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好調が続く食品業界のトレンドと現状を分析。消費者のライフスタイルの変化に注目
2020年11月06日

新型コロナウイルスの経済に対する影響は飲食業に限らず、製造業や観光業などさまざまな分野に及びました。その一方で、自宅で過ごす時間が増えたことから「巣ごもり需要」として食品業界が売上を伸ばしています。今回は、コロナ禍でも好況な食品業界について現場を分析し、解説します。
コロナ禍で好況をキープする食品スーパー
新型コロナウイルスの影響による外出自粛で、私たちの生活は一変しました。特に食生活は、今までは外食が中心だった人がテイクアウトを利用したり、自炊したりするなど大きく変化しています。
「一般社団法人 全国スーパーマーケット協会」など3団体による「スーパーマーケット統計調査(2020年9月実績速報版)」によれば、スーパーマーケット270社の売上高は、2020年9月の実績(速報値)で前年同月比べて1.0%増。2020年2月から8ヶ月連続で前年同月を上回っています。
同じ調査を部門別に見てみると、青果・水産・畜産の生鮮食品や、豆腐や牛乳など日配と呼ばれる食品は売上に比例して増加している一方、惣菜は4月、5月に売上が減少するなど、商品によって差が出ています。
また、スーパーマーケットなど家庭用の食品を販売する小売店は好調だった一方、学校や企業、飲食店など向けた業務用の食品は不調に陥っています。社会の変化によって、同じ食品業界でも売れる商品と売れない商品が出ているようです。
需要が拡大する冷凍食品から考える、ライフスタイルの変化
次に注目したいのは、家庭用の冷凍食品。コロナ禍で利用率が高まっており、その理由としてスーパーマーケットと同様、外食から自宅での食事にシフトしていることが要因と考えられます。
■から揚げや餃子などの「冷凍調理」
冷凍食品の中でも最大のシェアを誇る冷凍調理。巣ごもり需要による家庭内での消費が増えた一方、学校の休校やテレワークによりお弁当を作る機会が減り、結果として伸び悩んだ分野でもあります。しかし、新型コロナウイルスの影響から少しずつ戻りつつある今、回復が見込める分野ともいえるでしょう。
■チャーハンや焼きおにぎりなどの「冷凍米飯」
冷凍米飯はコロナ禍で利用率が高まったとされていますが、一時的に商品を購入するユーザーは増えたものの、自宅で調理することに慣れてくると、冷凍米飯を購入するより自分で調理をする人が増えたことから、リピーターにはつながりにくいともされています。
■うどんやラーメンなどの「冷凍麺」
冷凍食品の中でも、特に大きな伸び率を示したと言われるのが、冷凍麺。冷凍米飯と同様に、巣ごもり需要に合わせて売上が伸び、新規ユーザーが商品を手にする機会が増えました。さらに素材としての使い勝手の良さや味の良さなどを認識したことから、リピーターの獲得が進んだと考えられます。
コロナ禍のユーザーが求めるニーズに対して、どのような商品を提供できるか、そしていかにリピーターを掴むかがカギになると言えるでしょう。

食品業界に参入する時はどこが狙い目?
今後、食品業界に参入する場合、数ヶ月といった短期間ではなく、年単位の長期スパンで社会がどう変化していくかを予想しながら戦略を練る必要があります。新型コロナウイルスによる混乱が落ち着いたとしても、以前と全く同じ状況に戻ることは難しいからです。
例えば、飲食店のテイクアウト・デリバリーは生活の一部になりつつありますし、惣菜を買って帰ることが「わびしい」時代から「贅沢な」時代へと変化してきています。リモートワークの普及により今後も自宅で過ごす時間が増えれば、内食や自炊などのニーズがより高まることも予想されるでしょう。
これらのことを踏まえると、自宅でより良い食事、より良い生活をしたいというニーズが見えてきます。例えば、自分へのちょっとしたご褒美にかつては外食をしていた人も、自宅でグレードの高い料理やお菓子、お酒などを自分で購入するという流れにシフトするかもしれません。同様に、カフェでお茶をしたり居酒屋でお酒を飲んだりすることが敬遠される状況が続けば、自宅での少人数パーティなどの機会が増えることも考えられます。
また、自宅で過ごす時間が長くなれば、興味関心が健康へと向かう人が増えることも考えられるでしょう。野菜ジュースのような健康食品や、添加物の入っていない食品、減塩の食品や調味料などのニーズも喚起できるかもしれません。
ウィズコロナの時代は、自宅にいながら食生活をいかに充実させられるかが、ポイントになるのかもしれません。消費者のライフスタイルの変化に着目することが、これからも食品業界にとって重要なことといえそうです。
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