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飲食店の経営で利益を出すには? 経費削減の第一歩「固定費」を見直そう
2019年08月22日

経費の削減は、飲食店に限らず、より多くの利益を生み出すために必要な課題です。しかし、飲食店は料理やサービスの質、雰囲気が命。つまり、いかに店のクオリティを落とさず、上手に経費を削減できるかがカギとなります。現状から見直してみるポイントはいくつかありますが、今回は中でも「固定費」に注目します。まずは固定費の基本に触れたうえで、適正な割合と、削減の工夫についてご紹介していきます。
固定費とは?
利益を上げるために極力減らすべき経費、その内訳が、固定費と変動費です。固定費とは、売り上げの増減に関係なくかかる経費のこと。たとえば家賃などは、売り上げにかかわらず使わざるを得ない一定の経費ということになります。一方変動費とは、売り上げに連動する経費のこと。たとえば材料費(原価)などは、どの程度の売り上げを見込むかによって必要な費用も変わってくるわけです。
これは変動費の削減が、場合によっては売上高を下げてしまう可能性もあるということを示唆しています。そうなってしまっては、コスト削減の意味がありません。つまり、まずは固定費の見直しから行い、その無駄を減らしていくことが先決となるのです。
飲食店における固定費の項目
固定費には主に次のような項目があります。
■ 家賃
共益費なども含みます。
■ 減価償却費
厨房機器や内装工事費など、長く使うもの(資産)を購入時の一括費用とするのではなく、耐用年数に応じて分割して計上する費用のことです。
■ 支払利息
銀行や信用金庫など金融機関からの借入金に対して支払う利息です。
■ リース料
厨房機器やレジスターなどをリースで調達した場合に、リース会社へ支払う料金です。
この他、部分的に固定費に組み込む項目もあります。以下はその例です。
■ 水道光熱費の固定契約料
電気・ガス・水道などの光熱費の中で、基本使用料など毎月必ずかかる費用です。なお、使用量によってかかる費用は変動費となります。
■ 人件費のうち正社員給与
毎月決まって支払われる正社員の給与などは固定費、客数や時間帯など売り上げに応じて変化するパートやアルバイトなどの人件費は変動費とする場合があります。
固定費はどれくらいが適正?
飲食業界の場合、売り上げに対する経費の割合は90%以内に抑えることが望ましいとされています。適正とされる固定費の割合は、家賃が7~10%、減価償却費、支払利息、リース料などは10%以下。合計すると15~25%が適正比率ということになります。
その他、変動費については、原価(食材費)が30~35%、人件費が27~30%、水道光熱費が5~7%、広告宣伝費や消耗品費は10%以下が適正割合の目安です。
固定費を削減する工夫
では、固定費を減らすにはどのような対策があるでしょうか。

■ 電気料金の基本プランを見直す
電気の基本料金は毎月かかるものですが、使用量やアンペア数などによってその費用は異なります。また他社に乗り換えることで、現状より安く済む場合も。さらに電気とガスの契約を一社にまとめれば、光熱費ごと下げられる可能性もあります。まずは電気会社に相談するなどして、契約の見直しを検討してみましょう。
■ 下水道料金の減免を受ける
自治体によっては下水道料金が減免され、使用料が減額される場合があります。たとえば東京都では、日本・中華そば店、大衆すし店などの飲食店で、下水道料金の減免が受けられます。ぜひ、出店されている自治体の制度を調べてみてください。
■ 保険・リース契約の見直し
飲食店として加入している保険については、本当に売り上げや経営に見合った補償内容なのかどうかを改めて見直してみましょう。リースの場合は、他社と比較検討するほか、思い切って購入した方が支出を抑えられる場合もあります。
固定費削減で気を付けるポイント
■ 家賃について
家賃は売り上げの10%以下にすることが適正とされています。しかし、10%以上になるからといって、別の物件を探し始めるのは早計というもの。もし、ある程度客数が見込めるのであれば、立地としては良いのかもしれません。まずは大家との家賃・共益費の交渉などから試みていきたいところです。
■ 人件費について
正社員の給与が固定費に組み込まれている場合、人員の整理、アルバイトやパートの比率アップなど、人件費の削減を優先しがちに。しかし最も考慮すべきは、現場のモチベーションです。たとえば給与体系を変える際には、十分な話し合いによる双方の納得が必要となります。売り上げに応じてボーナスを出す、アルバイトの場合はシフト別に時給を変えるなど、前向きな工夫も必要です。
こうした点を参考に、まずは現状の固定費について正しく認識することが重要。その上で、それぞれの状況に合わせた的確な削減プランを導き出していきましょう。
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