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売れないと言われた物件でも低家賃が安定経営のカギに! (第35回)

【昇格を断って決めた独立の道】

今回は、周りの人が驚くような物件で飲食店を始め、成功した例を紹介したい。
橋元一太さんは、高校を卒業してレストランチェーンに就職した。
キッチンを担当し、同期の中で一番早くチーフに昇格。

将来を約束されたが「自分の店を持つには、調理技術だけがあってもしょうがない」と30歳で転職。
小さな居酒屋チェーンでフロア係として働き、接客技術も身につけた。

35歳になる頃には、複数の店舗を統括する役職への昇進を打診されたが「営業感覚が鈍る」と断り、真剣に独立のための活動を始めた。


【死んでいるといわれた物件】

橋元さんが理想とした店は「お客との距離が限りなく近い店」。
立地はあえて住宅地の中にあるような物件を探した。

「できることなら、お店に来るお客さん全員が常連客で、気軽に来れるようなお店を作りたかったので、
生活に近い場所で物件を探しました。
もちろん、家賃が劇的に安いこともありましたが……」

そうして見つけた物件は、住宅地の中にあった小さな旧商店街の店舗。
十数年前まで、そこには12〜13軒程の店舗が並んでいたらしいが、今では小さな生活雑貨店と家具店、コンビニエンスストアが残るだけになっていた。

10坪弱の木造店舗は、一戸建てタイプで2階に住宅付き。
3年前まで中華料理店が営業していたが、その後誰も立ち入ったことがなく、古い油とほこりの匂いで
「物件としては死んでいる」と不動産業者が思わずつぶやいたという。
家主も、もう借り手はいないと放置し「いつか取り壊すだろう」と思っていた程だ。

ところが橋元さんは、その物件をなぜか気に入った。
店を入ると、右にオープンキッチンとそれに対面するカウンター席。
左側には小さなテーブル席があり、奥には座敷席もあった。
油まみれの厨房は造り替えるしかなかったが、客席部分は多少手を加えれば使えると判断した。

3駅利用可と謳われていた立地だが、逆に言えばどの駅からも遠く徒歩15分以上かかった。
しかし、物件の周りを歩いてみると近くには新しい一戸建てや小さなマンションが多く、若い世代が移り住んできている雰囲気だった。

 周辺に飲食店はほとんどなく、気軽に行けるのはコンビニのみ。
その証拠に、コンビニには、常にたくさんのお客がいた。


【低家賃だからできる安定経営】 
家賃によっては前向きに検討したい旨を伝えると、不動産屋と家主は「本気ですか?」と何度も聞いたそうだ。
元々取り壊すつもりの物件だったため、賃料はわずか13万円。
しかも、初回の害虫・ネズミ駆除は、これまで放置してきた責任として家主が負担してくれ、保証金もわずか1ヵ月分だった。

 また、2階は住居だったため、当時住んでいたマンションの賃料7万円が不要になり、結果6万円で店を始められた。

 橋元さんは、店を始めるにあたり近隣店舗に挨拶に行った。
すると、雑貨店の店主には「本気か? ここは勝ち目ないぞ」と心配され、コンビニのオーナーには
「わざと売れない店を作って税金対策ですか?」と真顔で聞かれた。

 今となっては笑い話だが、その時は「全員に売れないと言われ、俺の人生終わったかなと毎晩不安になった」そうだ。

 店舗は約150万円かけて改装し、オシャレな洋風居酒屋として生まれ変わった。
低価格でおいしいメニューが味わえると評判になり、週末には昼も夜も満席になるようになった。
もちろん店に来るのは、近所に住む常連客がほとんど。まさに理想の店舗となった。

 彼は、誰も見向きもしなかった物件を探し、初期コストもランニングコストも低く抑えることに成功した。
住宅地の物件は集客面での不安こそあるが、割安なのが特徴。
常連客を獲得すれば、競合店が少ない分、安定した経営が可能となる。
小さい店でも、ムリなく着実な成功を望むなら、意外な物件を探してみるのも一つの成功法かもしれない。


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