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競合は敵ではなく同志。EVER BREW 菅原亮平氏が描く、日本のクラフトビール業界の設計図とは

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2022年12月14日

「デリリウムカフェ」、「RIO BREWING & CO.」といったベルギービールを主軸にした飲食店を展開するEVER BREW(東京都港区)。飲食店舗の運営のみならず、輸入や卸といった事業も展開し、2020年には日本におけるベルギービール専門店のパイオニアとして知られるブラッセルズ(東京都渋谷区)を子会社化したことで話題を呼んだ。今回は、EVER BREW代表取締役社長・菅原亮平氏に、創業秘話と現在までの道のり、今後の展望について伺った。

競合は敵ではなく同志。EVER BREW代表・菅原亮平氏が描く、日本のクラフトビール業界の設計図とは

大手コーヒーチェーンで起業のいろはを吸収。日本のクラフトビール黎明期にベルギービール専門店を展開

―菅原社長は早稲田大学建築学科卒業、その後大手コーヒーチェーンに入社したという少し変わった経歴をお持ちですね。

菅原氏:もともとモノづくりがとても好きで建築学科で色々な勉強をしてきたのですが、知識は蓄積されていく一方でリアルに触れていない、つながっていないと感じまして。大学3年生のとき、大手のコーヒーチェーン企業に起業の企画書を送ったんです。すると、当時の代表から「起業する前に、ウチで修業をしてみたらどうか」というお返事をいただいて卒業後に入社。新店舗や新規事業の立ち上げ、建築で学んだことを活かしてFC店舗設計を手掛けるなど、幅広く色々な仕事をさせてもらいました。在籍していたのは1年半ほどでしたが、とても濃密な時間を過ごし、貴重な経験ができたと思っています。

―その後、2004年に1号店であるベルギービール専門店「ベル・オーブ」を開業されましたが、ベルギービールを選んだ理由などはありますか?

菅原氏:もともとビールがとても好きだったのですが、その頃、ふと口にしたベルギービールがすごくおいしく感じたんです。そこで、今まで自分はどんなビールを飲んできたのか興味が湧いて振り返ってみたら、ベルギービールが多かった。「ああ、自分はこういうビールが好きなんだ」と自覚したんですね。当時、コーヒー業界では“スペシャルティコーヒー”のブームが来ていた時期でしたが、クラフトビールブームは到来前で、“地ビール”という言葉の方が一般的な時期。“スペシャルティコーヒー”のように“スペシャルティビール”みたいなものの流行りが来るんじゃないかと考えて、ベルギービール専門店を開業しました。

―翌年2005年にはベルギービールの輸入を、2006年からは卸事業を開始。2015年にはベルギーに子会社を設立して委託先のブルワリーでビール醸造も始めていますね。

菅原氏:日本のベルギービール専門店と言えばブラッセルズがトップで、ウチは2番。こういった2番手での戦い方は、前職で徹底的に吸収したので、実は得意な状況だったんです。なにせ、飛ぶ鳥落とす勢いのスターバックスに挑んでいた会社だったので。基本的には、トップランナーのやり方の真似をして生き残る。けれども、いつでも頂点をもぎ取るための野心も忘れない。それが“2番手の戦い方”だと思うんです。でも、当時の私たちはブラッセルズからもビールを仕入れていた。そのままだと、絶対に1位になれない。だから、ひとつ上流の行程を押さえるために輸入と卸を始めたんですね。でも、いざ始めてみると卸をしても間に合わないほどの樽を輸入しないとコンテナが埋まらない。それだけの理由ではないですが、ビールの消費という観点からも店舗展開は必要でした。

そのように事業を続けていくなかで、輸入を通して出会った海外のバイヤーと話を聞く機会が多くなって。特に、ヨーロッパとか南米、ロシアなどといった、遠い海の向こうの国の話を聞いたり、そこで暮らす人たちが日本をどう思っているかを耳にしたり。彼らの話を聞いているうちに、輸入ばかりではなく、お互いに物や人が行き交う事業にしたいと感じるようになったんです。ニュースとかで見聞きするよりも、よりリアルに。だから、ちゃんと自分たちもプロダクトを作って、生産性を上げて、世界に対する発信力も強くしていくために、自社での醸造も始めたんですね。

―輸入、卸、醸造、店舗運営と事業の規模を拡大していった菅原社長ですが、2019年にはエバークリード(東京都港区)を買収。初のM&Aを経験します。

菅原氏:もともと、長い間パートナー関係を続けていたことがM&Aのきっかけでした。私たちにとっては未知の領域。さらに、エバークリードが展開していた事業が多岐にわたり、ビール事業ともちょっと遠い。M&Aも、事業内容も「両方ともよくわかっていない状態」でのスタートだったわけですね。いろいろ大変な思いもしましたが、今になって振り返ると、このときの経験でM&Aのノウハウをインプットすることができたのだと思います。2020年のブラッセルズの買収のときは、まさにその経験が活きましたね。事前の準備に時間とリソースをかけることができました。

ベルギービールの老舗・ブラッセルズをM&A。世界で戦える強い日本の姿を描く

競合は敵ではなく同志。EVER BREW代表・菅原亮平氏が描く、日本のクラフトビール業界の設計図とは

―ブラッセルズのM&Aは、どのような経緯だったのでしょうか?

菅原氏:私たちにとってブラッセルズは、長い間のライバルであり、創業当時は目標でもあったんです。この頃は創業当時に抱いていた「国内のベルギービール業界で1位をとる」という目標のその先、「日本のクラフトビールで世界と戦う」ということを視野に入れていました。そのきっかけは、アメリカのクラフトビール業界のブルワリー同士のオープンな関係性を目にしたことなんです。
アメリカのクラフトビール業界って、醸造方法をシェアして、そこからブルワリーごとにテイストを加えて、新しいビールが生まれていく。IT業界で例えると、オープンソースのプログラムのような感じで。それって、業界全体が発展していくためにはすごく良いことで、日本のクラフトビール業界もそのように全体的な底力をつけていきたいと思ったんです。そこにベルギーのような伝統が加わると最高じゃないですか。だから、ブラッセルズも競合だけれど敵じゃない。同志になりたい。そう考えていたので、ブラッセルズの様子は逐一見ていましたし、当時の取締役とも交流を続けていました。
そんな中、M&Aの仲介会社に入ってもらって声をかけようとしていたら、なんと、その返事が来る前にその取締役から直接連絡があって。その後は一気にM&Aに向けて進んでいくことになったんです。

―M&A後は何か変化がありましたか?

菅原氏:当時、EVER BREWの業態では「新しい専門店のあり方」を模索していました。クラフトビールという分野自体、愛好家が好む少々ニッチな業態です。好きな人は好き。でもそれだけだと間口が狭くて広がらない。ひとつ例をあげれば、ビール専門店は団体利用の時に一人嫌いな人がいたらお店が選ばれなかったりする。誘う人も、一緒に食事する人もクラフトビールを好きじゃないと誘う人がいなかったりする。そうなると、気軽に利用する店舗としての選択肢に上がらなくなってしまって、集客で成果を出すことができません。だから、私たちはクラフトビールを看板にしつつ、他のドリンクも揃えるし、料理にも力を入れる。極端な話、最初から最後までビールを飲まなくてもいいと思っています。人が人を呼びやすくする縁を作れる店が大事。ブラッセルズの店舗も、そのようにマイナーチェンジしています。言ってみれば、「広がるニッチ」を作っている状態ですね。

―では、今後はどのような展望を考えていますか?

菅原氏:飲食企業として、働き方や評価軸をアップデートしていこうと考えています。今までの飲食業って、売上高が指標になって評価が決められていました。けれども、それって創業者やそれまでに大きくしてきた人たち、いわゆる先達の実績もあって作り上げられているもの。今、その瞬間働いている人の評価とは言えない。それでは、働いている人の成長もないし、店舗としての成長もなくなってしまうと思うんです。
お店で何をやって、それがどの数値に繋がって、売上にどのように関わっていくのか。それを経営側だけでなく、現場レベルでも一緒に考えていくべき。そのように、経験則に頼ることのない根拠のあるロジックで店舗運営していく力をつけることで、店舗も、企業も、業界全体も成長していくはず。5年後、10年後のこの飲食業界をいい業界にしていくために、新しい働き方の研究をしている最中ですね。

また、店舗展開はM&Aや居抜き物件の利用などもして、様々な業態、ブランドを展開。今はコロナ後のランチ強化の戦略として、パン業態にも着目しています。メーカーとしては来年からクラフトビール以外にも蒸留やシードルなども始めていく予定で考えています。「街に足りないものはなにか」、「何を仕掛けたら業界が盛り上がるか」、こういったデザイン的な目線は、建築学科にいた経験が生きているのかもしれませんね。
飲食店として、ブルワリーとして、メーカーとして、輸入業者、ECとして、どの角度から見てもしっかり輝く企業にしていこうと考えています。

EVER BREW株式会社について

醸造、輸出入、卸、カフェ・レストラン運営
6次産業化でこの食文化を日本へ、そして世界へ
HP:http://www.everbrew.co.jp/

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