- 買い手
- 売り手
売り手と買い手で異なる飲食店M&Aにかかる税金。所得税や消費税など細かな種類も解説
2020年01月24日
飲食店のM&Aでは、金銭や資産のやり取りが発生するため、さまざまな税金がかかります。大きな金額が動くことが予想され、「どれくらい税金がかかるのか」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。M&Aにかかる税金について解説します。
売り手にかかる税金は?
M&Aで飲食店を譲渡する場合、売り手は「譲渡所得」を得ることになります。「譲渡所得」とは、売却額から取得費、譲渡費用を差し引いた金額です。
<参考記事>
この譲渡所得に対して、個人の場合は所得税、法人の場合は法人税が課税されます。個人の所得税は、土地・建物・株式を取得した場合は申告分離課税、それ以外は総合課税で計算されます。
<参考記事>
買い手にかかる税金は?
買い手にかかる税金としては消費税が挙げられます。消費税は課税対象になるものとならないものがあるため、注意が必要です。
課税対象となるのは土地以外の有形固定資産、無形固定資産、営業権など。一方で非課税となるのは土地や売掛金、株式などの有価証券、債券などが考えられます。
つまり、事業譲渡の場合は営業権や建物などの課税対象となる資産価格に対して消費税を支払う必要がありますが、株式譲渡の場合は株式が非課税となるため、税金を支払う必要はありません。ちなみに、消費税を負担するのは買い手ですが、実際に納めるのは売り手なので注意しましょう。
また、M&Aの成立後になりますが、譲り受けた資産に関して固定資産税や都市計画税、償却資産税などを支払う可能性があります。不動産や知的財産権があれば登録免許税や不動産取得税を支払うことも考えられるでしょう。M&Aで譲り受ける資産によって変わるため、税理士や会計士などの専門家のアドバイスを受けつつ確認することが望ましいです。
税金はいつ支払えばいいの?
税金が課税されるのは、売り手、買い手ともにM&Aの成立後になります。支払うタイミングは個人、法人でそれぞれ異なります。
個人としてM&Aを行った場合は、確定申告を行う必要があります。所得税の納付期限はその年の確定申告書の提出期限と同じ日(翌3月15日)になります。法人の場合は決算期から2か月以内に支払います。決算期は各社によって異なるため、支払日もそれぞれで違います。
M&Aの税金で気を付けることは?
M&Aでは大きな金額が動くため、その分税負担も大きくなってしまいます。特に法人の場合、個人に比べて支払う額が多くなることが予想されます。ただし、通年の利益と合わせての計算となるため、経営状況や利益率によっては税額をある程度抑えられる可能性も考えられます。
また、M&Aの譲渡方法の中でも事業譲渡を選択する場合は、譲渡対象となる資産の名義変更や従業員との契約を個別に進める必要があり、手続きがさらに煩雑になります。特に不動産名義を変更する場合には、売り手は事務手数料、買い手は登録免許税やその手続きを進めるための書類取得費用などがかかり、細々とした費用がかさむ可能性もあります。このため、支払額の大きい税金だけにとらわれず、それ以外の費用にも気を配っておきたいところです。
譲渡方法や店舗の大きさなどにもよりますが、飲食店のM&Aでは、かなりの額の税金を納めるケースが多くあります。特に売り手の場合、売却額をほかの支払いに充てたり、新たな事業を始める元手にしようと考えていることもあるかもしれませんが、きちんと計算しておかないと予想外のトラブルになることも。事前に税理士や会計士に相談するなどして、支払う税金の額を把握しておきましょう。
おすすめの記事
-
「壱角家」「山下本気うどん」を手掛ける株式会社ガーデン代表・川島賢氏の思い描く前人未到の未来とは
2024年04月04日