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飲食店がデリバリー・テイクアウト・ECへ続々参入。ゴーストレストラン活用も
2020年10月27日
新型コロナウイルスの影響で、デリバリーとテイクアウト市場が急速に伸びています。国内はもちろんのこと、ドイツ発祥のフードデリバリーサービス「foodpanda」が日本に参入したり、ソフトバンクグループがインドネシア拠点のクラウドキッチンのベンチャー企業「Yummy」に12億6500万円を出資するなど、中食は世界的にも注目を集めている分野に。そんな状況の中、多くの飲食店がどんどん中食事業へ参入し、さまざまな挑戦を行っています。
キッチンを間借りして効率的に別業態を立ち上げ
デリバリーやテイクアウトで『究極のブロッコリーと鶏胸肉』を提供する株式会社DORAYAKIは、2019年8月に渋谷のバーのキッチンを間借りしてサービスを開始。Uber EatsやChompyを活用したゴーストレストランで店舗数を拡大しています。茹でた鶏胸肉とブロッコリーを特製ドレッシングで食べるというシンプルな料理で、もともとデスクワークをする人向けの低糖質ダイエット食品として開発されましたが、ここにきて新型コロナウイルスの巣ごもり需要とマッチしています。
株式会社E-MATEが仕掛けた韓国のフライドチキン『クリスピーチキンアンドトマト』も好調です。2019年末に1号店をオープンし、現在の店舗数は80以上と急増しています。名古屋のタピオカ専門店『DING TEA 大須観音店』のゴーストレストランとしてチキンの提供を開始し、SNSを中心として爆発的に人気が広がりました。
こうしたゴーストレストランの最大の特徴は、キッチンの一角を活用してサービスを提供できること。大型の設備投資がいらないことからFC展開しやすくなっています。新型コロナウイルスで集客に苦戦する飲食店がFC加盟し、急速に店舗数を増やすケースも。
ゴーストレストランには多くの企業が期待をかけています。居酒屋を運営するTBIホールディングスは、デリバリー専門のカレー店『一条もんこのカレー診療所』を5月から開始。カフェや焼肉店を展開するグロブリッジはデリバリー限定『東京から揚げ専門店あげたて』を6月にオープンしました。どちらもフランチャイズ加盟店を募集しており、加盟店からの収益にも期待しています。
多くの飲食店が参入。加熱する「から揚げ」市場
国民食とも言えるから揚げを軸に、テイクアウト店を拡大しているのがワタミ。『から揚げの天才』は、タレントのテリー伊藤さんをキャラクターに起用した、から揚げ専門店です。2018年11月東京都大田区に1号店がオープンし、現在は52店舗。実店舗を構えているにも関わらず、次々と新店をオープンしています。「から揚げの天才」も注力しているのはFC加盟で、初期投資額が999万円で出店できるモデルを開発しました。その店舗が2020年9月に埼玉県上尾市にオープンしています。
一方、から揚げ店は市場の過熱が目立ってきました。株式会社NISが展開するから揚げ専門店『鶏笑』の店舗数は150、アークランドサービスホールディングスの『からやま』は101、すかいらーくの『から好し』は96です。
また、『磯丸水産』を運営するSFPホールディングスが8月にから揚げ専門のゴーストレストランサービスを開始。カフェやベーカリーショップを手掛けるオペレーションファクトリーも、8月にから揚げ専門のゴーストレストランを3店舗オープンしています。人気のから揚げ市場に参入する会社は後を絶ちません。
飲食店と食品企業の業務提携も選択肢の一つに
業務提携による商品開発も盛んになってきました。大戸屋ホールディングスは食品宅配のオイシックス・ラ・大地と9月に業務提携し、「Oisix」において大戸屋が監修したミールキットの販売を開始しました。オイシックスは食品の宅配を軸として食のサブスクリプション化を進めている企業です。外食企業が別の事業を営む企業とタッグを組むことで、新たなビジネスモデルを構築できます。
新型コロナウイルスの影響で、現在飲食店の在り方が変化しつつあります。その中で、テイクアウトやデリバリー、ECなどの新たな事業に参入していくことは、新たな収益の柱を打ち立てるきっかけにもつながるはず。上記のような事例を参考にしつつ、新事業を検討してみるのも良いのではないでしょうか。
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