電話でのお問い合わせ
窓口:株式会社ウィット

03-6452-2190

売却相談 (無料) M&Aマイページ
  1. 飲食店ドットコムM&Aトップ
  2. M&Aマニュアル
  3. 飲食M&Aマガジン一覧
  4. 「超速鮮魚®」で新たな漁業の可能性を切り拓いた羽田市場...
飲食店M&Aマガジン
  • 買い手
  • 売り手

「超速鮮魚®」で新たな漁業の可能性を切り拓いた羽田市場。前代未聞の流通システムは、代表・野本良平氏の熱意と行動力、そして「人たらし」な人柄で作られた!

LINEで送る
Pocket

2024年08月29日

日本各地の漁師や契約産地から朝どれの鮮魚を空輸。その日の内に販売店舗へ卸す「超速鮮魚」の流通システムが話題を呼んだ羽田市場株式会社。代表取締役CEOの野本良平氏は株式会社銚子丸、株式会社エー・ピーカンパニー、株式会社柿安本店といった錚々たる飲食企業で流通や卸の仕組み作りに貢献した、まさに物流の達人だ。しかし、羽田市場創業後は、決して楽な道ばかりではなかった! いかなる困難でも不屈の精神で乗り越える野本氏のこれまでの歩みに密着。たっぷりと、お話を伺った。

「超速鮮魚®」で新たな漁業の可能性を切り拓いた羽田市場。前代未聞の流通システムは、代表・野本良平氏の熱意と行動力、そして「人たらし」な人柄で作られた!

1965年千葉県船橋市生まれ。高校卒業後、実家の食材卸会社へ入社。約15年の勤務で食材卸のノウハウを身に付ける。退社後は中国へ渡り、食品製造業に従事。2006年、株式会社銚子丸に入社するも、2008年に退社。株式会社エー・ピーカンパニーに入社し、副社長を務めた。2013年には、株式会社柿安本店に入社し常務執行役員に。2014年、羽田市場株式会社を設立する。

銚子丸、エー・ピーカンパニー、柿安本店といった大手飲食企業で活躍

―まずは、羽田市場の創業までのお話を聞かせてください。最初のキャリアは、ご実家の食材卸会社とのことですが、具体的にはどういったものを扱っていたのでしょう?

野本氏:企業の食堂に食材を卸すような、産業給食寄りの取引が主でしたが、ある時期から中国の商社と取引を始めて、輸入食品の卸を行うようになります。中国で製造した食品を、日本の実家で輸入して、さらに卸す、というかたちですね。これが事業としてしっかり伸びて、ウチの実家も大口の取引先がつくようになった。もとは家族だけでやっていた会社だったのに、私が退職する頃には従業員が100人ほどに増えていました。

―すごい躍進ですね。

野本氏:この事業モデルに手ごたえを感じたので「自分でやろう」と、中国で仕事をしていたのですが、その頃はもう大手資本がどんどん参入してきていた。ちょっと難しそうだな、と思って日本に帰ってきます。

―これが2006年頃。この後、銚子丸へ入社することになりますが、その経緯は?

野本氏:ウチの実家、居酒屋の『天狗』とも取引があって。その頃に仲良くしていただいていた銚子丸の取締役本部長から、ある日「野本さん、何やってるの?」と電話があったんです。
聞けば、上場に向けて商品企画などに力を入れたいので、協力してほしいとのこと。結局、入社からわずか1年半後には上場してしまったので、少し驚きましたけども。

―その後、2008年にはエー・ピーカンパニーへ入社しますが、こちらはどういった経緯で?

野本氏:ヘッドハンティング会社から「代表の米山久さんと面接してくれ」と声をかけられたのがきっかけです。正直なところ、この頃のエー・ピーカンパニーは『塚田農場』が2、3店舗くらいしかなくて、ほとんど知名度がない。「よくわからない会社」という印象でした。
ところが、実際に米山社長から話を聞いてみると、宮崎に農場を持っているという。今後は、「生産」、「流通」、「販売」を一貫したビジネスモデルを構築し、展開していくという。

―いわゆる「六次産業化ビジネスモデル」ですね。

野本氏:実は、私自身、中国に渡っていた頃からこのビジネスモデルには注目していて、今後のメインストリームになっていくと考えていました。でも、当時の日本国内で、しかもベンチャーで進めている企業があるとは思っていなかった。
「これは面白い!」と、その日のうちに入社を決めてしまいます。

―なんと3ヶ月後には副社長になってしまったと聞いています。期待の表れでしょうか!

野本氏:「逃がさないように」ということだと思うのですが(笑)。
実務としては物流の責任者でした。納品業者の一元化をしたり、物流センターを立ち上げたり、とにかく足回りを固めていく。そんな中で出店も進め、気付けば150店舗を超えていた。たくさんのメディア出演も追い風になって、当時としては画期的な企業として認知されていたと思います。
私個人としては、外食の店舗オペレーションやマニュアル作成、FC展開のノウハウを身に付けることができたのが大きかった。流通には強かったのですが、販売はほとんど知らなかったので。これは後々、羽田市場の飲食店を運営する時に役立ちます。
4年目には東証マザーズに上場。とてもいい時期を過ごすことができました。

新たな流通システム「超速鮮魚®」を引っ提げ、羽田加工センターを開業。大手企業との取引も始まり、順調なスタートを切る

「超速鮮魚®」で新たな漁業の可能性を切り拓いた羽田市場。前代未聞の流通システムは、代表・野本良平氏の熱意と行動力、そして「人たらし」な人柄で作られた!

―その後、2013年に柿安本店に入社するも、翌年に退社し、羽田市場を設立します。

野本氏:実は、柿安本店を辞めた後、つながりのある取引先数社の顧問をしていたんです。各社の流通設計が主な仕事だったのですが、漁業だけは少し勝手が違った。
基本的には企業と漁師を繋いで直接やり取りしてもらっていたのですが、その方法だと、キャンセルが出たとき、漁師が直接被害を被ってしまう。彼らは発注を受けて漁に出ているので、キャンセルされるとその魚の行き場がなくなるわけです。
やはり漁業に関しては仲卸を挟まないと難しい。ならば、その役割を自分が担ってしまおう、と思ったんですね。

―単なる仲卸ではなく「朝どれ専門」と謳ったことにも理由が?

野本氏:エー・ピーカンパニー時代に「朝どれ」というキーワードで『四十八漁業』をヒットさせた経験があったのが大きかったですね。東京で仲卸をやるならば、豊洲や築地が競合となります。この二大市場になくて、私ができることが何かと考えた時、「朝どれ」が最も強い武器になると考えました。
また、空港内に広い場所が空いていることを知ったのも、『四十八漁業』の立ち上げの時です。空港内に加工センターがあれば、地方市場へ送らずとも、着陸後、最短15~30分以内で届いた貨物を加工に移せる。すごく新しい漁業の流通システムを作ることができると思っていたんです。結局、エー・ピーカンパニーでは費用面でその場所は諦めたのですが、自分がやるとなったら、そこは譲れない。
運よく、ANAとJAL両方につながりをもつ友人が掛け合ってくれて、両社と業務提携することができた。費用に関しては、出資を募って数億円を集めることができた。こうして、会社設立翌年の2015年10月に羽田空港内の鮮魚センターをオープンすることができました。

―満を持して開業した羽田空港内鮮魚センター。調子はいかがでしたか?

野本氏:実は、センター開業直後は個人店がメインの卸先で、取引量が極端に少なかったんです。なので、ひたすら取引先を広げるため、営業の日々ですね。そんな時、私が以前から流通設計の顧問をしていた大庄グループが、ウチの鮮魚を仕入れてくれると言ってくれた。これがきっかけで界隈にも名前が知られたのか、チムニーや大戸屋、あきんどスシローといった、大規模チェーンを擁する飲食企業と取引を始めることができました。

飲食店の運営に展開を広げるも、コロナ禍で苦境に。不屈の精神と行動力で、窮地を乗り切る!

「超速鮮魚®」で新たな漁業の可能性を切り拓いた羽田市場。前代未聞の流通システムは、代表・野本良平氏の熱意と行動力、そして「人たらし」な人柄で作られた!

―そして、2018年に飲食店としては1号店となる「羽田市場 銀座直売店」がオープンします。

野本氏:これ、実は飲食店として想定していなかったんですよ。
ある日、銀座料飲組合の方々が視察に来て、「組合でウチの魚を使いたい」と、お声をかけてくださったんです。ただ、個人店の集まりなので、やはり取引数が少ない。そこで「ウチが銀座に店を出すから、そこに買いに来てください」と提案したんです。つまり、業務用の魚屋としてオープンした店というわけですね。とはいえ、いざ開業してみると、なかなか安定的な売上が立たない。

―目論見が外れてしまったんですね。

野本氏:ところが、しばらくすると近隣住民の方々が興味を持って、「売ってくれないんですか」と聞いてくる。最初はお断りしていたんですが、あまりに問い合わせが多いから販売を始めたら、予想以上に買ってもらえる。
またしばらくすると、「お酒を飲めないんですか」と聞かれるようになるので、「じゃあ、ビールでも出しますか」と、立ち飲みをできるようにした。「せっかくだからランチでも」と、始めたら、それも人気が出た。聞けば、界隈は高級店ばかりでランチ難民が非常に多いそうなんです。
さらに、銀座7丁目に格安のテナントが出たから、試しに寿司店『羽田市場 ギンザセブン』を出してみたら、2ヶ月で投資回収できるほど人気が出た。
この頃には、すでに2020年の東京グランスタでの出店も決定していました。

―すごい。順調ですね!

野本氏:ところが、2019年の末に八重洲と秋葉原に出店した「羽田市場 黒鍋」がまったく振るわなかった。これがまた、初期投資がそれなりに大きな店舗だったので、ダメージが大きかったんです。
加えて、2020年はコロナの影響で徐々に人々が外食離れをしていくようになる。緊急事態宣言の発令される少し前には取引先が一気に休んで、仕入れも難しいレベルに。とはいえ、それでは漁師さんが大変な思いをしてしまうから、コロナ融資で借りたお金で魚介を仕入れ、冷凍保存していたんです。

―当時はコロナ禍がこんなに長期化すると思っていませんでしたもんね。

野本氏:ところが、事態は一向に良くならない。在庫ばかり抱えて、卸先がない。このままだと倒産する。どうしたものかと考えていたら、当時大学生の娘が「通販で売れそう」とアイデアを出してくれたんです「なるほど」と思って。
5月1日。「漁師さん応援プロジェクト」と銘打って、SNSで宣伝して通販を始めたら、200万円ほど売れた。でも、所詮は知り合いだけのつながりなので次の日は売れない。また娘に「どうやったら多くの人に知ってもらえるだろう」と相談したら、「芸能人にお願いするのが一番早いでしょ」と言うもので。
当時、飲み仲間だったグルメタレントの方に連絡したら、自身のYouTubeで宣伝してくれたんです。さらに、それを見た別のインフルエンサーがX(旧Twitter)で拡散してくれて。結果、たった2時間で2200万円を売り上げたんですよ。

―娘さんのファインプレーが光りますね(笑)。

野本氏:嬉しい反面、そんな大量発注に対応したことがないから、羽田の加工センターは大パニックで。ところが、運が良く加工センターの向かいがヤマト運輸でしてね。「飛行機が飛ばなくて暇だから、手伝わせてくれ」と言ってくれたんです。
まさに渡りに船! 梱包から配送までのすべての行程を手伝ってもらえる! 結果的に、6月から8月はECだけで月商2億円を上げ、どうにか持ち直すことができました。
そうこうしているうちに、7月には『羽田市場食堂 東京駅店』を出店。8月には『海鮮居酒屋 羽田市場 グランスタ東京店』、『回転寿司 羽田市場 グランスタ東京店』を出店。どの店舗も非常に好調な滑り出しを切ることができました。

―大逆転ですね。これでまた、上昇傾向に?

野本氏:なかなか全部がうまくいくわけではないですね。依然として八重洲と秋葉原の『黒鍋』はどちらも赤字だったから撤退し、翌年の2021年までコロナ禍が長期化すると、グランスタの2店舗も赤字になります。2022年の年末、テレビ番組で取り上げられるまでは、苦しい状態が続いていました。

第二章は、足固めに再度注力。人との縁を力に変え、新たなチャンスを掴んでいく!

―まさに大波乱の数年間を過ごした野本社長。今後の展望は、どのように考えておりますか?

野本氏:実は、羽田の加工センターが完成する以前、北海道の紋別にも工場を買っていたんです。
これまでは紋別工場で食材を一次加工し空輸。羽田に着いて、また加工。さらに、直営やFCで仕込みや調理を行う、といったフローをとっていました。でも、やはり店舗としては魚介の仕込みや調理は負担が大きいし、FC加盟を検討している方も、そこに不安を抱く場合が多いんです。
そのため、今後は紋別工場での加工度を向上し、調理済み食材のパッケージまで行えるようにしていこうと考えています。こうすることによって、店舗へ卸した際のオペレーションを可能な限り軽減できますし、食材自体の販売といった横展開にも広がります。
また、FC展開に関しても、池袋や柏、東京グランスタ、梅田、兵庫、博多など、様々な場所で出店を行ってきた中で、ようやく「これだ」と思える業態のカタチが見えました。
メニューを絞り込み、オペレーションを簡素化した、新たな寿司酒場業態。これを、FCのスタンダードスタイルにして、展開を広げていきます。

―では最後に、野本社長自身のゴールなどがあれば教えてください!

野本氏:今はコロナ禍も落ち着いて、不採算だった店舗も閉めて、むしろ、ここからが始まりであると考えているんです。なので、今のところは自分自身のゴールを考えたりはしていないですね。
だからこそ、もう一度足元を固めていきたい。豊洲、築地に負けないウチの強みって、やっぱり朝どれの部分なので、より高い鮮度の魚介を送ってもらえるよう産地と交渉する。そういった取り組みをしていかなければならないと思っています。

―こうして話を伺っていると、野本社長は一貫して人とのコミュニケーションを大事にしているように感じます。

野本氏:そうですね。仕入れに限らず全てのことに言えるのですが、とにかく人と繋がり続けること。これが大事だと思います。何かを始めようとする時も、苦境に立たされている時も、誰かと会うことで私は活路を開くことができました。
今、お店を営んでいる経営者の方々は、大変なことも多いと思います。苦しい時こそ、自分で抱え込まず、誰かに会いに行ってみてください。きっと、縁が生まれる。チャンスの芽は必ずそこにあるはずです。

羽田市場株式会社
https://hanedaichiba.com/

飲食店ドットコムM&Aでは、飲食事業を売却したい方と、譲り受けたい方の出会いから引継ぎをサポートさせていただきます。

事業の譲渡、売却をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
専門のスタッフが丁寧にご対応させていただきます。

  • 相談無料
  • 秘密厳守

電話でのお問い合わせ

03-6452-2190

受付時間:10-18時(土日祝祭日を除く)
窓口:株式会社ウィット

ページトップへ↑
飲食店ドットコムM&A は株式会社シンクロ・フード
(証券コード3963)が運営しています