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見落としがちな入口・階段の落とし穴・・・ (第38回)

【手探りで始めた物件探し】

開業時は、実にさまざまなコストがかかる。それを抑えるのが”賢い開業“と言えるだろう。
だが、物件の特性を理解せず、コスト削減ばかりに目を向けてしまってはうまくいかないこともある。
今回は、一組の夫婦の失敗を参考に、物件選びでの盲点を考えてみたい。

津川一太さんが居酒屋開業を考えたのは、55歳の時。
早期退職で退職金が増額されることを知り、迷わず手を挙げた。
奥さんの「老後は2人で店を持ちたい」との夢を叶えるための決断だった。

物件探しは難しかったが、業務用の物件を専門に扱う不動産業者と巡り合い、
アドバイスをもらいながらイメージを膨らませた。

4ヵ月ほど経ち「これだ」と思う物件を見つけた。
駅からは10分ほど離れていたが、商店街の中ほどにあり、人の往来は十分にある。
2階だったが、商店街に面した部分はガラス張りで、道行く人が中の様子を見ることができる。
1階には人気のパン屋があり、その横に2階へ続く専用階段があった。
「照明を工夫すれば、人目を引く店ができる。2階のデメリットはない」と担当者も太鼓判を押した。



【気付かなかった軒先渡しの罠】

厨房什器は、飲食店専門の中古品センターで、全て自分たちで用意した。
内装工事は着々と進み、業者が指定した日に、購入した厨房什器の納品を手配。
業者は「什器の設置・運搬に人を増やす」と言ったが「手伝うから最低限の人数にしてくれ」と頼んだ。

当日に、1階の階段下での受け渡し、つまり軒先渡しだったことを知る。
津川さんは驚いたが、確かに購入の時に、その確認をされたのを思い出し、しぶしぶその場に置いていってもらった。
ところがその量は決して少なくない。1階のパン屋に「営業妨害だ」と言われ、一刻も早く2階に上げる必要があった。

購入した什器はとても大きいものだった。大型冷蔵庫は6枚ドア。専用階段の幅は120?で、両側は壁で覆われている。
しかも、店に入れるためには、ドアの所で90度方向転換をしなければならない。
しかし、ドアの幅は90?。内装業者に「どうやっても搬入できない」と告げられ、津川さんは途方に暮れた。

そうしているうちに、パン屋のオーナーから再びクレーム。津川さんはひたすら頭を下げるしかなかった。
業者に相談すると「窓を外してクレーンで吊って店内に入れるか、別のものを購入し直すかしかない」と言われた。
窓はしっかり造りこまれたもので、開け閉めもできない。
外すとなると、コストもさることながら、人員やクレーンの手配で、すぐに何とかなるものではない。

結局、什器をいったん返品することにした。購入した中古屋に連絡し、返品したい旨を伝えた。
しかし中古品は引き取り対象となるため、購入金額の3〜4割程度でしか買い取れないと言われた。
なんとか交渉して7割で買い取ってもらったが、運送業者を呼んでの運搬となるため、送料もかなりの金額となった。



【安易な判断が100万円の損に】

冷静になって考えれば、当初の見積もりの中に”ガラスを外して再度取り付ける工賃“が含まれていた。
しかも、自分たちで購入することになった時も、業者側がその必要がないか聞いたという。
しかし、コストカットばかりに意識が向き断ってしまった。

結局、このトラブルで100万円近いコストを無駄に使い、1階のパン屋や大家との関係を悪くし大きなストレスを感じる結果となった。

物件によっては、出入り口の場所やサイズを変更することができない。
内装はスケルトン状態であれば自由に作れるが、まずは物件の中に什器や設備を搬入しなくてはならない。

物件には、意外な落とし穴がある。
落とし穴にはまらないためには、広い視野でチェックし、時には専門家の意見も取り入れる必要があるだろう。




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