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チャンスか、ピンチか。 商店会が丸ごと勘ちがいの悲劇。 (第55回)

【再開発に沸く駅前商店会】


 全国の都市部で再開発が進んでいる。今回紹介するのは、この再開発に関連した物件の話。商店会が丸ごと勘ちがいした「まさか!」の話だ。
 そこは都内の私鉄沿線、駅前商店会。ターミナル駅からわずか1駅という場所で、昔から住宅地として栄えていた上に、多くのビルが建設され、有名企業が本社を構えるようにまでなった。ビジネス街と住宅地が混在する人口密集地だ。
 駅前には大きな空き地があり「数年後には商業施設と超高層オフィスビルができる」と、地元住民からの期待も高まっていた。
 駅前から延びる生活道路は道幅数メートルの一方通行。路肩には自転車が無数に止められ、
車と人がごちゃ混ぜになって通らなければならなかった。だからこそ、この不便な駅前の近代化に、商店会のテンションは上がる一方だった。
 通り沿いのいくつかの古い建物は立派なビルに建て替えられ、商店会全体が真新しく変貌を遂げようとしていた。



【道はできたが人が来ない】


 そんな中Aさんは、新築ビルの1階にカフェ希望の物件があること知り、商店会長のつてを使って紹介してもらった。駅前の新築ビルのため、保証金も家賃も決して安いとは言えない。家賃交渉を試みたが「町が新しくなるから、売上げも跳ね上がる」と、あまり取り合ってくれない。それでも紹介者である商店会長の顔を立て、契約をした。
 カフェがオープンする頃、工事用の壁は取り払われ、一体の風景が様変わり。ごちゃごちゃしていて危険だった道は、そのまま広い歩道となり、ゆったりとした2車線の車道に。さらにビル側にも大きな歩道ができ、洗練された街並みとなった。
 家主はビルの最上階に住んでいることもあり、店によく顔を出してくれた。良好な関係を築いたが、家主が言ったような「売上げが跳ね上がる」気配はまったくない。さすがにランチタイムは混んだが、それ以外の時間はまったくと言っていい状態だった。
 駅から徒歩1分。広い間口は全面ガラス張りで、たくさんの花と黒板を飾りアピールは十分のはず。コーヒーの香りが周りに漂い、最高の演出になっているのだがいかんせん人通りがない。
 心配になったAさんは、商店会長に周りの店の状況を聞きに行った。
 「どの店もかなり苦戦している」
 その言葉は辛いものだったが、予想していた答えでもあったそうだ。




【不便になって変わる人の流れ】

 もちろんその一帯の人口が減ったわけではない。狭い道に密集していた人は、2つに分かれた歩道のどちらかを利用する。大型オフィスビルには、駅に通じる地下道が2ヵ所できたため、多くの人は店と逆側の歩道を利用するようになったのだ。さらに道幅が広いため、道を渡るのは億劫。しかも、オフィスビルの中にはいくつもの飲食店が入っている。仕事帰りにコーヒーが飲みたければ、ビル内のカフェを利用するのは当然の流れだった。
 また、大型の自転車駐輪場ができたことで、歩道への駐輪は厳しく取り締まられるようになった。自転車を駐輪場に止めて、カフェまで歩く人はいない。近隣住民も気軽に利用できない駅前商店会になってしまったのだ。
 予想外なことに、期待していた道路ができ、新しい人の流れができたことで、肝心の商店会を利用する人が激減することになってしまった。
 その後、商店会として各店を盛り上げる企画を立て、家主の好意で駐輪スペースを店の脇に造ってもらったが、劇的に売上げが好転することはなかった。
 誰も考えなかったと言えばそれまでだが、どんな言い訳をしても、失敗をして痛手を負うのは自分自身。街が変れば、チャンスも増えるがリスクも増える。考えうる可能性をじっくり考え、納得してから契約しなければ、辛い結果になったときに浮かばれない。






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