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一店舗のみ展開の小規模飲食事業もM&A! 想いを込めた事業の持続をミッションとする伊藤商事の挑戦

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2021年09月09日

ひと昔前と比べてM&Aは一般的に周知されているものの、飲食業界においては、まだまだ広く認識されているとは言い難い。「M&Aは大手企業が行うもの」という考えが根強く残っているのが現実だ。しかし、実際には店舗数の少ない小規模事業でも、M&Aによって売買が行われている事例は増えつつある。今回は、2021年5月に東京都武蔵野市のcafé事業を買収した伊藤商事代表の・伊藤和彦氏にインタビューを行った。

一店舗のみ展開の小規模飲食事業もM&A! 想いを込めた事業の持続をミッションとする伊藤商事の挑戦

伊藤和彦 氏
サラリーマンとして一般企業に所属しつつ、2013年頃から個人で不動産の大家として賃貸管理、売買などを行っている。その後、中小企業の跡継ぎ不足の問題に目を向け、M&Aによる事業の承継や持続、利益の増加を担う事業を始めるため、2017年に伊藤商事を設立。2021年5月に東京都武蔵野市のcafé事業を買収した。

企業勤めと個人事業の同時進行で知見を深め、中小企業の「跡継ぎ不足」に着目

-今回、伊藤さんにとって初のM&A案件となったわけですが、M&Aを行おうとしたきっかけはどのようなものだったのですか?

伊藤:もともと私は会社員だったのですが、2013年頃から個人で不動産の大家も始めました。不動産事業は好調に推移しており、法人化したのですが、それまでの個人としての信用が法人を上回る状態にあったんです。そこで、何か別の事業で信用を作ろうと考えたとき、「中小企業の跡継ぎ不足」という問題に目が向きました。

-「2025年問題」などと言われ、たびたび危惧されている話題ですね。

伊藤:会社勤めの頃、中小企業の経営者の方とお話しすることが多かったのですが、経営がうまくいっているのに跡継ぎがいないことによって廃業する、いわゆる「黒字廃業」を考えている方がとても多かった。それを聞くたび、その会社の歴史や事業にかける思いが途絶えるのはもったいない、と、歯がゆさを感じていました。これは、不動産事業でも同様で、投資家の方々から、自分がずっと守っている物件に価格以外の価値を見出し、それを引き継いでいくためなら売却も厭わない、という話を聞く機会も多かったんです。そういった「跡継ぎ不足」の問題をリアルに目にしていたからこそ、解決にはM&Aという方法が最適だと考えたというわけです。

問題の原因はシステム化とコスト削減と仮定。未経験の飲食事業への挑戦を決意

-伊藤さんは飲食業界未経験とのことですが、今回、敢えてその業界を選んだことには理由があったのですか?

伊藤:正直なところ、どの業界でも実績を上げる自信はありました。その理由は、「跡継ぎ問題」に潜んでいる企業の多くがワンマン経営でシステム化ができておらず、非効率な体制になっている。加えて、無駄なコストを削減できていないため、利益を圧迫している。抱えている問題がこれらに集約されると思ったからです。
私自身は、サラリーマンとして組織に属していたため、仕組みづくりを得意としています。また、不動産事業は数字を管理することが仕事であると言えるでしょう。加えて、営業力にも自信がある。そんな自分の得意分野を活かすなら、“0”から“1”を生み出すことよりも、“1”を“100”にする事業の方が伸ばすことができる。すでに実績を持っている企業の事業を引き継げば、無駄を省き、効率よく加速させることができると考えました。そうはいっても将来的に持続可能な計画を立てる必要性もあるため、エンドユーザーの生活に欠かせない「衣・食・住」にフォーカスを当てることにしたんです。

-不動産事業で「住」に携わっているから、次は「食」であると。

伊藤:そうですね。人が生きる上で「衣」と比べると「食」は優先度が高いと思い、戦略の幅を広くできると思いました。

決算報告書から経営状態を徹底分析。買収前に問題点と改善点の仮説を立て、戦略を練る

-café事業については、2021年2月から検討を始め、5月に話が決まりましたが、決め手などはあったのですか?

伊藤:そもそも私がマーケットとして考えていたのが「大手がやらない小規模事業のM&A」でした。検討先のcafé事業は、前オーナーが経営する一店舗のみ。話を聞いてみると、いくつか店舗を展開したかったけれど、叶わなかったとのこと。しかし、店舗としての利益は出ている。「展開を広げてはいないけれど、きちんと黒字が出ている店舗」というのが、私の探していた店舗の条件を満たしていたんですね。

-検討中は、どのような部分を見ていたのですか?

ひたすら数字ですね。前オーナーから決算報告書も見せていただき、不明な点はヒアリング。売上と経費と利益。そういった、数字の統合性を見ていました。私にとって幸運だったのは、前オーナーが包み隠さずすべてを話してくれていたことです。これによって、店舗の抱えている問題点と改善点、対策方法などを事前に導き出し、M&A後の戦略を立てることができました。そこで「やっていける」という確信を得たため、最終決定に至りました。

買収後は順調に推移。問題抽出と改善を繰り返し、利益の増加を目論む

-では、実際にM&Aを行ってみた感触を聞かせて下さい。

伊藤:一言で言えば、ほぼ計画通りだったと感じています。コロナ禍での営業時間短縮や、それに伴う売り上げ減衰も予想済み。赤字も想定していたのですが、現状では回避をできているので、当初の予定よりも好調と言えるかもしれません。さらに、前オーナーが顧問として入ってくれているため、引継ぎもスムーズに行われています。

-逆に、想像と違っていたところもありますか?

伊藤:始めてみてからわかったのが、売り上げが大きい時と小さい時で、仕入れの原価がそれほど変わらないということでした。原因を調べてみると、仕入れと在庫管理に問題があることがわかったんです。仕入れに関してはネット注文なのですが、配送料を抑えるために、一度の発注で必要以上に多く仕入れている場面が多かった。それに加えて作り置きのロスも多かったことが、原価の高騰につながっていたんです。
また、スタッフのシフト組みなども大味で、人件費をかけすぎている時間帯などがありました。
特に、原価の問題は仕入れ量を調整すれば解決できるのですが、人件費の方は働いている人の心情も関わってきて、デリケートです。以前から働いているスタッフさんへの対応は、とても気を遣いましたね。

異業種からの挑戦だからこそ見えた飲食店経営のポイント。今後もさらなる展開を目指す

一店舗のみ展開の小規模飲食事業もM&A! 想いを込めた事業の持続をミッションとする伊藤商事の挑戦

-今後の展開は、どのように考えておられますか?

伊藤:まずは、前オーナーの意思を引き継ぎ、多店舗展開を考えております。と、言うのも、もともと私がやりたいのは元のオーナーが築いたり、守ったりしてきた文化や想いを引き継いでいくこと。そのため、現在運営しているcafé事業はもちろん、今後M&Aをする企業さまや店舗さまに関しても、もとの屋号そのままで、今まで行ってきた事業をさらに加速させていくことに注力していこうと考えています。
また、コロナ禍における昨今の状況では、来店型の事業モデルだけでは限界があると思っています。そのため、テイクアウトやデリバリー、のような小規模でできる小売りに近いスタイルの店舗も検討中です。それが形になれば、先ほどもお話ししたような「衣・食・住」の最後のひとつ「衣」に関わる事業にもつながるかと思っています。

-前オーナーの想いを汲みつつ、時勢に合わせた展開を進めていくという考えですね! では、M&Aをやってみて良かったことはどのようなことですか?

伊藤:買い手として良かったと思ったところは、自分自身の可能性を広げられたことだと思います。私自身、飲食業界は未経験でしたので、料理や接客などは、その道一本でやってこられた方たちには至りません。しかし、異業種出身だからこそ、経営や営業、数字管理など、飲食店経営者の方が苦手としがちな分野で結果に繋がるアクションをできた。そういった経験を経て、どんどん新しいアイデアも浮かぶようになり、以前は苦手としていた“0”から“1”を生み出す作業も、今ならできるように思っています。

-最後に、今後M&Aを検討している方にメッセージをお願いします!

今後、買い手としてM&Aを検討している方は、市場で勝ち筋を見出しているビジネスに着目し、その事業を加速することで、新たな展開に繋げることができるかと思います。その場合、あらかじめ起こり得る最悪のシナリオまできっちり計算に入れ、解決方法を示してから動かすこと。動き始めてからも仮説と実証の繰り返しですが、事前の綿密な戦略があるとないとでは、成功の確率が雲泥の差だと思います。
また、これは売り手となり得る方への話ですが、事業の撤退の選択肢にM&Aを加えること。まずは、その考えを持っていただくと、新たな展開を広げることができると思います。特に飲食業界では、次の店舗が居抜きで入ることを想定し、設備をいくらで売ることができるか、ということにフォーカスを当てがちで、M&Aという発想自体がない方が多い。しかし、オーナーが今まで作り上げてきた店舗や事業への想いに共感する企業は必ずいるはずです。そういった企業に店の全てを譲り渡すことで、オーナー自身の想いが後世まで引き継がれていくことは、大きな意味があると考えています。

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