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女性客を狙ったはず?!気づかなかった足元事情 (第50回)

【ロフトつきの個性派物件】

 飲食店は「女性客の人気が上がると、男性客も自然に増える」と言われる。今回は、その法則を利用しようとしながら、基本的なところに目を向けられなかった2つの例を紹介したい。
 新宿地域で2軒の居酒屋を展開するAさんは、次の店舗物件を探していた。それまでの2店舗は親の代から受け継いだもので、こぢんまりとした和風居酒屋。売上げも順調に推移していたが規模が小さいため、利益と言っても金額にするとたいしたことはない。そのため、次に出す3店舗目が勝負であり、できれば新宿駅に近いところに洋風店を出したいと考えていた。
 そんな中、古い建物だがロッジを思わせる物件を見つけた。ワンフロア20坪を切るくらいの大きさで天井が高く、3分の1程の広さのロフトがついていた。「これは女性にうける」と思ったAさんは、すぐに契約を決めた。
 そこで始めたのが、イタリアンをベースとした創作料理居酒屋。ロフトは屋根裏部屋に見えるよう天井部分を斜めにし、ゆったりとした上質なソファを置くことで、プライベート空間として利用できるようにした。
 オープン後しばらくは満席の日が続き、ロフトは予約しないと利用できない特等席となった。ところが、その人気も徐々にトーンダウン。それどころか、リピート客の中には、「ロフト以外の席でお願いします」という人が増加。一番人気のない席になってしまった。
 キッチンやトイレを広めに作ったため、普通席は少ない。ロフトが回転しない状況では、十分な売上げが上がらず、だんだんと苦しい状況に陥っていった。



【最大の特長が敬遠の理由に】


 脱サラ開業をしたBさんは、おいしいサンドイッチとスイーツのカフェをオープンした。坂の中ほどの角地にある店は居抜き物件で、奥が厨房で入口側は客席。道路に面する部分はすべてガラス張りで、カウンター席となっていた。朝から日差しが差し込み、実にすがすがしい雰囲気だったが、売上げが伸び悩んでいた。
 この2つの例は、同じことを理由に、女性客を取り込めていなかった。それは「女性客が非常に利用しにくい、いやむしろ敬遠したくなる状態」だったのだ。
 Aさんのロフトは1階部分の圧迫感をなくし、また個性を出すためという理由で、立ち上がり部分のないスケルトンの階段を使っていた。しかもその階段は、店の中央部にあるため、上り下りする際、スカートをはいていると1階席から下着が見えてしまう危険がある。(実際には見えないようになっているそうだが、そんな気がするだけで十分マイナス要素となる)
 Bさんの店は坂の中ほどにあるため、入口部分は道と同じ高さだが、徐々にその差が大きくなり、一番端では1m程の高さになっていた。その一面がガラス張りでカウンター席となると、やはり足元が気になり落ち着かない。そんな理由から、一度利用した女性客はリピートすることはないのだった。




【飲食店に向かない物件?】

 この2つの物件は、どちらも一目惚れ。即決状態で契約に至っている。店全体を見渡し特長的だったその箇所を店の売りにしようと決め、その思いが先行したために、基本的な部分を見落としてしまったのかもしれない。
 同じような勘違いは他にもたくさんある。そして、その多くに共通しているのは「お客の立場に立てばすぐに気付くはずなのに、現実にはなぜか気付かれないこと」にある。
 その後、Aさんは店をクローズし、次の人が物件ごと購入。商業ビルに建て替えた。Bさんは、他の場所に移転。その物件は、不動産屋の店舗として使われているらしい。
 ただの偶然かもしれないが、2人が夢を託した物件は、そのままでは飲食店に向かないものだったということなのかもしれない。




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