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数え切れぬ失敗の積み重ねが、経営者を強くする! ヒットブランド「板前バル」を生み出したCANVAS代表・本間保憲氏の徹底的なスキーム構築論

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2023年06月01日

「板前バル」、「板前バル LIVE・FISH・MARKET」、「ちょいおでん」など、数々のヒットブランドを生み出し続けているCANVAS(東京都千代田区、代表取締役社長:本間保憲氏 )。2011年の創業期から続く同社の快進撃の秘密は、代表・本間保憲氏の経験と実績に裏打ちされた、徹底的なスキーム構築にある。実に30年以上に渡る飲食の道で、店舗展開やコンサルティング、M&Aなど、多くの実績や経験を積み重ねてきた本間氏。その経営論を伺った。

数え切れぬ失敗の積み重ねが、経営者を強くする! ヒットブランド「板前バル」を生み出したCANVAS代表・本間保憲氏の徹底的なスキーム構築論

本間 保憲 氏
高校卒業後、出身地の山形県でフレンチのコック見習いを経験したのち、上京。「北の家族」でアルバイトを始めたことをきっかけに入社し、最終的には役員も経験。実に20年間、勤め上げた。2011年に株式会社CANVASを設立。2012年に開業した「銀座 板前バル」のヒットをきっかけに直営、FCともに様々な業態での出店やコンサルティング事業を展開。現在は2018年に開業した「ちょいおでん」のFC展開に力を入れている。

「北の家族」グループで20年間勤務し、店舗、商品開発のスペシャリストに。店舗展開スキームを視野に入れ、CANVASを設立

―本間社長は「北の家族」グループに20年間勤め上げたあと、CANVASを立ち上げています。会社勤めの時代には、どのような経験をされましたか?

本間氏:アルバイトからスタートして、店長やマネージャーなどを経験しました。業務としては店舗運営だけでなく、業態開発や店舗開発などに携わっていましたね。
私が入社した当時、「北の家族」は10店舗ほどでしたが、その直後、一気に店舗が増えていくというタイミングでした。その後、IPOも経験したし、オーナーチェンジや民事再生も経験したし、まさに山あり谷ありの20年間でしたね。最終的には役員にもなり、250店舗のトップにもなり、次のフェーズへ行こうと考えて退社。2011年4月にCANVASを立ち上げることとなります。

―2011年4月といえば、東日本大震災の直後ですね。あのときは、被災地から遠く離れた東京でも自粛ムードが漂っていましたが、それでも立ち上げたことに理由はあったのでしょうか?

本間氏:まさに設立準備の最終段階で災害が起きました。周囲の飲食経営者の仲間からは止められましたが、私は「これ以上の『想定外』は起きないだろう。だったら、ここから先は昇っていくしかないだろう」と、ちょっと天邪鬼な考えで、予定通り会社を設立したんです。とはいえ、会社設立翌月の5月にオープンした1号店「六本木 阿波尾鶏」はもろに震災の影響を受けて、半年間で2000万円の赤字を出したりしたんですけれども。あのとき、「やっぱり甘くない!」と、少し肝を冷やしたものです。

―しかし、「六本木 阿波尾鶏」は1年後には年商1億円を売り上げる繁盛店となっています。このV字回復にはどのような秘密があったのでしょうか。

本間氏:特別なことはしてないですよ。「おいしいものを提供する」、「お客様に喜んでいただける接客をする」。飲食店がお客様に提供すべきもの、あるべき姿を、ただただ愚直に守ること。それだけです。それによって飲食店として評価してくださったお客様が、また別のお客様を呼んでくださり、結果的に売上を伸ばすことができたという、至極シンプルな要因だったと思います。
ただ、結果論にはなりますが、未曾有の事態が起き、世の中の多くの人々が不安な気持ちになっているときだからこそ、「当たり前」を守る私たちの姿が支持されたようにも思いますね。

看板ブランド「板前バル」が大ヒット。構築した教育システム「極みシステム」の効果もあり、チェーン展開も成功へ導く

数え切れぬ失敗の積み重ねが、経営者を強くする! ヒットブランド「板前バル」を生み出したCANVAS代表・本間保憲氏の徹底的なスキーム構築論

―翌年の2012年7月に「銀座 板前バル」を開業。今でこそ当たり前となった「和食バル」という業態の先駆けとなるわけですが、どのように業態開発をしたのでしょうか?

本間氏:もともと、会社設立前からチェーン展開をしていく前提で計画を練っていて、その第一歩となったのが「銀座 板前バル」です。
四方を海に囲まれ、魚を日常的に食べる習慣のある日本人にとって、和食は普遍的な業態です。ブームに左右されることなく、支持され続ける業態になるはず。店舗の長期的運営を考えるなら和食が最適解であると思っていました。その反面、トレンドも取り入れて展開を加速させたい。そんなとき、「バル」という言葉が飛び込んできました。当時、国内では「バル」という言葉が流行り始めた時期で、アンテナの高い若い女性などは、こぞって「バル」を楽しんでいた。私も本場スペインへ視察にも行き、その熱気や賑わいが生み出すエネルギーを目の当たりにして、今後、日本でブームが来ることも確信しました。
普遍的な「和食」と、トレンドを反映した「バル」。これを掛け合わせて、「和食バル」という業態で勝負しようと思ったわけです。

―和食と聞くと、料理人の技術で店舗の評価が左右されがちな業態であると思いますが、チェーン展開をしていくためにどのような仕組みをつくったのでしょうか。

本間氏:まさに、弊社が現在まで活用し続けている教育システム「極みシステム」の構築ですね。
当時、和食の料理人は技術を持っているものの、お客様の求めているものを考える人材はほとんどいませんでした。ちょっと悪い言い方になりますが、「自分のつくりたいものをつくる」、「自分の腕を誇示する」、そういった人が多かったですね。
しかし、本来、商売というものは、お客様が本当に欲しがっているものを提供することが鉄則です。だからこそ料理人は、お客様のニーズを汲み取るための「マーケティング」、人材教育を行うための「マネジメント」、そのうえで高品質な料理をつくるための「技」を「三位一体」兼ね備えている「飲食のプロ」になる必要があるのです。それを身に付けてもらうための教育システムが「極みシステム」なのです。

―「極みシステム」の具体的な内容を教えてください!

本間氏:レシピや調理行程、オススメトーク、店舗管理ツールといった、店舗オペレーションに関わるあらゆる知識や技術をクラウド上に格納した、オンラインマニュアルです。これによって、スマートフォンやタブレットといったデバイスで、スタッフ全員が同じ情報を閲覧し、学ぶことができます。
例えば、料理人のマーケティングをもとに開発したメニューをつくることで、お客様が写メに撮って拡散してくれたり、仕込みや調理の工程を動画で撮影することで、料理人全員の調理技術を高めることができたり。当時はこのようにオンライン上で従業員を教育するシステムはほぼなく、SNSや動画も今ほど盛んではありませんでした。そんな時代に「極みシステム」の構築・導入をしたからこそ、当時としては新しい試みができたと思います。 結果的に「銀座 板前バル」は月間の坪売上50万円を超える店になり、メディアで取り上げられるようになりました。FCやコンサルティングの依頼が増えたのも、この頃からですね。

ヒットブランド「板前バル」をさらに昇華した、「ちょいおでん」が始動! FC展開に注力する

―その後、「板前バル」で構築したシステムをベースに数多くのブランドを展開してきた本間社長ですが、現在は「ちょいおでん」のFC展開に力を入れているようですね?

本間氏:はい、その通りです。「板前バル」は弊社を象徴するヒットブランドとなりました。しかし、ブランドの特性上、しっかり技術を身に付けた料理人がいなければ運営が困難で、技術の習得、人材育成にも時間がかかります。そこで目をつけたのが、おでんだったというわけです。
マネジメントの目線でいえば、おでんは和食のように複雑な調理行程がないことが大きい。味わいの決め手となる出汁やタネはパッケージ化が可能だし、提供に特別な技術が必要ありません。しっかりとしたオペレーションを構築すれば、料理人の経験がないアルバイトが、初日で厨房に立ち、業務を回すことも可能なんです。
また、マーケティングの目線では、おでんはチェーン化での競合がほとんどいないことが魅力的に映りました。おでんという業態は個人の専門店がほとんどで、それは季節指数の影響をもろに受けることが理由です。冬は売れるけれど、夏はほとんど売れない。逆にいえば、「通期で売上を保つことができる大衆おでん専門店」をつくればチェーン展開も可能であると考えたわけです。

―もともと、「ちょいおでん 小伝馬町」の物件はM&Aで買い取ったと聞きました。

本間氏:M&Aの紹介会社につないでもらったのがきっかけですね。小伝馬町で長年続けていた居酒屋で、ほかにも数店舗経営をしているが、オーナーが高齢を理由に引退しようと考えている、という話でした。 ちょうど私は「ちょいおでん」のスキームを考えている最中で、小伝馬町の店舗は広さや立地、家賃といった諸条件が理想的な物件だったんです。そこで、「ちょいおでん」のテストマーケティングのために買い取ることを決めました。
2018年10月にオープンしてから月商100~400万円に届くなど、店舗としては十分に結果を出せました。その後、2年ほどは店舗運営をしながらブラッシュアップを繰り返し、今年に入ってようやくFCパッケージとしてリリースすることができました。

失敗に学び、経験値を積み重ねる。後世まで続く企業をつくることが、経営者の使命なり!

数え切れぬ失敗の積み重ねが、経営者を強くする! ヒットブランド「板前バル」を生み出したCANVAS代表・本間保憲氏の徹底的なスキーム構築論

―本間社長の今後の展望をお伺いできますか?

本間氏:まず、「ちょいおでん」のFC展開が一番ですね! 3年以内に100店舗の加盟を目指しています。 「ちょいおでん」は、導入に際しての店舗づくりはもちろん、食材提供やメニュー開発、調理・接客の研修など、CANVASの培ってきたノウハウを惜しみなく提供いたします。加盟店のみなさまが、低投資で始められ、長く続けていけることを考えたブランドです。コロナ禍の影響で飲食業事態を続けていくべきか迷っているオーナーさんは多いと思いますが、ぜひ、検討していただければと思っております。
また、「板前バル」で海外進出をしたい! という、個人的な野望もあります。日本が誇る和食と、海外ではポピュラーなバル文化を掛け合わせたブランド。これをつくるためのヒントをくれたスペインに、逆輸入のような形で出店したいと思っています。

―では最後に、本間社長の経営論を教えてください!

本間氏:会社を長く存続させること。それに尽きます。
会社をつくったなら、そこには従業員の生活がある。店舗を開けば、そこへ来てくれるお客様がいる。その人たちを幸せにすることが、事業を始めた者の責任だと思うんです。
では、長く続けていくにはどうしたらいいか。それは、「失敗に学ぶこと」だと思います。私は、地元・山形でコックの見習いをしてから30年以上、飲食業以外の仕事をしたことがありません。勤め人のときも、独立をしてからも、数えきれないほどの失敗をしています。
例えば「極みシステム」も、導入直後は料理人からの反発もありました。彼らは彼らで、今まで続けてきたことへのプライドもありますからね。実際にシステムがうまく機能するまでには様々な問題に直面し、失敗をしました。それでも改善して、機能して、店舗運営のみならずFC展開にも役立つシステムになった今となっては、自社の可能性を広げるために必要な失敗だったのだと思います。
失敗を経験値にする。学びにする。その積み重ねをつくることで、自分の中の判断軸をつくることができる。「これは失敗する」「これは成功する」と、直感できるようになるんですね。
だから、私は店舗開発をするとき、「自分の行きたい店」は絶対つくらないんです。私は重度の飲食オタクなので、ごく少数の、狭い範囲のお客様にしか理解されない店舗をつくってしまう。いわゆるニッチマーケティングなので、多くのお客様に受け入れてもらえることなく、長続きしない。「失敗」することが、目に見えてしまうんですね。
結論となりますが、失敗から学び、経験値を積み重ね、会社が後世まで続く体制をつくっていくこと。シンプルですが、私はこれが経営者として行うべき最低限の社会貢献だと思います。

株式会社CANVASについて

事業内容:
飲食店プロデュース事業
飲食店コンサルティング事業
ECサイトの運営と自社食品の販売事業
リソース商品の販売事業

HP:https://www.canvas2011.com/

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