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不動産屋との友好な関係が、よりよい物件探しの近道 (第26回)

【時間がかかるからこそいい関係を】

 不動産屋と開業希望者は、ビジネス上の付き合い。とはいえ、やはり人と人。どうしても個人的な感覚を無視することはできない。特に物件探しは、時間のかかる作業だ。不動産業者との相性はもちろん、良好な関係を築いてこそ、よりよい結果がついてくるというもの。
 今回は、事業用物件を専門的に扱う不動産屋の言葉を紹介しながら、有効な関係を築くためのポイントを探ってみたい。




【やる気を見せるには、こまめな連絡がカギ】

 不動産屋に行って、すぐに物件を見つけられる人は、まずいない。物件は生き物と言われる。不動産屋には、毎日新しい情報が入り、その中から担当者が、「これだ」と思うものを選び、FAXなどで開業希望者に提供される。
 最初はたくさんの情報がもたらされるが、だんだんその件数が減ってくる。毎日だったものが、週に一度になり、月に一度になり、そしていつのまにか来なくなる…というのがパターンだ。それはなぜだろうか?
 不動産屋の契約は成立までに時間がかかる。開業希望者がいくつもの不動産屋に声をかけているケースもあれば、時間をかけているうちに気が変わり、開業事態をあきらめる人も出てくる。業者がどんなにがんばっても、契約までたどりつけないケースの方が多いのだ。
「実際に契約までもって行けるのはほんの一握り。どんなにたくさんの物件を紹介しても、徒労に終わることも多いので、効率よく仕事をするためには、どうしても“意欲がある人”、つまり“契約につながりそうな人”を優先してしまう」というのも当然だ。
 慣れとは不思議なもので、最初は心躍らせたFAXも、そのうち当たり前の存在になってしまい、いちいちコメントをするのが面倒になってくる。そして、不動産屋への連絡期間がだんだん開いてしまう。
 こうなると、不動産業者は「契約に結び付かない」と判断する。多少面倒に感じても、その情報を探し出し、送ってくれた業者への感謝の心を忘れず、感想をかならず伝えるようにしたい。




【要望やNGポイントは、具体的に伝える】

 物件を紹介してもらうために、不動産屋に伝える条件はさまざま。家賃や契約時にかかるコスト、広さなど、数字で表せることは分かりやすいが、立地や外観、物件特性など、主観的な要素が多い部分は、時間をかけて業者との間で、イメージをすりあわせていくしかない。
 不動産屋は「条件に近いと思った物件を紹介するのですが、『何かピンとこない』『イメージが違う気がする』など、漠然とした表現で返されると、次にどんな物件を紹介すればいいのかわからなくなってしまいます」と言う。
 頭で考えていることを言葉で表現するのは意外に難しい。十分に伝えたつもりでも、微妙なニュアンスが伝わっていないことも多い。イメージの溝を埋めるには努力が必要だ。要望はもちろんだが、見に行った物件の『ここがダメ』という点も、きっちりと伝えることが、両者の距離を縮める大切な手順であり、よりよい物件探しにつながることを肝に銘じておきたい。




【意見を聞き入れる余裕をもつ】

自分の店をもつことが長年の夢であり、それを実現するために、妥協を許さないという人も多い。だが、お金に制限がないのならまだしも、決められたコストで物件を取得するには、何らかの妥協も必要になる。
「コストを優先するために、他の条件が違っても、できるだけイメージに近い物件を紹介しようとするのですが、なかには『条件にあわない物件は紹介してほしくない』という人もいます。でも、そう言われてしまうと、紹介できる物件がなくなってしまうのが現実です。「それを探すのがプロだろう」と言われても、どうしようもないこともあります」
 譲れない条件があるのは当然だが、そればかりではうまくいかないのが物件探し。優先順位をつけることが必要だ。また、こんなことも言っている。
「条件が違っても、実際に足を運んでみて、物件を気に入ることもあります。最初からダメだと決めつけず、試しに見に行ってみるという人の方が、数倍早く物件を見つけられます」
 不動産屋は、物件探しのプロ。新しい発見を手伝ってくれる存在でもあるので、かたくなに自分の意見を主張するのではなく、柔軟な姿勢がいい結果を生むのだ。
 また、開業希望者は意識しないことが多いが、不動産屋は、物件の大家との付き合いの方が長い。物件を紹介して開業した人が、業績不振ですぐに閉店してしまった場合など、大家は決していい印象を持たない。そうして、大家と不動産屋の関係がギクシャクしないために、いい物件には信頼できそうな人を入れたいというのが本音だ。まずは不動産業者と友好な関係を築くことが、いい物件と出会う近道となるだろう。




コラム

【誰にも言えない、不動産屋の憂鬱】

 ある不動産屋の一番の悩みだ。
 5年近く前、まだ彼が不動産屋に転職して間もない頃、こだわりの料理屋を開業したいという男性が訪ねてきた。張り切った彼は、年齢が10歳も年上だった男性に、「他の飲食店もたくさん見て、気に入ったことを教えてください。物件は僕が探しだします」と言った。すると、男性はその誠実さを気に入り、「必ず君と契約する」と約束した。
 しかし、この男性の探している物件は、条件が細かい。しかも、他の店を精力的に見学に行き、条件はどんどん増えていった。
「FAXなどで紹介した物件は1000件以上。見に行った物件も200件はある」というが、契約にはいたっていない。「男性の探している物件は、条件が厳しく、妥協もしないため、見つけられないというのが正直なところ。それを伝えても、『大丈夫。そのうち出てくるよ』と言って、笑う」のだという。
 男性は決して悪い人ではない。それは彼もわかっているが、もうどうしていいのかわからない。毎月一度、不動産屋に男性が来る日は気が重く、逃げ出したいほど。それでも男性は言う。
「ここまでがんばってくれたんだから、絶対に君と契約するから」と。
 彼の憂鬱は、まだまだ続きそうだ。




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