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不景気だから今こそ狙い目。優良居抜き物件を探せ (第24回)

【増加してきた居抜き物件】

 物件探しに不動産屋の門をたたけば、条件に沿ったものを多数紹介してくれる。居抜き物件を希望しても、スケルトン物件を希望しても、ひとまず両方の物件を紹介されることが多い。
 スケルトン状態の物件は、自分のイメージに近いものをイチから作れるが、排水や給排気など、見えない部分にもコストをかけなければならず、時間もかかってしまう。スケルトン物件では、どんなに早くても、契約から1、2ヵ月は要するが、居抜き物件では、やりようによっては2週間程度で開業することができる。そのため最近は居抜き物件の方が人気が高い。事務用物件を中心に扱う不動産屋では、飲食物件の内、7割程度が居抜き物件だといわれている。
 以前は、居抜き物件は時間的メリットはあっても、コスト的メリットはあまりなかった。造作譲渡にかかる費用は決して安くなく、敬遠される傾向にあったのだ。ところが、飲食店の開業を希望する人が増え、開業と閉店のサイクルスピードが早まり、「コストをかけてスケルトンに戻すより、格安でも造作譲渡をして、次の人生をスタートしたい」と思う人が増えた。
 しかも最近の不景気で、開業から間がない状態で閉店を選択するオーナーが増えている。そういった物件は設備の摩耗もなく、機器類もあまり使いこまれていないため、良好な状態で譲渡を受けることができる。つまり、不景気な今だからこそ、狙い目の物件が増えているといえるのだ。


【忘れてならない中古のリスク】

 ここで注意しなければならないのは、居抜き物件は、店舗設備から什器・備品にいたるまで、すべて中古品であるという認識をもつこと。中古品は保証もなく、新品より早く取り替えなければならない。なかにはすでに不具合がでているものも含まれているかもしれない。
 これらのリスクを回避するためには、譲渡を受ける前に、前オーナーに十分にヒアリングをし、万一故障していた場合、どちらの負担で修理をするかをあらかじめ決めておくことが重要だ。引き渡し時やその直後の故障は、前オーナーが負担するのが当然だが、現実には難しいことも多い。最初から一定のルールを決め、書面にしておく方がいいだろう。
 また、壁の中や床の下など、すべてを確認することはできない。例えば厨房の床は、防水加工のためにゴムシートを張り巡らしている。これがどんな状況になっているのかは床をはがしてみないとチェックできない。不具合がないか、できるだけ確実な判断をするためには、飲食店の物件を扱ったことのある設計者や設備などのハード面を十分に理解しているプロに見てもらい、判断を仰ぐほうがいいだろう。
ちなみにゴムシートは1枚のシートからできている。一ヵ所でも破損すれば、すべてを取り替えなくてはならない。厨房機器の入れ替えの際に、誤って防水加工に影響を与えてしまうこともあるため、十分な注意が必要だ。


【リース契約の落とし穴】

 居抜き物件では、店内外の什器・備品などを一式まるごと買い取るのだが、ここでチェックしなければいけないのがリース品だ。
 リース品は、店舗オーナーがリース会社と契約を結ぶことで什器類を設置する。当然、オーナーが変われば、新たに契約を結び直すこととなる。なかには、リース品をそのまま引き継げる場合もあるが、違う条件での契約が必要だったり、機器を取替えなければならないこともある。最悪の場合、新たな契約が結べず、その什器がなくなってしまうこともある。そうなっては営業に影響がでてしまう。契約前に前オーナーに仲介してもらい、リース会社にその扱いを確認しておく必要があるだろう。保守契約も同じだ。
 また造作譲渡は、一つ一つに価格設定がされているわけではない。一式で買い取るため、なかには必要のない什器や備品なども含まれる。これを廃棄するのは、買い取った側となる。最近はモノを捨てるのにも、手間とコストがかかる。この点に関しても、十分考慮したいところだ。備品目録などを作成し、不要なものをリストアップし、リサイクルに出すとよいだろう。
 さらに、以前に営業許可が下りていたからといって、今回も必ず許可が下りるとは限らない。例えば、厨房内に設置しているはずの手洗い器を、その後の営業活動の中で取り外してしまっていることも多い。この場合、この取り外した手洗い器もそのまま引継ぎ、再設置しなければならないので注意したい。
 賢く利用することで、コストと時間面でのメリットが大きい居抜き物件。思い込みによる安易な判断はせず、綿密な確認とプロの目によるチェックで、最良の選択をしてもらいたい。


コラム

【「食中毒の店」と言われた悲劇。】

 居抜きとは、何らかの事情で、前のオーナーが閉店することになってしまった物件。その理由はさまざまだが、時にはその事情がとんでもない影響を与えることもある。
 渋谷区内の商店街にある中華料理屋を居抜きで取得したケースを紹介したい。ある男性が、人気のあった店がテナント募集になっていることを知り、何の疑問もなく契約をした。内装も厨房機器も状態はよく、満足できる金額での譲渡だったため、ほとんど手を入れずに、看板だけを付け替えて開業した。
 人通りは多く、見込み客は多い。ランチタイムともなると、周りの飲食店はどこも満席なのにその店はさっぱり。最初は知名度のないせいかと思ったが、どんな努力も結果には結びつかなかった。言われようのない不安にさいなまれたある日、数少ない常連客に「なかなか売れなくて・・・」といったところ、思わぬ返事が返ってきた。
「そりゃ一回でも食中毒を出したら難しいよ」
彼は食中毒を出した記憶はない。話を聞けば、前の店はノロウイルスによる食中毒を出し、経営不振になってやむなく閉店した。そんなことを知らず、内装などそのままでオープンしてしまったために、経営者が変わったことすら知られず、「食虫毒の店」というレッテルを貼られたままになってしまっていたのだ。
実に不幸な例だが、飲食店は風評が売上げに大きな影響を受けてしまう業種だ。リスクを回避するために、あらゆる事柄に神経を尖らせておく必要があるのだろう。



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