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甘い罠にご用心!物件探しの落とし穴 (第30回)

【スクール途中で通った不動産屋】

今回は、物件選びに失敗した人の例を紹介したい。
江口幸枝さんは、栄養士を目指して専門学校に通っていたが、自分で作った料理を人に食べてもらうことに喜びを感じるようになり、カフェをやりたいと思うようになった。専門知識がなかった彼女は、いろいろな人に話を聞き、カフェ開業のビジネススクールに通うことにした。
スクールでは、自分の開業計画を具体化し、カリキュラム終了時には開業可能となるようになっていた。実際に卒業後すぐに開業する人もいて、夢は膨らんでいった。
彼女は、カリキュラムに合わせ、自分のつくりたいカフェのイメージを具体化していった。そして、計画書の作成がある程度まとまったところで不動産屋を訪ねた。それは特別珍しいことではなく、同じコースで学ぶほとんどの人がしていることだったという。
「いくつかの業者に会い、そのうち一人の担当者さんが、とても親身になってくれて『この人に物件を探してもらおう』と決めました」
物件探しはスクールと同時進行だったため、急いでいたわけではなかった。ただ時間のかかる物件探しをスムーズに進めるために組み込まれたカリキュラムの一つだった。


【忠告も耳に届かず……】

しかし彼女は、スクールの途中でイメージに近い物件を見つけた。それは、不動産屋一押しの物件だった。
「何度もその不動産屋に通ううち、講師よりその担当者の方が頼れる存在になり、いろいろな相談事を持っていくようになりました。夢のような話で盛り上がり『2件目は渋谷のど真ん中に店を出すから、そのときもよろしく』などと冗談みたいに本気で話したり。いつのまにか、ただの不動産屋ではなく、コンサルタントのような存在に思ってしまっていました」
スクールの講師には何度も「その物件でいいのか。もっと他も見た方がいいんじゃないか」と止められたが、そんな忠告は耳に入らず「ここが私の夢を叶える場所です」と答えた。そして、21歳のオーナーが誕生した。
ところがカフェをオープンしても、売上げは伸びなかった。地域に愛される店づくりを目指したが、路地裏で視認性も悪くなかなか認知されなかった。
「いつか何とかなるとがんばったのですが、だんだんと家賃が遅れるようになっていきました。そしてある日、その不動産担当者から『大家さんが怒っているから家賃を早く振り込むように』と冷たい催促の連絡があり、現実を知りました」


【厳しい言葉こそ重要なこと】

彼女は大きな勘ちがいをしていた。現実は甘いものではなく、そのために生きた知識を身につけさせようとした講師は、何度も計画書にダメ出しをし、厳しいことを言った。
一方、不動産屋の担当者は、物件を契約してもらいたい一心で、彼女の夢のような話につきあった。そして彼女は、自分を本当に理解してくれるのは、担当者だと思ってしまったのだ。若気の至りと言ってしまえばそれまでだが……。
結局江口さんは、カフェを手放すことにした。幸い、スクールで同じコースだった人がその店を引き取りたいと言ったため、店舗造作ごと譲った。それでも、開業資金と毎月の営業赤字分を相殺できるはずはなく、400万円の借金が残った。
開業当初、若い彼女は自分名義で融資を受けられなかったため、親名義での借金をしている。「これ以上、親に迷惑はかけられないし信用を取り戻したい」と、その返済のために毎日アルバイトに明け暮れている。
彼女の失敗は、若かったからだけではない。誰もが陥る落とし穴。わかっているようで、知らず知らずのうちに陥ってしまう罠だとも言える。本当に大切なことは何か。それを冷静に見つめてほしい。



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