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緻密なマーケティングで新潟初の「からやま」が大ヒット! 「社員の幸せ」を追求するアサヒダイニング株式会社代表・佐藤庄五郎氏が胸に抱く“利他のこころ”
2024年05月07日
2018年にアークランドサービスホールディングス株式会社の人気ブランド「からやま」の新潟1号店の出店で開業。その後も高いマーケティング力によって同県を中心に展開を着実に広げているアサヒダイニング株式会社。代表の佐藤庄五郎氏は、「社員の子どもが入社したくなる企業」を目指し、今後はM&Aにも力を入れながら展開を広げていく考えだ。今回は、佐藤氏のこれまでの歩みと、今後の展望について伺う。
1973年新潟県生まれ。数々の接客業を経験したのち、コンサルティング業に従事。以前から親交のあったアークランズ会長・坂本勝司氏の勧めで「からやま」の新潟1号店の出店を決意。2018年にアサヒダイニング株式会社を設立し、独立。
バックボーンは接客業。コンサルタントを経て、出身地新潟県で法人設立・開業
―まずは佐藤社長の経歴をお聞かせください。
佐藤氏:新潟出身で、実家はパチンコ店をやっていました。若い頃、そこで働いていたこともありますが、しばらくして家を出て。その後、飲食店などを転々としていました。接客業がほとんどですね。 そうしているうちに、東京を拠点としているコンサルティング会社からご縁をいただいて、結婚式場をメインに、旅館、ホテルなども手掛けていて、東京だけでなく長野、茨城、愛知、山梨など、あちこちへ出向していました。
―飛び回っていますね。
佐藤氏:ひとつの会社に2年ほど出向して、次へ。というケースが多かったです。そんな中、山梨で旅館を経営している会社へ出向した際、社長が「東京でカレーショップをやる」とおっしゃったんです。聞けば、神田近辺で知名度を上げて展開したいのだと。で、その1号店を軌道に乗せてくれ、というお願いをされて。店の立ち上げからスタートして、着実に売上を伸ばして、自分としては「順調だ」と思っていたある日、アークランズの会長・坂本勝司さんが店にやってきたんです。
―思わぬ大物ゲストが(笑)。
佐藤氏:実は、以前からちょくちょくお付き合いがあったんです。その頃アークランドサービスホールディングスは「からやま」を首都圏で20店舗ほど展開していて、同社の本拠地である新潟県にも出店しようと考えていた。そこで、前から付き合いがあって、新潟出身の私に声をかけてくれたようです。最初は、「まだ、カレーショップから離れられる状況でない」とお断りしていたのですが、何度も足を運んでいただき、たくさんお話をしてくれて。自分自身「やってみたい!」と思って、受ける意思をお伝えしました。 2018年の3月にアサヒダイニングを立ち上げ。同じ月に店舗物件も決まって、8月に新潟で最初の「からやま長岡店」をFCとしてオープンしました。
新潟初の「からやま」は好調な滑り出し。規模拡大のため、M&Aも
―新潟で初の「からやま」。調子はいかがでしたか?
佐藤氏:絶好調でした。まず、唐揚げ店が今よりずっと少なく、新潟には競合がほぼ皆無で市場の条件がすごく良かった。また、ロードサイドかつ交差点の物件に絞り、更地の状態から導線なども考え店舗をつくりました。最初期から石橋を叩きすぎなほど慎重に進めていたことで堅実に利益を上げることができたし、力を入れるべきところと抜くべきところのバランスもわかるようになったと思っています。 とはいえ、問題もありました。広く展開していこうと考えていたので、次の出店計画も立てている。でも、ウチは人手が足りない。手慣れていないから、オペレーションもままならない。そこで、外部の飲食企業に助けてもらおうと考えました。店舗展開をしていて、人員にも少し余裕がある企業。そこと手を組んで、人員の行き来をする。幸運にも、兼ねてから親交のあった社長さんの会社が、その条件に当てはまった。「牛角」の店舗展開をしているけれど、かなり長期間出店をしていなかったので、リソースに余裕がある。
―そこが、2019年にM&Aすることになる株式会社アイパワードですね。
佐藤氏:実際、すごく助けていただいていました。特に、オペレーションはアイパワードの協力があったからこそ、速やかにレベルアップできたと思っています。 特に、2020年6月にオープンした「からやま三条店」は、コロナ禍での出店にもかかわらず、オープン初日に過去最高日商100万円を達成。その後も好調に推移しました。テイクアウトの需要もありますが、なによりスタッフの練度が上がっていたことが要因としても大きい。そういったかたちで、互いに協力し合いながら歩んできたんです。
―実際、M&Aはスムーズにいきましたか?
佐藤氏:最初の頃は、従業員の方々からの反発を感じました。そもそも我々の方が会社としての歴史が浅く、店舗数も社員の数も少ない。彼らにしてみると、「私たちがいないと回らないじゃないか」「なぜ、軍門に降る必要が」と、ネガティブな感覚を抱いていたのでしょう。 でも、私や前オーナーからすると「みんなを幸せにするためのM&A」なんです。利益を上げたら、頑張っている社員のみなさんに還元していきたい。そのためには、規模と売上をもっと上げていく必要がある。だから、M&Aをして、一緒に成長していきたい。 そういった話を、ひたすら時間をかけてお伝えしていく。 今となっては、当初と比べて理解をしていただけるようになってきましたが、今後も私たちが実績で示していかなければならない部分ですね。
社員が誇り、子どもたちが憧れる企業を目指す
―では、今後の展望をお願いします。
佐藤氏:M&Aを活用して、東京で展開していきたいと考えています。 私たちは良くも悪くもFC店舗しか携わってこなかったので、ブランドやコンテンツの開発が強くありません。逆に、多店舗展開に対するマーケティングや人員配置、オペレーションなどの知見は多分にあります。そういった部分との親和性が高い企業と、お互いの長所を活かしつつ成長していきたいと思っています。具体的には、単一業態で複数店舗を展開している会社が理想ですね。 また、「互いに成長する」というキーワードもとても重要です。 色々な飲食店経営者とお話しするのですが、経験も知識も、夢もある。けれども「資本力が足りなくて叶えられない」という方が多い。そういう方の夢を、一緒になって叶えたい。「がんばってね」じゃなくて、「一緒にやろう」。これがすごく大事。
―今後、どのような会社にしていくのでしょうか?
佐藤氏:社員の子どもたちに「自分も親の会社で働きたい!」と思ってもらえる会社です。 いまだに、飲食業界は労働環境などが整備されておらず、きつい仕事だと思っている人が少なくありません。。けれど、本当はもっと誇りを持てる仕事であるはず。 給料も良くて、時間も有効に使えて、毎日が充実していれば、自分の仕事に誇りを持つことができる。そうなれば、家に帰って子どもに「父さん、母さんの仕事って、こんなに素晴らしいんだぞ」と、自慢できる。そうして、子どもたちも親の仕事に憧れる。そういう会社にしていきたいんです。
―めちゃくちゃいい会社じゃないですか!
佐藤氏:……でも、今いる社員から見れば「全然できてないじゃないか」という状態だと思います。先日、ウチの社員から結婚報告を受けたのですが、「私は彼の満足いく労働環境を与えられているのだろうか」、「奥さんの望む幸せを、会社として与えられているのだろうか」と、なんだか申し訳なくなってしまって。 直接電話して「なかなか休みとれなくて、ごめんね」と謝りました。彼は「大丈夫ですよ~」と笑ってくれていましたが、実際に会社の労働環境はもっと改善できる。そして、それができていないのは、組織の長である私の責任です。
―なんとも人間味のある話が……佐藤社長の根底にあるのは責任感と利他精神のような気がします。
佐藤氏:独立前、神田のカレーショップで働いている私を見たアークランズの坂本会長から「君は誰の役にも立てていない」と言われたことがあるんです。その時、私は少し納得がいかなかった。当時の持てる力を全部注いで、売上はちゃんと上がってる。私なりに貢献して、社長の役に立っているじゃないか。そう思っていました。 けれど、実際に自分の責任で会社を立ち上げて、5年経った今、坂本会長の言葉の意味がわかるんですよ。 振り返れば、もっと利益を高める方法があった。もっと効率のいいやり方があった。今の私のマインドで当時に戻ったら、当時と比べて本当の意味で役に立てたような気がします。 「できたつもり」になっちゃダメ。人生これ、勉強です。 「社員に幸せになってもらいたい!」。今、私が目指していることです。目指す場所へ、できるだけ短期間で向かっていける自分でありたい。会社が成長するためには、私が成長するしかない。そう考えています。 まだまだ、よちよち歩きの会社ですが、もっともっと成長させていきますよ!
アサヒダイニング株式会社
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