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私が、居抜き物件をあきらめた理由 (第29回)

【早く、安くスタートできる居抜き物件】

 今回は、私自身と知人の体験を紹介したい。
 多くの人が店を開きたいと思ったとき、“居抜き物件”を探す。これは、スケルトン状態の物件から店を造るより、すでに厨房などが完成している居抜き物件の方が、初期にかかるコストが安く済むからだ。
 この考え方は実に正しい。飲食店に必要な設備は独特で、特に吸排気と排水の設備に関してはコストがかかる。また、厨房の防水加工や防火に配慮しつつ、営業許可の下りる厨房を造らなくてはならない。こう考えると、すでに営業している店は、これらの条件を満たしているので、これを選んだ方が賢いと言える。
 実際に、私の知人は居抜き物件でラーメン店を始めた。約3年、別の人がラーメン店を経営していたその物件は、お世辞にもキレイとは言えなかった。コンロ周りは油がこびりつき、フードも色が変わり、床はべたついていた。
「もう少し清掃をしてから引き渡されると思っていた」というほどヒドイ状態だったが、その分造作譲渡はわずか30万円という超破格。立地も悪くなかったため、すぐに契約を決めた。
 徹底的に掃除をするのに2週間。壁や床を磨き、薄汚れたカウンターは削って化粧合板を張り付けた。厨房機器のあまりの汚れに不具合を心配したが、まだ3年しか使っていなかったため何のトラブルもなく、むしろ快適なほどだった。
 その後、彼は1年ほどで、止むを得ない事情で店を移転することとなるが、そのときには店舗造作を70万円に設定し、「安い」と言われたそうだ。


【相場のない造作譲渡】

 ところが私の場合は逆。資金は少なかったが、あえて居抜き物件ではなくスケルトンに近い物件を借りた。
 もちろん、最初に探したのは居抜き物件。ところが、開業する地域を限定した結果、出てくる物件はことごとく条件に合わない。スポーツバーを造りたいのに、純和風のそば屋、厨房だけがやけに広い定食屋など、どれも自分のコンセプトとは程遠いものばかり。なかには、不動産屋の案内で「盛業中」となっているのに、どう見ても採算がとれる印象のないものもあった。
 探しに探して、やっと見つけた物件は、広さも立地もイメージに近く、家賃も手頃に思えた。しかし、前の経営者が開業時の借金を返済したいために、造作譲渡を400万円に設定。調べてみると厨房機器はリース品が多く、実際に譲渡されるのはわずかな機器と客席部分だけ。価格交渉を試みたがまったく応じる気配はなく、物別れに終わってしまった。
 そんなとき「駅近くの地下に、飲食店OKの物件が出た」というので足を運んだのが今の物件。建設関係の事務所として使われていた物件は、殺風景な空間の奥に広めの倉庫スペースがついていた。直前に、譲渡価格交渉でうんざりしていた私は、設計事務所の人に、倉庫部分に厨房を造るシミュレーションをしてもらうと、排水設備などが比較的簡単に造れる構造だということが判明。後で聞いた話だが、「いつかここで、自分で飲食店をやるかも」と考えた大家が、ビルを建てる際、飲食店に造り替えやすいよう設計していたのだ。見積もりを出すと、当初計画していた価格よりは高いものの、家賃の安さを考えれば、高い造作譲渡を吹っかけられた前の物件と、そんなに変わらない金額で店づくりが可能なことが分かった。最初から自分で造るため、ローコストでもポイントを外さない店が完成した。
 相場のある賃料や保証金とは違い、造作は前オーナーの言い値であることが多い。そのまま活用できるのなら問題も少ないが、多くはそこから手を加える必要がある。自分のカラーを出すのであれば、少しでも安く譲ってもらいたいのが本音だ。あまり満足のいくものに出会えないなら、一度、居抜き以外の物件を探してみてはどうだろうか?



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