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企業の価値創出は「あたりまえ」の徹底から。桂花拉麺代表・中山雅光氏が手掛けた老舗ラーメン店再生のロードマップに迫る!

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2023年10月23日

創業者・久富サツキ氏の「1杯のラーメンで、お客様を元気にしたい」という思いから1955年に創業した桂花拉麺。本拠地の熊本のみならず、東京においても熊本ラーメンの草分けとして大ヒットを飛ばすも、経営不振により2010年に民事再生を開始。同じく熊本県のラーメンチェーン「味千ラーメン」を展開する重光産業株式会社(熊本県菊池郡、代表取締役社長:重光克昭氏)が再生事業を手掛け、2011年に桂花拉麺株式会社(熊本県菊池郡、代表取締役:中山雅光氏)として生まれ変わった。今回は、桂花拉麺の再生事業から携わった現・代表取締役社長の中山雅光氏に、桂花拉麺再生のいきさつと、今後の展望について伺った。

企業の価値創出は「あたりまえ」の徹底から。桂花拉麺代表・中山雅光氏が手掛けた老舗ラーメン店再生のロードマップに迫る!

1971年熊本県出身。熊本学園大学を卒業後、重光産業株式会社に就職し、SVや店舗開発、再生など数々の店舗を手掛けた。2011年の桂花拉麺株式会社の設立と同時に副社長に就任。再生事業に従事する。

味千ラーメンで手掛けた店舗開発・再生事業の経験を見込まれ、桂花拉麺の再生事業に携わる

―もともと重光産業で活躍されていた中山社長ですが、桂花拉麺の再生事業に携わるまでの経緯を伺えますか?

中山氏:重光産業は、熊本県で「味千ラーメン」を創業し、国内、海外に展開を広げていった企業です。代表の重光克昭は、「『味千ラーメン』が大きくなったのは、熊本の人々に支えられたから」と、常に熊本県に対して恩返しを考えていました。そういった流れで、桂花拉麺に関わる以前にも、熊本の酒造会社の再生事業を手掛けた実績があるんです。

―桂花拉麺に携わった経緯も、熊本県の文化を守るため、ということでしょうか。

中山氏:その通りです。当時の桂花拉麺は売上の低下と設備投資の負担によって経営状態が苦しくなり、周囲に助けを求める状態になりました。いくつかの企業が手を挙げる中、重光産業が唯一、熊本県の企業だったことが決め手となっていたようです。私たちも、同じ県で地元の人々に愛されている桂花拉麺に対して多大なリスペクトを持っていたので、その文化を残していきたい。ゆえに、桂花拉麺さんの提示していた「創業の味を守りたい」、「従業員を退職させたくない」という考えも汲み、再生をしていく方向で話が決まったんです。

思いは手法の上流にあり。再生事業はひたすら「あたりまえ」の徹底に注力

企業の価値創出は「あたりまえ」の徹底から。桂花拉麺代表・中山雅光氏が手掛けた老舗ラーメン店再生のロードマップに迫る!

―そうしてスタートした桂花拉麺の再生事業。経営改善はまず、何から取り掛かりましたか?

中山氏:店舗の環境整備ですね。桂花拉麺は、1955年から続く老舗ラーメン店です。商品力は、確実にある。でも、高い商品力があっても食べる環境が良くなければ、お客様に喜んでいただくことはできません。こういった状況の店舗は良くない雰囲気が蔓延して、お客様が離れていく。味千ラーメンで数々の店舗開発、再生をしてきた知見を照らし合わせてもこれが原因で、逆に言えば環境さえ変えれば、結果はすぐに出せるという確信がありました。だから、「あたりまえ」の徹底。これに尽きますね。

―「あたりまえ」の徹底とは、具体的にどのようなことを行ったのでしょう?

中山氏:ひたすらQSC(クオリティ・サービス・クリンリネス)の向上ですね。
クオリティについてはもともと高いレベルにあるものの、レシピが統一化されていないので店舗によって味が違う。どの店舗でも100点満点以上の味が出せるよう、マニュアル化をしました。
そして、最も力を入れたのはサービスの部分。それも、特別なことではなく「いらっしゃいませ」、「ありがとうございました」といった、本当に基本的なあいさつを徹底することです。これができていない理由は、あいさつをする必要性を知らないことにあります。お客様に喜んでいただくために、なぜあいさつが必要なのか。それを教える。
クリンリネスも同様ですね。店舗やバックヤードを常に整理整頓、きれいに掃除をする。
これらすべてが、お客様の信頼を得るための行動であることを、ひたすら教育して、実行するんです。
半年後には、毎年売上が下降していた店舗が、前年比130%を超える結果を出せるようになりました。外部的な要因を言い訳にせず、内部環境を高めたことで、結果はすぐについてきましたね。

―やはり教育がとても重要になってきますね。

中山氏:そうですね。他には重光産業でも導入していた社内勉強会の「木鶏会」を桂花拉麺にも導入したことも大きいと思います。これは、埼玉県のビルメンテナンス業の企業・毎日興業株式会社が始めたとされる「互いの長所を見つめて認め合う『美点凝視』と『承認力』を養う」ための社内研修ですね。弊社では、LINEグループを作って提示された課題図書の感想文を提出。他の人の感想文に対してもフィードバックをする、というかたちで5年ほど行っています。当初はみなさん、やる意味もやり方もピンと来ていなかった様子ですが、しっかり続けて落とし込んでいる人は、自主的に勉強をするようになったし、言動も変わりました。特に、コロナ以降は顕著ですね。現在、コロナ以前よりも忙しい状況となっていますが、勉強を続けてきた人は、この忙しさの中でもお客様への感謝を忘れず、喜びを感じている。こうした、人間力を上げるための教育も続けていこうと思います。

働くスタッフのキャリアパスを見据えた組織構築が今後の課題。国内の食文化の保存にも意欲をみせる

企業の価値創出は「あたりまえ」の徹底から。桂花拉麺代表・中山雅光氏が手掛けた老舗ラーメン店再生のロードマップに迫る!

―今後、会社としてはどのような展望を描いていますか?

中山氏:2026年までには30店舗規模まで展開をしていきたいと考えています。これは、会社として部署、役職など組織構造をしっかり作るためです。現在、14店舗を展開していますが店長の枠はすべて埋まっていて、その上のキャリアが特に用意されていません。この状態だと、若手が入ってきてもその先のキャリアパスが見えず、長い目で見たときに定着率が悪くなってしまうことは明白です。でも、桂花拉麺単一業態で30店舗展開できる規模になれば、本部機能が必要になってくる。本部機能ができれば、他業態の展開も視野に入れることができる。などなど、展開を広げることができるんです。そのため、今期は店舗の強化など下地を作り、来期から店舗を増やしていくことを考えています。

―再生事業についてはいかがでしょうか?

中山氏:こちらも、重光産業の方で続けていく考えです。やはり、後継者不足で閉業の危機にさらされている老舗店舗や企業は多い。でも、今回の桂花拉麺のように店舗・会社としての魅力、価値観などをしっかり理解して、悪い部分を改善していけば、その会社の文化は消えることはありません。重光産業としても「熊本の食文化を守る」ことが始まりでしたが、今後はその地域、業態を広げて、全国各地域の食文化を守ることに力を入れていく。それによって、海外にも通用する「日本の食文化」をつくり、海外出店や観光事業の原動力にできればと考えています。

―では、中山社長自身の展望もあれば、教えてください。

中山氏:ささやかなものですが、スタッフさん一人ひとりとのコミュニケーションを増やしていきたいと思っています。いま、SVとして店舗に顔を出す機会も多いのですが、仕事後にスタッフさんと飲みに行ってお話をさせてもらうこともあるんです。中には、1対1の「サシ飲み」をしてくれる方もいます。仕事の話はもちろん、スタッフさんのやりたいこと、夢などを聴かせてもらう時間は、至福の時ですね。こうした時間を、どんどん増やしていきたいな、と思っています。私自身も、スタッフのみなさんも、豊かで幸せな人生を過ごす。それができるための組織づくりを続けていきます。

桂花拉麺株式会社

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