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安定運営のキーポイントは、人材の重用と属人的仕組みからの脱却!ファンクリックス木月浩平氏の“人たらし術”に学ぶ

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2022年09月30日

2010年に『水炊き 炭火焼鳥 灯』を新丸子で開業して以来、神奈川県を中心に『GraineMarche』、『ROCCOMAN』といった数多くのヒットブランドを展開しているファンクリックス(神奈川県横浜市、代表取締役社長:木月浩平氏)。代表の木月浩平氏は全くの異業種で経験を積み、飲食業で独立開業した経歴を持つ。他の業界で学んだことは、飲食店運営でどのように役立ったのか? 木月氏の経営論、今後の展望も合わせて聞いてみた。

安定運営のキーポイントは、人材の重用と属人的仕組みからの脱却!ファンクリックス木月浩平氏の“人たらし術”に学ぶ

<経歴>
木月浩平氏
神奈川県生まれ。大学卒業後に(株)リクルート、(株)アデコなどの事業会社で組織運営などを学び、2009年にファンクリックス株式会社を設立。現在11店舗(直営、運営委託含む)を運営中。

異業種で培ったノウハウ・スキルを活かして飲食業界で独立開業

―大学を卒業後、不動産の営業、リクルートの法人営業、アデコの人材派遣業といったキャリアを歩んできた木月社長ですが、なぜ飲食業界での独立を決めたのですか?

木月浩平氏(以下、木月):学生時代、飲食業での独立を志している友人がいたことがきっかけですね。私も私で漠然と業種に関わらず「将来は起業したいな」と思っていたので、ゆくゆく「一緒に起業して飲食店を出店しよう」と約束して、卒業後に友人は飲食店で修業を開始。私はバックオフィス関連を学ぶため、まったく異なる業界へ進んだんです。
不動産では営業のスキル、リクルートでは起業家としての心構え、アデコでは人材や事務管理といった経営と運営のノウハウを身に着け、2009年に友人と合流。もともと彼は『もつなべの居酒屋』で働いていたため、当初はもつ鍋店での開業を提案してきました。しかし、私としてはもう少し客層の間口を広げたかったので、もつ鍋のノウハウを活かしつつ「水炊きと炭火焼鳥」という二本柱のコンセプトを提案し、新丸子で『水炊き 炭火焼鳥 灯』をオープンしました。

―翌2010年には、つつじヶ丘で2号店の『炭火焼鳥 創作dining 灯』。さらに2011年には武蔵小杉に『炭火焼 創作dining らい燈』、綱島に『イタリアンバール ペスカーラ』と立て続けに店舗をオープンされています。これは業績が好調だったと見てよいのでしょうか?

木月:爆発的に、というわけではないのですが、概ね上々な推移でした。特に、2011年は震災があった年で、他の店舗が停電の対象エリアだった中、武蔵小杉の『らい燈』だけは電気の供給があり、営業ができたんです。一店舗でも営業できたのは本当に大きかったです。あれがなかったら、その後の展開ももっと厳しかったように思いますね。

ナンバーワンを目指すより、街に必要とされる店を作るのがファンクリックス流の店舗展開スタイル

安定運営のキーポイントは、人材の重用と属人的仕組みからの脱却!ファンクリックス木月浩平氏の“人たらし術”に学ぶ

―その後も毎年2~3軒ほどのペースで出店。『イタリアン酒場 25NIGO』、『大衆酒場 串車力』、『GraineMarche』、『La Tettolo』と様々な業態に挑戦していますね。

木月:そうですね。ただ、別に「業態をたくさん増やしたい!」と思ってやっているわけでもないんですよ。地域で一番の店になりたいというわけでもない。
私たちの店舗展開のテーマは「街の付加価値創造」。例えば、街に新しい店舗ができるとします。たったひとつ店舗が増えただけでも、街の風景や人々の動線って変わりますよね。暗い通りが明るくなったり、人通りが増えて賑わったりする。せっかく店を出すなら、その街に必要とされるものを作りたい。その街に新しい価値を生み出し、そこで暮らす人々に喜んでもらいたい。その想いありきで、しっかり利益を出せる業態を当てはめていく。だから、自ずと多業態を展開するスタイルになっている。というわけですね。

―そんな中、2015年にたまプラーザで開業した『CRAFTBEER KITCHEN』は10ヶ月ほど運営して、売却しています。このあたり、少し展開が変わってきているように感じるのですが、いかがでしたか?

木月:まさに、ショッピングモールへの出店を始めた時期だったんです。ただ、やってみると契約関連や施設との兼ね合いなど、町場の店舗の運営とはなかなか勝手が違うことを実感しました。とはいえ、クラフトビールが流行し始めた時期でしたし、売上自体は立つ店だったんですね。なので、調子の良いうちに売却して、撤退することにしたんです。これは姉妹店の『CRAFTBEER KITCHEN 自由が丘店』も同様で、結果的に投資効率としては良かったと思います。売却にしろ、業態変更にしろ、早めに見切りをつけて次へ進むということも、長く経営をしていくうえでは重要だと考えています。

―ほかにも2016年に青物横丁で開業した『GRAN PEZZO』や2017年に渋谷で開業した『ROCCOMAN』もM&Aだったと聞きますが。

木月:『GRAN PEZZO』は懇意にしていた中古調理器具業者の不動産担当の方から居抜き物件を紹介されました。前オーナーはイタリアンをオープンして7~8ヶ月経つ状態でしたが、売上が芳しくない。ただ、ご自身としてはまだ続けたい。なにか手立てがあるなら頑張りたいという気持ちでおられました。そこで、弊社で店舗を買い取り、業態変更費用を負担。オーナーとは5年の業務委託契約を結び、造作にかかった費用をサブリース式に支払っていただく形をとりました。結果的に業績は回復し、当初の予定より大幅に早い2年ほどで彼は造作費用を回収。現在では完全に店舗を買い取り、独立した形で営業を続けられています。
『ROCCOMAN』に関しては、もともとのオーナーがその物件で別業態を運営していた頃、私に「売上が芳しくない」と、業態変更について相談してきてくれたことがきっかけでした。当時は話を聞くだけで特に売却などの話は出てこなかったのですが、その1年後に「居抜きで買ってくれないか」という連絡があって、会社ごと買い取りました。とはいえ、実質変化した部分としては代表者変更をして物件を引き継いだことくらいなんですけれども。

―今後もM&Aはしていく予定でいますか?

木月:私の経営スタイルとして、自分から積極的に展開をしていくことはほぼありません。大体が、知人から話をもらい、条件に合えばやる。というイメージです。これも「人々に求められる店舗をつくる」という弊社の展開スタイルにつながっている話かもしれません。
ただ、『GRAN PEZZO』のように「まだ店舗を続けたいけれど、業績不振で辞めなければならない」というオーナーさんは結構多いはずで、そういった方と出会うことがあれば力になっていきたいと考えています。やる気があるのに店を閉めるのはもったいない。また、私たちにしてみると、もともとやっていたオーナーが引き続きお店をやるなら人員確保が必要ない。加えて、もともと自分で経営されてきた方が運営するので、必死さが違います。だから結果が出しやすい。そういった意味で、実際この業務委託でプロデュースするようなスタイルは効率が良く、Win Winの関係を構築しやすいんです。

人と人のコミュニケーションを重要視し、円滑な会社運営を目指す

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―では、木月社長が経営において大切にしていることを教えていただけますか?

木月:まず、舞い込んできた案件は全て話を聞くようにしています。やるにしても、やらないにしても、返事はたぶん早い方。このようにしていると、周囲の方からは「とりあえず話を聞いてくれる」、「すぐに決断してくれる」というイメージを持ってもらえて、不思議と案件が舞い込んでくるんですね。そんな風に、常に「お願いしやすい人」であろうと意識しています。

―従業員、スタッフの皆さんへの接し方については何か意識をしていますか?

木月:内部のマネジメントについては、飲食店はよくも悪くも人ありきなので、コミュニケーションを最重要視しています。新しく入ってくる人には、最初に「ウチはこういう会社なんです。共感してくれますか?」と、会社の考えや方向性をしっかり伝達し、互いの考えをチューニング。これによって、のちのち意見の食い違いや問題があったとき、きちんと修正することができます。また、何か問題があったときの指示の仕方にもコツがあって、私たちマネジメントする側は相手を論破してはいけないんですね。その瞬間、敵対関係が構築されてしまう。上から押し付けるでもなく、下からお願いするでもなく、同じ目線で話をする。「今やっていることは、結果的に自分の役に立っている」と、納得してもらい、「やりたい」と思ってもらえるような言い方を心がけています。ほかにも、コロナ禍以前からオンライン会議、オンライン朝礼なども積極的に行って、社員間のコミュニケーションの時間を多めにとっていました。

―個々を尊重しながらも会社が求めていることをしっかりと伝えていかれているのですね。

木月:そうですね。ただ、人を大切にすることを重視する一方で、属人的な仕組みからの脱却も必要だと考えています。「ベテランがいないと店が回らない」、「ひとり辞めたら後釜がいない」というオペレーションでは、何かトラブルがあったときに店舗運営の継続が困難になってしまいます。例えば『ROCCOMAN』は、コックレスの業態にすることで属人的な仕組みからの脱却を実現しています。アルバイトでも簡単に、少人数で回すことができ、人員の入れ替わりにも強い。今後、店舗を増やすときには、このスタイルでいきたいですね。また、コロナ禍以降は社員の新規採用を止めています。新規採用って、お金も労力も時間もかかるもの。そこまでして採用した社員が辞めてしまった場合を考えると、リスクが大きすぎるんですよね。だからこそ、募集の集まりやすいアルバイトの採用を増やしたり、店舗運営を業務委託でお願いしたりするといったスタイルに方向転換しました。

―今後の目標なども教えていただけますか?

木月:店舗展開に関しては、ちょうどいい居抜き物件の話が入ってきたら、条件次第で広げていこうと思っています。
会社としては、もうひとつ別会社を持っているので、そことファンクリックスを繋げてホールディングスカンパニーのような形にしていこうと考えています。最終的な着地点としては上場するか、バイアウトするかに収まると思うのですが、今のところはまだ決めていないですね。
あとは日々、世間の状況に合わせて柔軟にできることを模索していく感じですかね。今の時代はなにが起きるかわからず、中長期の計画というのもあてにならないと思います。常にアンテナを高く立てて、アイデアを実現に向けていくことが重要なのだと思います。

ファンクリックス株式会社について

ファンクリックス株式会社は、「韓国屋台 kochikochi」「ROCCOMAN」をはじめとした居酒屋・専門店を展開。「自由な発想を創造し、その場所に合う様に調整し提供する」という企業理念のもとに、事業を拡大中。
ファンクリックス株式会社 HP:http://www.fancrix.com/

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