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製麺企業とうどん居酒屋、互いの目的を達成するためのM&A。買い手と売り手のホンネを取材

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2019年01月17日

近年飲食業界では、個人の飲食店や複数経営する店舗・事業の一部を売買するM&Aのニーズが高まっている。後継者のいない店を引き継いでもらうために譲渡する、新しいことに挑戦するために事業の一部を手放す、事業を拡大するために他店を買収するなど、立場や理由はさまざまだが、どれも飲食店として生き残り、成長していくための手段として考えられるだろう。今回は実際に株式譲渡を行った買い手である株式会社丸山製麺、取締役・丸山晃司さんと売り手である株式会社SmileMills、顧問・永井康太さんの双方に話を伺い、M&Aに至った経緯やホンネを聞いた。

「自店のうどんを広めたい」「新しいことに挑戦したい」各々の考えからM&Aを選択

売り手側である永井さんが経営する株式会社SmileMillsは、2013年に亀戸で蕎麦屋として開店し、2014年に『石臼挽きうどん しゅはり』へ業態変更。その後、カフェ、アジア料理店など複数の飲食店経営に乗り出したが、最終的に一番収益の高い『石臼挽きうどん しゅはり』に絞り、経営を続けてきた。

その後錦糸町に移転した『石臼挽きうどん しゅはり』は、石臼で挽いた小麦粉を使った特徴的なうどんや、「うどん居酒屋」という当時珍しかった業態で注目され、メディアにも取り上げられるようになった。そして、現在も客足は増え続けているという。しかし、それでも永井さんは事業譲渡を検討し始めた。順調に見える店をなぜ手放そうと考えたのか理由を聞くと、「うどん居酒屋として『石臼挽きうどん しゅはり』をさらに拡大させたかった」という。

「店舗を増やすというよりは、どうしたら自店のうどんをより広めていけるのかということを考えていました。具体的には通販や卸などを検討していて、挑戦してみたこともあるのですが、コストがかかりすぎて断念してしまった経緯があります。もっとうまいやり方はないかという思いがありましたね。また、こうしたことに挑戦するためにもまず、経営をしっかりと安定させたかった。そこで、資本がしっかりしている企業に経営に入ってもらうのが良いのではと考え、事業譲渡を検討するようになりました」

株式会社StoneMills 顧問 永井康太さん 株式会社StoneMills 顧問 永井康太さん

一方で丸山さんが取締役を務める株式会社丸山製麺は業務用麺を製造販売、駅ナカのそば屋やラーメン屋、社員食堂、老人ホームなどに卸している老舗企業。各店ごとに麺のカスタマイズにも対応しており、約200種類の麺を製造している。丸山さんはこれまで勉強のためにIT業界に勤めていたが、30歳となる今年、家業である丸山製麺に戻って来たばかりだという。

「前職に勤めていた際、企業は常に新しい領域にチャレンジしていかないと衰退していくという事実を目の当たりにしていました。長年老舗としてやってきた当社も、私が戻ったタイミングで何か新しいことにチャレンジすべきだと考え、新事業を検討することになったんです」

新たな事業をいくつか検討した中で思い立ったのが、飲食店を経営することだった。製麺事業で扱っている麺を出せるような特徴ある飲食店を作り、丸山製麺の事業を厚くするという考えだ。とはいえ、一から飲食店を作っていくには時間がかかってしまう。そこで飲食店のM&Aを検討する運びとなったという。

株式会社丸山製麺 取締役 丸山晃司さん 株式会社丸山製麺 取締役 丸山晃司さん

飲食業界専門のM&A仲介会社「ウィット」での出会い

M&Aを検討していた二人が出会ったのは、2018年5月頃。株式会社ウィット(シンクロ・フード グループ会社)のM&A仲介サービスを利用したことがきっかけだ。永井さん、丸山さんともに複数のM&A仲介会社を検討したのち、同サービスにたどり着き、登録。永井さんはウィットで丸山製麺を紹介されたとき、理想に近いと感じたという。

「ウィットさんにここが一番良いのでは、と紹介してもらったのが丸山製麺さんでした。安定した企業で従業員を守ってくれること、外食にある程度携わっている企業であることなど、私が考えていた条件にぴったりでしたし、『石臼挽きうどん しゅはり』の麺は他と比較できないようなエッジをきかせていますが、製麺業をやっている丸山製麺さんであれば作れないこともないと思いました」

一方で丸山さんは、『石臼挽きうどん しゅはり』の特徴あるうどんが、自社に良い影響をもたらしてくれるのではと考えたそうだ。

「4、5店舗検討した中で、『石臼挽きうどん しゅはり』さんが目を引きました。『江戸東京うどん』というキャッチーな呼び名のうどんにも特徴がありましたし、『石臼挽きうどん しゅはり』の麺を広めたいという永井さんの考えも引き継ぎたいと感じました。ウィットさんに勧められたこともあり、契約したいと考えるようになりましたね」

互いの条件が合致したのももちろんだが、永井さんはさらに「丸山さんだったら事業を任せられるな、と感じたことが一番の理由です」と話してくれた。大切な事業を引き渡すからこそ、直接会って話し合い、丸山さんの人柄に「この人になら売却してもいいな」と感じられたことが決め手になったという。結果、事業譲渡から株式譲渡へ切り替え、正式に契約を進めることになった。

実質のやりとりは3か月。スピード締結の理由とは

7月頃に株式譲渡の話が進み、9月には契約を締結。約3か月のスピード契約となった。二人が直接会って話したのは3回ほど。それ以外はメールのやり取りで必要な書類を送り合っていたという。ここで大変役に立ったのが、『石臼挽きうどん しゅはり』のクラウド化された経営、会計データだ。永井さんが、以下のように説明してくれた。

「『Airレジ』や『Freee』等を使って会計・経営のクラウド化を進めていたので、すぐに店舗の詳細のデータを渡せました。これが大きな信頼に繋がったのではと思います。数字は嘘をつきませんから」

この件については、丸山さんも「永井さんがすごかった」と話してくれた。

「経営状況や売上状況がすべてすぐに把握できるようになっていたので、驚きました。飲食店はどんぶり勘定も多いですから。また、この点は自分と相手のITリテラシーが同じくらいだったのも良かったです。電話やファックスでのやり取りだったら、このスピード感ではできませんでした。相性が良かったのかもしれません。」

スピーディに進んだ理由には、ウィットのサポートもあったと二人が話してくれた。永井さんは「不安を相談するとすぐにアドバイスをくれた」という。丸山さんもまた、「逆にウィットさんが入ってくれなかったら、どうしていいかわからなかった」とのこと。

仲介会社を通さずにやり取りする場合、条件に納得できずに感情的な言い争いになってしまったり、条件締結後にも食い違いが発生する可能性があったりと、トラブルがかなりあることが予想される。事業譲渡や株式譲渡といった契約は、大切な事業を引き渡すセンシティブな面があるからだ。仲介会社が入ることで落ち着いて契約できたことも、確かにスピード契約の理由の一つといえるだろう。

飲食店で難しいのは「味の引き継ぎ」

契約締結はスムーズに行われ、「何の問題もなかった」と話す二人。『石臼挽きうどん しゅはり』の従業員はこのまま残ることになっているが、丸山さんが従業員面談を行うなどして、丁寧にケアをしている。

「現場スタッフの方々がどうしていきたいかを一緒に考えたいですね。こちらのやりたいことと従業員がやりたいことをすり合わせていけたらと思います」

現在、永井さんは「顧問」という形で経営に残り、会計・帳簿の引継ぎを行っているが、現在特に課題となっているのが、味の引き継ぎだ。

「丸山製麺さんが作ってくれる『石臼挽きうどん しゅはり』の麺は、これまでの味わいを踏襲してくれています。ただ、味わいだけでなく、うどんはこしや太さもあるので、現在その辺りをかなり細かく調整してもらっているところです」

丸山さんも、「『石臼挽きうどん しゅはり』さんのうどんは再現するのが難しく、思ったより苦戦しています」と話してくれた。経営等の引き継ぎだけでなく「味」を引き継ぐことは、飲食店のM&Aにとってとても重要なことといえそうだ。

『石臼挽きうどん しゅはり』の麺を広めるため、さらなる展開へ

永井さんは今のところ顧問としてサポートしているが、今の引き継ぎが終われば完全に事業から抜ける契約になっているという。

「実家の営む飲食店の手伝いやいずれは他のことにも挑戦したいという気持ちもあります。きりのいいところで抜けて、後は丸山製麺さんにお願いできればと考えています」

永井さんがいなくなった後、『石臼挽きうどん しゅはり』はどうなっていくのだろうか。丸山さんが今後の展望を教えてくれた。

「『石臼挽きうどん しゅはり』を広めていくにあたり、事業展開を4つほど考えています。直営店を増やすこと、フランチャイズ展開、うどんを扱う和食店や居酒屋への卸事業、海外展開などですね。特に海外展開は、今までの丸山製麺にない新しい販路です。『石臼挽きうどん しゅはり』と共に、丸山製麺も新しいことにチャレンジしていけたらと思います」

M&Aは売り手側にも買い手側にもメリットをもたらす

まさにそれぞれの思い描く未来が合致したからこそのM&A。永井さんはこの状況を鑑み、「条件面ばかりを気にしていると厳しいのでは」と教えてくれた。

「お互いがうまい蜜だけ吸おうとすると、うまくいかないと思います。お互いに組めばメリットがあるよね、と納得できることが大事。当社は株式譲渡を選択しましたが、丸山製麺さんだったら今までできなかったこともやってくれるかもしれない、と考えると本当に良かったと思います。今後も『石臼挽きうどん しゅはり』の麺を広めていってほしいですね」

また、丸山さんも『石臼挽きうどん しゅはり』を買収したことで「よりスピーディに事業展開できた」と語る。

「M&Aのメリットは何といっても、事業がスピード化していくことです。今回は『石臼挽きうどん しゅはり』さんという異業種と組むことで、掛け算で事業を伸ばすことができました。これは一から飲食店を作っていたのではなかなかできなかったことです」

『石臼挽きうどん しゅはり』の麺を広めたいという永井さん、自社の事業をさらに厚くしたいと語る丸山さん。それぞれの目的を達成できるというだけでなく、よりスピーディに、自社だけではできなかったことをM&Aによって実現できていることが窺えた。今回のM&Aは、まさにこうしたメリットを実感できる成功の事例といえるだろう。

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