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月商300万超の人気洋食店を”異業種”のラジオ局が購入した理由とは? 飲食店M&Aの「舞台裏」に迫る! 第1回

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2026年07月03日

月商300万超の人気洋食店を”異業種”のラジオ局が購入した理由とは? 飲食店M&Aの「舞台裏」に迫る! 第1回 タイトル画像

飲食店の出口戦略において、近年注目を集める「M&A(事業承継)」。しかし、実際の現場ではどのようなやり取りが行われ、オーナーはどんな決断を下しているのでしょうか。 今回は、関東圏で月商300万円超の人気洋食店を経営していた30代オーナーの事例を深堀りします。「夫婦で小さな店に戻りたい」という想いは、なぜ異業種であるラジオ局への売却という意外な結末を迎えたのか。株式会社ウィットのシニアアドバイザー・正野浩基さんに、成約の舞台裏を伺いました。

【今回の案件概要】

項目 内容
譲渡側(売り手) 関東圏・洋食専門店(1店舗) / オーナー:30代後半
譲受側(買い手) ラジオ局(異業種からの新規参入)
売却の主な理由 親族の事業手伝い、小規模運営(原点回帰)へのシフト
引き継ぎ内容 店舗(居抜き)、ブランド(屋号)、レシピ、従業員、法人としての借入金
売却価格 3000万円


■PROFILE 正野浩基(株式会社ウィット・シニアアドバイザー)

飲食業界を中心に、中小企業のM&A・事業承継を専門とし、多様な売却スキームの案件に携わり、売主・買主双方の実務支援を行ってきた。これまでに約50案件程の成約実績あり。現場実務に基づいた正確性と、専門用語を噛み砕いた分かりやすい解説を強みとし、M&Aに不慣れな経営者にも理解しやすいコミュニケーションを心がけている。

■株式会社ウィットとは?

飲食・食品に特化したM&A仲介に20年近く従事しており、小規模1店舗案件から大規模多店舗チェーンまで幅広く対応できることが特徴。2018年からは飲食店ドットコムを運営する株式会社シンクロフードの傘下に入り、会員数約30万人以上のネットワークを活かした最適なマッチングによる支援を行っている。

飲食店ドットコムM&Aでは、飲食事業を売却したい方と、譲り受けたい方の出会いから引継ぎをサポートさせていただきます。

目次



独立から10年。人気店だからこそ抱えた「経営のジレンマ」


── 今回の売り手である洋食店のオーナー様は、どのようなきっかけでご相談にいらっしゃったのでしょうか。

正野氏: オーナー様は有名店で修行後に独立して10年、クチコミサイトでも高評価を得るような地元で愛される人気店を作り上げました。しかし、繁盛する一方で、スタッフの採用やマネジメント、毎日の仕込みに追われ、「経営者」としての負担が日に日に大きくなっていたんです。

さらに、ご親族が経営する別業種の会社も手伝わなければならない事情が重なりました。そこで、「これ以上お店を拡大するよりも、一度この店を誰かに譲り、将来的には奥様と二人だけで回せるような小規模な店をやり直したい」とご相談にいらっしゃいました。以前の記事でお話しした「小回りの利く運営へのシフト(オーナーシェフ回帰)」の典型的なケースですね。

▼こちらもチェック!「飲食店オーナーが知っておくべき「4つの出口戦略」とは? プロが教える「閉店・倒産」以外の選択肢」

── 繁盛店を譲ることに、葛藤はなかったのでしょうか。

正野氏: もちろんありました。特に気にされていたのは「自分が抜けた後も、この味とブランドを守れるのか」「長年頑張ってくれたスタッフたちの雇用はどうなるのか」という点です。高く買ってくれると同時に、自分のお店を大切にしてくれるお相手を探してほしい、というのが強いご希望でした。

また、オーナー様は学生時代から料理の道に進んでおり、「一つの事業のライフサイクルは10年区切り」と考えておられました。コロナ禍などで業績が厳しい時期もあったにもかかわらず、「今年中に売却したい」という明確な期限と強い意思をお持ちでした。この揺るがない決断があったからこそ、我々も全力でサポートしやすく、後の交渉もスムーズに進めることができました。

買い手はまさかの「ラジオ局」。その狙いとは?


── そこで正野さんがマッチングしたお相手は、なんとラジオ局だったそうですね。全くの異業種ですが、なぜ飲食店の買収に手を挙げたのでしょうか?

正野氏: 一見すると意外ですよね。しかし、彼らには明確な狙いがありました。そのラジオ局は地域特化で事業を展開しており、新たな柱として「地域に根ざした飲食事業」を立ち上げたいという戦略を持っていたんです。実は、ラジオ局の親会社には飲食事業に精通したキーマンがおり、飲食業界の難しさを理解した上での参入でした。

ただ、飲食店をゼロから自力で立ち上げるのはリスクが高い。そこで、すでに地元でブランド力があり、オペレーションも確立されているこの洋食店に目をつけました。ラジオ局ならではの視点として「自社の番組クルーへのロケ弁として活用できる」「番組のコンテンツとしてもお店を取り上げられる」、「将来的には自分たちの地元エリアにも新店舗を展開できる」というシナジー効果(相乗効果)も高く評価されたんです。

── なるほど! 売り手側は、異業種に譲ることに不安はありませんでしたか?

正野氏: 最初は驚かれていましたが、トップ面談でお引き合わせした際、ラジオ局側の「地域の人気店を絶やしたくない」「このブランドを活かして、従業員の皆さんと一緒に飲食事業を育てていきたい」という熱意に触れ、非常に安心されていました。

実は、もう1社、大手の飲食チェーン企業からも手が挙がっていました。しかし、ラジオ局の皆さんは面談の前に実際に店舗へ足を運び、誰がどう調理しているか厨房の様子まで観察し、オーナー様の経歴も深く研究されてきたんです。面談でも「1からお店を創業されたご苦労は十々承知しています」と、飲食事業への深い敬意を示してくれました。

もう1社は言ってしまえば「準備不足」とも言えるスタンスだったのに対し、ラジオ局側のこの「真摯なスタンスと熱意」が、オーナー様の心を大きく動かしました。資金力のある会社がバックにつくことで、スタッフの雇用や待遇が守られるという点も、オーナー様の背中を押す大きな要因になりましたね。

メリットとデメリットに悩むイラスト 画像素材:PIXTA

金額よりも「従業員の未来」と「ブランドの継承」を優先


── 大手の飲食企業と比べ、最終的にラジオ局を選んだ決め手は何だったのでしょうか。

正野氏: 実は、価格の調整には非常に苦労しました。当初、オーナー様は4000万円以上で、借入金や営業利益を考慮すると相場よりも非常に高い金額での売却を希望されていました。そこで、我々が間に入り、2〜3ヶ月かけて市場相場とのギャップを埋める話し合いを重ね、最終的に双方納得のいく3000万円という着地点を見出しました。

もう1社の飲食企業は居酒屋チェーンを展開していたのですが、業態の違いから「従業員の雇用環境が大きく変わってしまうのではないか」という不安をオーナー様は抱いていました。

結果として、オーナー様は「金額の条件」だけでなく、「従業員がこれまで通り安心して働き続けられる環境」と「手塩にかけた屋号を大切に育ててくれる相手」を優先し、ラジオ局を選定されたのです。まさに、売り手様のお人柄が出た決断でした。

小規模店ならではの「買収監査の壁」とスムーズな引き継ぎの裏側


── 実際に売却を進める上で、壁になったことはありましたか?

正野氏: 個人経営に近い小規模店の場合、労務管理や書類関係が大企業のように完璧に揃っていないケースが多々あります。今回も、飲食業特有の未払い残業代の計算など、管理しきれていないリスクがありました。

しかし、買い手であるラジオ局側が「ここまでは過去の責任として切り分け、これからのリスクは我々が背負う」と、「表明保証」という形で明確に責任の線引きをしてくれました。買い手側の「飲食業特有の難しさに目をつぶってでも買いたい、いざとなったら自分たちでどうにかやるよ」という男気や覚悟があったからこそ、この買収監査(デューデリジェンス)の壁を乗り越えられたと思います。

── 従業員の方への告知や引き継ぎはどのように行われたのでしょうか。

正野氏: M&Aが成立した後、オーナー様はすぐに現場を離れるのではなく、なんと3ヶ月ほど新しい体制の現場に入ってシフトをこなしながら、従業員の方々と一緒に働きました。その間にラジオ局側が新たな人材を採用し、オーナー様から直接オペレーションやレシピの引き継ぎを行いました。

急にいなくなるのではなく、「経営体制は変わるけど、現場のやり方は変わらないよ」と徐々に移行していったことで、既存のスタッフは誰一人辞めることなく、新しい体制へと非常にスムーズにバトンタッチすることができました。

握手をするイラスト 画像素材:PIXTA

売却資金を元手に、理想のライフスタイルを実現


── 無事に成約したその後、元オーナー様はどうされているのでしょうか。

正野氏: M&A成立後、数ヶ月間の引き継ぎ期間を経て、無事にお店をバトンタッチされました。そして、今回の売却で得た資金を元手に、ご自身の希望通り、ご実家の仕事を手伝いながら、地元の小さな物件で奥様と二人で新しいお店をオープンされました。

「スタッフの雇用も守れましたし、何より自分自身の時間を持てるようになり、理想のライフスタイルを実現できました」と、非常に晴れやかなお顔でご報告をいただきました。

一方、買い手であるラジオ局の傘下に入ったお店も、その後さらに評判を呼び、現在では大手グルメサイトの「百名店」に選ばれるほどの有名店に成長しています。また、新たに商業施設から新店舗の出店を依頼されるなど、買い手側にとっても非常に良い買い物になったと喜ばれています。

── 買い手側にとっても、売り手側にとっても、まさにWin-Winの形ですね。

お店の今後に悩むオーナー様へ「あなたの店の価値は、意外なところにある」


── 最後に、今同じように「お店の今後」について悩んでいるオーナー様へメッセージをお願いします。

正野氏: 飲食店オーナー様は、日々の業務に追われる中で、「ウチみたいな個人の店や小規模の法人を買ってくれる人なんていないだろう」と、ご自身の店舗の価値を過小評価してしまいがちです。

しかし今回の事例のように、異業種や同業ですが違う業態を運営している方から見れば「喉から手が出るほど欲しいブランドやノウハウ」であるケースは多々あります。相手が異業種であっても、しっかりとした熱意と「背負ってやる」という覚悟があれば、素晴らしい相乗効果を生み出すことができます。M&Aは単なる売買ではなく、オーナー様の「理想の人生」を実現するための手段です。

閉店してしまう前に、まずは一度私たちにご相談ください。お店の価値を一緒に見つけ出し、最善の道を探すお手伝いをさせていただきます。

経営の「その後」のお悩み、一緒に解決します


先の見えない飲食店経営の「その後」を考える時、ぜひ私たち「飲食店ドットコム」を思い出してください。

オーナー様の体力、ご家族の状況、そして従業員への想い……。ご希望の条件をすべて伺った上で、M&Aが最善の道なのか、あるいは他に道はないのか、飲食店の出口戦略に精通したアドバイザーが一緒に最適な道を見つけるお手伝いをいたします。もちろん、秘密は厳守いたします。

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