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飲食店が知っておきたい利益率の計算方法。必要な項目や目安も解説
2019年08月08日
飲食店の経営を安定させるためには、「利益率」について考える必要があります。では実際に、利益率はどのように計算すれば良いのでしょうか。今回は、飲食店の利益率を出すことの意味や利益率を出すための要素、そして計算方法などをご紹介します。
飲食店の利益、利益率とは
飲食店を長く経営するためには、安定して「利益」を出すことがかかせません。利益は2種類、「売上総利益」つまり「粗利」と、売上総利益から経費を引いた「営業利益」があります。
■売上総利益(粗利)
たとえば、メニューに1000円のパスタがあり、その食材費が300円だとします。売上の1000円から食材費300円を引くと、おおまかな利益が出ます。これが、売上総利益です。ざっくりとしたこの数値は、「粗利」とも呼ばれています。なお食材費は「原価」といいます。
1000円(売上高)- 300円(原価)= 700円(粗利)
この計算式は利益の目安を出す場合に使えますが、これだけでは正確な利益を出すことはできません。
■営業利益
店を構えるには家賃が必要です。また料理を作ったり提供したりするためには、人件費や光熱費などもかかります。正確な利益を把握するためには、こうした料理を提供するために必要な経費も、売上から引かなければなりません。これらを差し引いて残った金額が、営業利益となります。
1カ月の営業利益を計算するためには、まず1か月の売上を全て足し、売上高を出します。さらに、飲食店を経営するための経費を毎月かかる固定費と、月によって異なる変動費に分け、それぞれの項目について1カ月にかかった費用を足していきます。
- 売上高
- 固定費(家賃、人件費)
- 変動費(原価、水道光熱費、その他)
売上高から、固定費や変動費を引いた額が、営業利益となります。どのくらい利益が出ているかをきちんと把握するのに重要なのは、営業利益です。
そして、前年や前月の利益と比較したい、前年の同月と比較したいという時に便利なのが「利益率」。売上高のうち、営業利益の割合を%で表した数値のことで、営業利益率とも呼ばれています。
利益率の計算方法
月ごとの利益率は、次のようなステップで計算します。たとえば、月の売上高が100万円、原価が30万円、その他の経費が55万円だとします。
① 売上高-原価=売上総利益(粗利)
100万円-30万円=70万円
② 売上高-原価-経費=営業利益
100万円-30万円-55万円=15万円
営業利益は15万円という数字が出ました。そして、利益率を出すために次のような計算をします。
③営業利益÷売上高×100(%)=利益率
15万円÷100万円×100(%)=15%
利益率は15%ということになります。
飲食店の利益率の目安は?
利益率の目安は、飲食店の業態や規模によって異なりますが、一般的には10%~15%とされています。さらに、利益率を左右する経費の目安は、次のように言われています。
- 家賃10%
- 人件費30%
- 原価30%~40%
- 光熱費その他10~15%
業態によって差が出やすいのが原価です。たとえば、寿司店や焼肉店は原価率が高く40%以上になる店も。ただしこれはあくまで比率の話で、売上高が大きければ利益率は低くても利益は大きくなります。
利益を上げるにはどうしたら良い?
利益を上げるためには、売上高を上げる、経費を削減することが考えられます。すぐに対策できるのは、後者でしょう。経費を抑えるには、原価(材料費)の見直しが対象に挙げられます。仕入れ先の開拓やメニューを整理することによって、クオリティを損なわず原価を下げることが可能になります。また、人件費も見直しの対象です。オペレーションや作業導線を改めて検討してみましょう。
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