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イメージ作りに譲れない。店舗物件の条件とは? (第25回)

【イメージ作りに大切なもの】

 最近は飲食店が増え、競争が激しくなっている。おいしいものを提供していれば、自然にお客が増えたのは昔の話。今は、おいしいのは当たり前。それにプラスして、何を与えられるかが、飲食店の成功の分かれ目になっている。
 こうなると、店の雰囲気というのは、絶対に外せない重要項目となる。実際、多くのお客は店に入った瞬間に、第一印象を決め、店を格付けしてしまう。最初に「この店はステキ」と思えば気に入ってくれるし、「何か狭苦しい」と思うと、そのマイナスイメージをプラスに変えるのは難しい。
 そのため、店舗物件を選ぶ際には、自分の作りたい店のイメージを具体的にもち、それを実現できるところを選ぶことが重要となる。なぜなら、物件の特性が、デザインに影響を与えることがあるからだ。
 たとえば天井の高さ。飲食店では、開放感やさりげない空間演出が印象作りに影響する。そのためには、圧迫感のない高い天井が理想的となる。また、照明による演出などの自由度も高くなる。
 ところが、天井の高さは構造上、変更することができない。天井面に板材が張られていれば、それらを外して配管をむき出しにすることで、多少天井を高くすることができるが、所詮数十センチの話。物件によっては、それさえできないことも多い。
 一般的に、ビルの一階や商業施設など、最初から飲食店などの店舗が入ることを見込んで設計された物件は、天井が高い。ところが、古い物件や事務所、住居として使われていた物件を店舗に作り変えるときは、低いことが多い。
 また厨房部分は、排水パイプを通したり、グリストラップを作るために、床を上げなければいけないこともある。低い天井では、圧迫感をさらに増すことになりかねない。
 逆に、吹き抜けなどで天井が著しく高い場合は、暖房効率が極端に悪くなり、空調設備に工夫が必要となる。高額な光熱費が必要となることもあるので、こちらも十分に考えなければならない。


【使えないスペースがないかをチェック】

 当然ながら、物件の形状も変更はできない。店舗物件は、長方形や正方形が理想的で、設計の自由度も高いが、実際には台形やL字型、凹凸がある変形地の物件も少なくない。
 店舗は、限られた空間の中に、客席と厨房、トイレや収納スペースを配さなければならない。形状によっては、おのずと制約ができてしまう。
 例えばL字型の場合、多くは大きな空間と小さな空間に分けられる。大きさにもよるが、一般的には厨房と客席に分けることが多い。ところが、これでは厨房からお客の状態を見渡すことが困難で、少人数での運営には支障がでる。時には、厨房が広すぎたり狭すぎたりして、使い勝手が悪いことも少なくない。
 また、梁があったり、メーターなどの機器類や消火栓が物件内にある場合、有効に使えないスペースが生じてしまう。それが、デザインの妨げになったり、デットスペースになってしまう。
 これらの不利な条件を回避するためにも、最初に物件を見た段階で、ある程度の配置をシミュレーションしておく必要があるだろう。


【小さい店ほど念入りにチェック】

 他にも、チェックすべきところはたくさんある。物件への出入り口は変更ができないことが多い(完全スケルトンの場合は別だが)。出入り口が客席とキッチンなどのスペースを分けることも多く、店舗の印象にも大きな影響を与えることが多いので、注意が必要だ。また、採光に必要な窓も、簡単に増やせるものではない。そもそも窓がない物件もある。自然光がないのであれば、照明でフォローしていくしかないし、開放感はなくなる。
 窓がある場合、そこから見える風景にも注意が必要だ。隣接するビルの壁がすぐそこに迫っていたり、ゴミ置き場など、雰囲気を壊してしまうようなものが見えないかも確認しておきたい。
 ちなみに、窓を作ることは簡単ではないが、なくすことは簡単だ。棚を置いたり、ボードを立てることで覆い隠すことができる。実際、計画的に作った窓以外のものは、すべて隠すことを基本にしている外食チェーンも多い。ただし、排煙窓や避難経路となる窓など、安全面に関わるものは、その機能を阻害しないように注意が必要だ。
 これらの例のように、物件には、デザインではカバーできない要因がたくさんある。自分で判断できない場合は、デザイナーや設計士に意見を求めることも必要になってくる。特に小さな物件であれば、細かい部分まで注意を払わなければならない。小さなスペースもムダにはしたくないし、余計なコストもかけたくないからだ。
 物件探しはあせらず慎重に。あらゆる角度から物件を見つめ、冷静な判断を下してもらいたい。


コラム

【日に日にひどくなる悪臭の原因は?】

 路面店にくらべ、格安で借りることのできる地下物件。ところがここには、意外な落とし穴もあるので注意したい。
 ある兄弟が、焼き鳥店をオープンした。元は雑貨店として使われていた地下1階の物件で、立地と広さ、コストを考えた結果、そこがベストと判断した。
 オープンから半年経ち、常連客も増えた頃、仕込みのために店に行くと、何とも言えない悪臭がするようになった。それは日に日にひどくなり、ついにお客さんからも「変なにおいがする」と言われてしまう。ゴミの始末や食材の管理を徹底したが、臭いは一向に収まらず、困りはてていたとき、「ビルのシステムに不具合が生じた」と管理会社の人が来た。調べてみると、店舗の下の排水システムがうまく作動しなくなっているという。これは、地下に一旦排水をため、それを定期的に組み上げて、下水に流すシステムで、地下のある物件には必ずあるものだ。うまく組み上げられているのであれば問題はなく、それまでは何のトラブルもなかった。ところが、トイレくらいしか水を使わなかった雑貨店から、油ものの多い飲食店になったことで、この組み上げ装置に油脂がこびりつき、不具合が生じた。
 定期的なメンテナンスでこの問題は回避できるとのことだったが、半年に1回。約10万円のコストがかかってしまう。このコストをビルのシステムの不具合と考えて大家が負担するのか、業種による特性として店舗が払うのか。大家との微妙な駆け引きが続いている。




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