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「生業(なりわい)商売に徹する」ことが理念であり、ルール。ダイキチシステム代表・近藤隆氏に伺う、『やきとり大吉』のブレない軸と、柔軟に変えゆく「これからのコト」の話

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2024年11月11日

1977年の創業以来、独自の開業支援システムで居酒屋チェーン『やきとり大吉』を全国展開してきたダイキチシステム株式会社。2022年にはモダンな外観・内観の新業態『白い大吉』を神戸に開業。2023年には鳥貴族ホールディングス(現・エターナルホスピタリティグループ)の傘下に入ったことも話題を呼んでいる。
何かと変化の多い昨今のダイキチシステムだが、創業者・辻成晃氏が掲げた理念「生業(なりわい)商売に徹する」と、それを柱とした経営方針は変わらない。取り入れた変化は、守ってきた『大吉』というブランドをブラッシュアップするための一歩なのだ!
今回は、代表取締役社長・近藤隆氏にインタビュー。ダイキチシステムの歩みと守ってきたものと、今後の展望について伺った。

「生業(なりわい)商売に徹する」ことが理念であり、ルール。ダイキチシステム代表・近藤隆氏に伺う、『やきとり大吉』のブレない軸と、柔軟に変えゆく「これからのコト」の話

1990年にサントリー株式会社へ入社。1994年に同社の外食チェーンを担当する市場開発本部に所属し、ダイキチシステムの営業担当となる。2008年には役員としてダイキチシステムへ出向。2012年にサントリーへ戻り、経営管理部で活躍したのち、プロントコーポレーションへ出向する。
2019年に、ダイキチシステムの取締役に就任し、営業推進に尽力。2023年に同社の代表取締役社長に就任した。

サントリー入社後ダイキチシステムの担当に。その理念に感銘を受ける

——席に着いた近藤氏の表情はにこやかで、纏う雰囲気は柔らか。その柔和な雰囲気がどことなく『大吉』という店の持つ独特の親近感を思わせる。

——実は私、『大吉 ○○店』によく通っていたんです。

近藤氏:ああ、元ダンサーの○○さんがやっているお店ですね。よく覚えていますよ。

——えっ。店主の以前の職業まで覚えてらっしゃるんですか?

近藤氏:もちろんですよ。現在、展開している500店舗の店主の顔と名前は、全て頭に入っています。

——驚いた。しかし、2023年の代表就任以前からダイキチシステムに深く携わっていた近藤氏ならではの一言であるとも感じる。また、代表へ就任してからは、実に5ヶ月をかけて全国各エリアを巡り、ほぼ全ての店主と会話を交わしたというから驚きである。

『大吉』とその店主に対し、並々ならぬ思い入れを伺える近藤氏。今日までどのような日々を歩んできたのだろうか。

—近藤社長は1994年に外食チェーンの市場開発本部でダイキチシステムの担当になりますが、それ以前から創業者の辻成晃氏とはお会いしていたと聞きます。

近藤氏:辻さんとお会いしたのは、入社翌年の1991年ですね。向かい合って、「この人の前では、嘘をつけない」と感じました。とにかく人を見る目が鋭いんです。
その後、ダイキチシステムの担当となり、開業者面接に立ち会うことになるんですけれど、辻さんは人の見極めがとにかく早かった。

——その頃は『大吉』も店舗数が増えていた時期だと思いますが、開業希望者はかなり多かったのではないでしょうか?

近藤氏:ものすごい数でした。一方、辻さんは超多忙だったので面接のために時間をとれるのは月に1日だけ。だから、応募者を20名ほどに絞って、1日で全員と会うんです。一人ひとりと面接できる時間もほんのわずかなので、その中で『大吉』の店主にふさわしいかを見極める。

——まさに慧眼ですね。

近藤氏:もともと、辻さんが「やる気はあるけれどお金がない」という若者の夢を叶えるために会社を立ち上げたことが始まりで、そのスタンスがブレていないからだと思います。
「生業(なりわい)商売に徹する」。
店主自らが肉を仕入れて、自分で仕込んで、焼き台に立つ。金の勘定も掃除も、全部自分でやる。それができる人しか、『大吉』は開業できない。
これが、今でも変わらない『大吉』の理念であり、ルールなんですね。
人を使って自分は店に立たない。いわゆる「事業」として開業しようとしている人を受け付けることはありません。

——フランチャイズチェーンでありながら、個人事業主として店主に店舗を任せるわけですね。

近藤氏:そういった「人の夢を実現する」という辻さんのアツい想いから始めた会社なので、今でもロイヤリティは月3万円しかいただかないんです。直営店舗を持たず、本社は本部機能を保つためにごくごく少数精鋭の社員で回している。
私が担当していた1994年から6年間で600店舗ほど出店していました。年間を通して、全国のどこかで新しい店が次々とオープンしている状態で、勢いがすごかった。
担当者として関わって、「こんな会社、他にない」と感じましたね。

——その後、担当を離れたのち、2008年にダイキチシステムへ出向することに。

近藤氏:サントリーの完全子会社になったタイミングで、取締役として出向することになりました。
今までは外部の営業担当だったのでダイキチシステムを得意先として見ていましたが、今度は内部の人間として経営に携わることになる。この頃は東京本部長という肩書で、首都圏から東日本全体の営業を見ていました。本当に色々なことを学ばせていただいたと思います。

——その後、12年にふたたびサントリーへ戻り、2015年にプロントコーポレーションへ出向されます。この時はどのようなお仕事を?

近藤氏:新規業態の開発運営ですね。メインブランドである『プロント』が昼はカフェ、夜は酒場という二毛作スタイルだったのですが、夜もカフェだけの業態やワイン酒場、他にも様々な業態を立ち上げて、それを軌道に乗せる、という仕事をしていました。
とにかく、新しいものを作るのが好きな性分で。とても楽しかったですね。

コロナ禍に突入し、『大吉』ブランドの「地域密着型の強さ」を再確認

「生業(なりわい)商売に徹する」ことが理念であり、ルール。ダイキチシステム代表・近藤隆氏に伺う、『やきとり大吉』のブレない軸と、柔軟に変えゆく「これからのコト」の話

——そして、2019年にふたたびダイキチシステムへ2度目の出向をすることになります。前回は東京本部長として営業を見られていましたが、この時はどのような役割で?

近藤氏:営業推進の責任者ですね。
『大吉』は最盛期には1100店舗ほど出店していたんですけれど、私が出向した2019年には純減傾向にあって、600店舗ほどだったんです。
この原因は、店主が高齢化によって病気になってしまったり、急に亡くなられてしまったり、そういった理由での閉店がほとんどだったんです。
だから会社としては店舗を増やしつつも、既存店の活性化に重きを置く考えにシフトした。販促や広報に力を入れて、既存店の営業が円滑に回るようにしようということで。私自身もサントリーで営業推進を担当していたので、その経験を活かして色々と動いていました。

——そういった矢先の2020年、コロナ禍に。まさにこれから、という時に飲食業界では逆風が吹き荒れるわけですが、『大吉』はいかがでしたか?

近藤氏:例に漏れず『大吉』もほぼ全ての店舗の売上が減少しました。特に、ウチは全国に店舗があるので行政による条例の違いが本当に大変でしたね。営業時間や提供していいもの、悪いもの、それらすべてを本部で把握して、コントロールする。その中で、テイクアウト用のツールなど、色々な施策を打って対策していました。

——確かに、都道府県によってルールが全然違いましたもんね。

近藤氏:でも、同時に地域密着型の『大吉』独自の強さも見えました。
『大吉』は「店主が自分で店に立つ」をルールとしている。つまり、チェーン店でありながら個人店で、店主はいつも店にいる。そのため、常連さんたちの一番の目的は「店主の顔を見に行くこと」なんです。加えて、ウチは基本的に住宅街にしか出店しないので、長くやればやるほど地域に根付いていく。だから、コロナ禍でも店主を心配して、店まで様子を見に来てくれたお客様がとても多かった。

——創業からブレずに貫いてきたスタイルがコロナ禍でも強みに!

近藤氏:当時はコロナ禍でリモートワークが進み、自宅で過ごす人が多かった。そうなると、オフィス街や繁華街まで足を伸ばすこともない。そんな時に「ちょっと出かけたいな」となった時、住宅街で出店していて地域住民の方々と親交を深めていた『大吉』の店主達は強かった。
従来の常連さんが応援してくれたのはもちろん、この時期に『大吉』を知って常連になってくれた方も多いと聞きます。ですので、売上は減ったけれど、コロナ禍が原因で閉店した店舗は一軒もないんですよ。手前味噌かもしれませんが、私たちも胸を張っていることのひとつです。

『白い大吉』を始めとするリブランディング戦略により、既存店舗が活性化

「生業(なりわい)商売に徹する」ことが理念であり、ルール。ダイキチシステム代表・近藤隆氏に伺う、『やきとり大吉』のブレない軸と、柔軟に変えゆく「これからのコト」の話

——2022年以降、『大吉』は新しい展開で忙しくなりますね。まず、印象的だったのは新業態の『白い大吉』でした。

近藤氏:コロナ禍で『大吉』の強みが見えた一方、課題も色々見えるようになりました。そこで、「改めて『やきとり大吉』は世の中でどのように見られているのか、もう一度精査しよう」と、全国1万人にアンケートを取ってみたんです。
結果、認知度はとても高いことがわかった。けれど、「実際に入ったことはありますか?」という質問になると極端に低い。さらに理由を聞いてみると「店内が見えないから」という回答が圧倒的に多かった。
ウチは3回以上来店されたお客様が常連化する割合が高いことが自慢でしたが、調査の結果からは最初の1回を逃していることが見えてしまった。これはなんとかしなければならない。

——新規客にとって、来店ハードルの高さが課題だったというわけですね。

近藤氏:改めて『大吉』を見ると、外から店内が見えずらい。赤い看板に赤提灯のファサードは昔懐かしい風情があっていいけれど、新規客にとっては重い印象を受けて近寄りがたいという意見もありました。
特に、店内が見えにくいことを気にされる方は女性客に多いんですね。一般的に女性客が増えれば、男性客も取り入れることができるとも言われています。
つまり、「店内が見えにくい」という課題をクリアすれば、従来は取り込めていなかった客層を開拓できるはず。
そうした仮説も立て、「新しい『大吉』に生まれ変わろう」と、リブランディングプロジェクトを開始しました。そこで作ったのが、『白い大吉』だったというわけです。

——白い暖簾と提灯、明るい白木のファサードで外から店内の様子がよく見えるつくり。初めて目にした時は『大吉』だと気付かなかったくらいです。評判はいかがでしたか?

近藤氏:むしろ、「あれは『やきとり大吉』だ」と認識されなくてもいいとすら思って作りました。今まで『大吉』に来たことのない方がターゲットですから。
とにかく「やると決めたら、徹底的に」と、決心して臨みました。「何事も中途半端が一番良くない」と、創業者からも口酸っぱく言われてきましたしね(笑)。
ファサードだけでなく、内装もモダンな風情に変えて、メニューのバリエーションも増加。結果は明確に表れて、今までの『大吉』よりも若い客層となる20~30代の男女を取り込むことに成功しました。
また、既存の『大吉』の店主たちが「あの新しい『白い大吉』は赤い『大吉』の弟分みたいなものなんですよ~」と、積極的に常連さんへ紹介してくれたり、『白い大吉』のメニューを『大吉』の店舗でも出してみたりと、両ブランドのシナジーも生まれています。

——さらに、2024年8月8日には『新・赤大吉』がオープンしました。こちらもリブランディングプロジェクトの一環なのでしょうか?

近藤氏:いえ、こちらはどちらかと言えば既存の『大吉』のリニューアルモデルで考えています。
従来の『大吉』のコンセプトはそのまま、『白い大吉』のように店内の視認性を高めたファサードを作る。

——内装や商品は『大吉』で、外観は『白い大吉』といったような?

近藤氏:そうですね。『白い大吉』の成功で「店内の視認性を高めることは本当に重要だと実感しました。だからといって、外観と内装、どちらもリニューアルするとなると莫大なコストがかかる。
だから、極力コストをかけずに集客効果を高めるために、外観だけ『白い大吉』に寄せた『新・赤大吉』をリニューアルモデル店としてつくりました。

『鳥貴族』へのグループインにより、『大吉』の軸はさらに強くなっていく!

「生業(なりわい)商売に徹する」ことが理念であり、ルール。ダイキチシステム代表・近藤隆氏に伺う、『やきとり大吉』のブレない軸と、柔軟に変えゆく「これからのコト」の話

——2023年1月。ダイキチシステムは鳥貴族ホールディングス(現・エターナルホスピタリティグループ)の傘下に入りました。これによってどのような変化がありましたか?

近藤氏:すでに両社で交流を深めていますが、やはり同じ焼鳥チェーンということで、資材や販促など、色々と検討をすすめています。
特に、ウチは直営店を持たず、全て個人経営スタイルの店舗でやってきましたが、『鳥貴族』は直営店とフランチャイズの両方を展開している。ウチとは違う運営スタイル・出店形式を目の当たりにしていて、良い刺激を受けていますよ。

——同年に、近藤社長自身もダイキチシステムの代表取締役社長に就任しています。これを機に、新たな改革を進めているとも?

近藤氏:代表就任以前から少しずつ進めていましたが、本部機能の再構築に本腰を入れています。と、いうのもウチって社員が10人で、部署もなく個々人のマルチタスクで回してきた会社なんですよ。

——半端じゃないですね(笑)。少数精鋭とはまさにこのことで。

近藤氏:拡大路線で出店が加速していた時期は、むしろこれが良かったんです。面接や物件探し、開店準備、研修などなど、やることが山ほどある。部署を分けていたら、むしろ間に合わないんですよね。
けれど、店舗が純減傾向に入って既存店舗の活性化に力を入れるように方針を変えた。本部としてやることが変わったのだから、改めてそれぞれの役割分担を明確にして、これからにふさわしい運営スタイルを作っていかなければならないと考えています。

——同業態ということで、従来はライバルともいえるグループへの参入ですが、加盟店の店主さんたちの反応はいかがでしたか?

近藤氏:実は、『鳥貴族』は駅前に多いけれど、『大吉』は住宅街にあるので微妙に客層が違うんですよね。地元密着が強みである「大吉」をこよなく愛する店主の皆さんからは「『大吉』らしさだけは、失わないでほしい」と言われています。
これから同じグループとして、お互いに前向きに進んでいくこと、そして、お客様に愛される店づくり心がけて柔軟に変化をしていこうと思います。

ダイキチシステム株式会社

https://www.daikichi.co.jp/

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