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買収店舗のチェックポイント
【買収店舗のチェックポイントについて】
M&Aの最大のメリットは、運営している状態のすべてを引き継げることです。「引き継げる」ことは効率的な開業につながりますが、買収店舗の中身をしっかりと見極めることが成功失敗の分かれ道になるということでもあります。経営者自身が行うべき買収店舗チェックのポイントについてお伝えします。
【チェックをはじめる前に】
的確にチェックをしていくには、自分の中に「軸」が必要です。まずはM&Aを選んだ理由を整理しましょう。
・「利益を上げたい」、「売上を上げたい」、「成長を加速したい」、「経営の安定性を高めたい」など、M&Aの目標は何ですか?
・目標を達成するため、どのような経営資源(ノウハウ、人材、顧客、ブランド、商材、情報など)の獲得を重視しますか?
【これだけは押さえたい! 7つのチェックポイント】
多くの場合、営業中の実店舗がM&Aの対象になります。次の点をきちんと確認しておきましょう。
1. 経営状況はどうか
近年、黒字経営をしていても、経営者の高齢化、後継者不在といった理由で店舗を手放す経営者が増えています。好調な店舗を引き継ぐことは、M&Aの目標を達成する近道になるでしょう。
一方で、赤字経営であっても、黒字経営の店舗に比べて譲渡代金が低くなる、節税効果が得られるといった買収メリットはあります。対象店舗が赤字経営の場合、赤字要因を把握し、自社の経営資源で黒字化できる可能性が高いかどうか考えてみましょう。
2. 譲受後の事業展開においてふさわしい立地条件か
「コンセプトの変更」「ディナータイムのみの営業をランチタイムにも拡大」など、譲受後の新たな事業を検討することもあるでしょう。その立地は新たな事業展開に合っているかを考えましょう。
3. ターゲットとする客層が集まりやすいエリアか
店舗周辺の環境は客層に影響を与えます。近隣にどんなランドマークがあるか(建設予定があるか)、どんな主要施設があってどんな人たちに支持されているかなどの状況も事前に調査しましょう。
4. 店内の設備や造作に問題はないか
店内の設備や造作に問題が起きると、想定外の費用が発生する事態になりかねません。厨房設備や客席エリアの造作状態に問題がないか、把握しておきましょう。
5. 見えない設備に不具合はないか
店内の設備の問題の把握と同様に、見えない部分の情報も収集しましょう。騒音・臭気・煙などのトラブルは起きていないか、過去にそういったトラブルはなかったかも確認すべきです。
6. 企業文化はどう違うか
各企業には、それぞれ特有の文化があります。事業規模が違うと、企業文化が異なることもよくあるでしょう。ルールや慣習、お客様への接客方法などが変わると、経営層と引き継いだ従業員との間に感情的な衝突が生じてしまうことがあります。従業員のモチベーションを保つために、企業文化は重要なチェックポイントです。
7. 属人化していないか
買収店舗が属人的である、つまり「ある人に依存している」傾向がある場合、「あの社長だから今までついてきた」といった理由で、従業員が離職してしまうケースがあります。また、現場が特定の人のスキルに依存している場合、そのキーとなる従業員の離職をきっかけに他の従業員も退職してしまうこともあり得ます。人材の引き継ぎはM&Aの大きなメリットと言えます。ここが保てそうか、人の関係性にも目を向けましょう。
買収の対象となり得る店舗は、明日、現れるかもしれません。その後はスピーディな動きが求められます。足元を固めて、着実な成長につながるM&Aができるよう、上記に加え、自分が大切にしたいチェックポイントがないかもぜひ一度考えてみてください。
【 M&Aマニュアル > 買収で失敗しないように 】