先して紹介してもらえると思っていたが、実際には準備金との兼ね合いもあり、決して簡単にはいかなかったのだ。そうこうしているうちに、焦りがでてくる。最初は悠然と構えていたつもりだったが、だんだんと条件の幅が広がっていった。
そんな時、ある物件にであった。
駅からは10分ほどの距離だったが、周りには大会社のビルやマンションがいくつかあり、立地的には問題なかった。物件は、郷土料理店として40代の経営者が成功していたところ。不採算での閉店ではなく、病気により店舗運営を続けていけないとの理由で手放されたものだった。厨房には、最低限の調理什器の他、お好み焼き店にあるような大きな鉄板があり気になったが、『厨房改装に什器廃棄が伴う場合、当社が費用を負担』となっていたので、問題はないと判断した。その日のうちに、料理人に物件を見せたところ、厨房が狭いことと鉄板は使いようがないとのことだったため、これを撤去し、スペースを空けることで合意を得た。
翌日、契約のために不動産会社に出向いた。改装について聞かれ、鉄板の撤去を含む厨房の一部改装をする意志があることを伝えた。すると担当者から、「業者はどうしますか?」と聞かれた。彼女は、別の知り合いの業者があるので、そこに依頼することが決まっていることを伝えた。
ここで彼女は重大なことに気付いていなかった。什器の廃棄代金負担は、この不動産屋が指定する業者を使ったときのみとなっていた。それは、最初から表記されていたし、契約時の確認書にも書かれていたのだが、焦りが先立っていた上、知り合いの業者だから細かいことはどうにでもなると思い、細かいチェックを何もしなかったのだ。
結局、彼女がその勘違いに気づいたのは、改装の手筈がすべて整ってから。新たに、鉄板の撤去に関わるコストの見積もると、数十万円もかかることが分かった。鉄板の撤去には厨房と客席の間の仕切りを一旦外さなくてはならないうえ、その仕切りは水と油で老朽化しており、元に戻せないだろうとのことだった。ギリギリのコストでやっていた彼女たちに、数十万円の負担は大きすぎた。何とかならないかと不動産屋に相談したが、「別の業者に依頼するのであれば負担できない」との回答。改装業者も同じだった。
結局この話は、最悪の顛末を迎える。「交渉は任せていたはずだ」とそっぽをむく料理人と、「困ったときに手を貸してくれるのが共同経営者ではないのか」と主張する2人の間に大きな溝ができ、この開業話自体がなくなってしまった。


【質問が思い込みをなくす】

その後、彼女は一人で店をもつために資金をため、物件探しをしている。そして、過去の失敗を振り返り、同じことを繰り返さないように努めている。
「知り合いの不動産屋といっても、単に顔見知りという程度ではいい物件を優先したり、有利な契約をしてくれるわけではないこと。そして、もう一つ。うまい話には必ず条件があること」
誰でも自分に都合のいいと思われることには、すぐに飛びついてしまう傾向がある。だが、そこには思い違いや勘違いがあることもある。なぜなら、好条件には、そうなった理由があるからだ。
彼女が同じ失敗をしないために心がけていること。それは、とにかくたくさん質問をすること。実にシンプルな方法だが、勘違いや思いこみを防ぐには、この方法がベストなのだ。



コラム

【自分の目で確認することが大切】

居抜き物件の中には、「現在盛業中」と書かれたものがある。
ある男性が、小さなバーを開業するために物件探しをし、古いスナックの物件を見つけた。オーナーは大家との約束だからと、引き渡しの直前まで店を続けていた。
造作譲渡については、不動産屋立会いのもと、当事者間で話し合うことになった。基本的にはそのままで営業するつもりだったため、機器類の故障や店舗の不具合について入念に質問をした。すると「特に問題はない」との回答だったが、後でのトラブルを避けたいために、自分で確認することを申し出た。
ところが相手は、「営業中だから見せることができるのは一部のみ」と主張。納得できなかった男性は、何度も申し入れ、やっと自分の目で確認することが可能になった。すると、機器類はとりあえず動いているものの、寿命に達しているものが多く、問題なしとは言い難い状態。修理をしたり買い替えたりすることを考えると到底割に合わないと判断し、その物件の契約は断念することになった。
経験がない開業希望者の場合、相手の言うことを鵜呑みにしてしまい、一度断られると、自分の目で確認することもないまま契約をし、後で後悔することも多い。居抜き物件は中古品の購入と同じ。見極める力がなければ、かえって高コストになることを理解し、納得いくまで自分で確認することを心がけてほしい。


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