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個人でも手軽にM&Aができる時代に! 売却・買収のポイント、注意点や事例を徹底解説
2020年11月10日

一部の専門家や金融機関が取り扱う特殊な分野だったM&Aは、広く情報が行き渡って身近なものになりました。最近では、企業間同士だけでなく、個人が店舗や会社を買収するケースも。テレビ番組でも、個人で飲食店やアパレルショップを買収して経営に奮闘する姿が放送されるなど、今や個人のM&Aは、転職の一手段のように手軽なものとなりつつあります。では、個人がM&Aをする際にはどのようにして行えば良いのでしょうか。売り手・買い手ともに、手順やポイント、注意点や成功事例などを解説します。
買い手の場合、まずはM&Aの目的を明確にしよう
買い手はまず案件を探すところから始めますが、その前に大まかなイメージを持っておきましょう。具体的には、買収したい飲食店の業態・エリア(会社の事業内容)と買収の目的、そして金額、この3要素を検討しておくことが非常に重要です。
特に何のためにその店舗や会社を買収したいのか、目的を明確にすることをお勧めします。M&Aは会社や店舗を経営することになり、何かしらの困難に直面することが多いもの。それを乗り越えるのは、経営者の強い意思や夢の実現といった要素に左右されるからです。
では、買収先を見つける実務的な流れを説明します。手順としては、以下のようになります。
1 仲介会社や仲介サイトに登録する
2 候補の紹介を受ける、または案件をピックアップする
3 面談をする
4 合意をする
5 企業調査(デューデリジェンス)を実施する
6 譲渡契約を交わす
希望する案件が見つかったら、秘密保持契約を結んでトップと面談します。面談前に訊くべき内容を整理しておきましょう。面談の目的は、信頼できる相手であるかどうかを見極めることにあります。条件の交渉ではないことに注意しましょう。店舗や会社が買収する目的に合致しているか、自分の夢が実現できそうかなどをしっかりと見極めます。
デューデリジェンスで店舗の状況を把握
面談は2~5社で行うのが一般的です。そこから1社に絞り込んで基本合意書を締結します。その後、財務や労務、法務などの視点から企業調査(デューデリジェンス)を行います。企業間のM&Aの場合は会計事務所など専門家に依頼して実施しますが、個人のM&Aの場合は、金額を抑えるために最低限の調査で終わらせることもあります。

売り手は信頼してもらえるかがポイント
売却する側のステップは、買い手のものとほぼ同じです。M&A仲介会社や仲介サイトに登録をし、マッチングをしたら面談に臨みます。売り手は書類を整理することが最も重要です。登記簿謄本、税務申告書、決算書、組織図、賃貸借契約書、取引先との契約書、リース契約書などを一通り揃える必要があります。
M&Aが思い通りに成立するコツは、相手の信頼を得られるかどうかです。買い手のスピード感に合わせ、要求された書類などは迅速に提出できるようにしましょう。
個人のM&Aを扱っているサービスは?
個人でM&Aを行う際、強い味方となってくれるのがM&Aをサポートしてくれる仲介サービスです。代表的なものをいくつか見てみましょう。
■飲食M&A by 飲食店.COM
飲食店の経営サポートを行うシンクロ・フードが提供する飲食店特化型のM&Aマッチングサイトです。会員数19万人のネットワークを活かした豊富な案件数と、M&A後も店舗の経営サポートが受けられる点が魅力です。
■バトンズ
個人のM&Aも多く、比較的安価な案件が見つけられます。飲食店だけでなく、製造業やIT、広告、小売などの幅広い業種を扱っており、広い業界に興味がある人に向いています。
■トランビ
2011年に誕生し、国内最大級の案件規模があるサービスです。買い手の手数料は成約額の3%に設定されており、料金体系が分かりやすいことが特徴。売り手は登録料が無料となっています。
■ファンドブック
マッチングサイトとアドバイザリー(専門の担当者)のサービスを組み合わせた形態です。プラットフォーム上で手軽に案件を見ることができ、複雑な手続きは担当者がサポートするので手軽にM&Aを行うことができます。
■スピードM&A
1円から50億円までのあらゆる価格帯に対応しています。買い手と売り手が直接交渉する仕組みを採用しており、迅速なM&Aが実行できます。買い手や売り手に交渉力、調査力が求められる一方、時間的な制約に縛られないサービスです。
個人でM&Aを行う場合、金額や条件の判断や交渉が一人では難しく、悩む場合も多いかもしれません。上手く仲介サービスを活用しながら進めていくのがおすすめです。
個人で行われた飲食関連業M&Aの事例
飲食業の場合、後継者不足の問題や他業種と比べて買収価格が安いことから、個人でのM&Aも多く行われています。事例を見てみましょう。
■20年間通っていた常連客が喫茶店を引継ぎ
茨城県水戸市『喫茶 富・BENZ 103』は、昭和38年創業の老舗喫茶店。コロナ禍の影響で2020年4月末に一度閉店をしましたが、店に20年ほど通う常連の男性が「憩いの場として店を残したい」と、オーナーに名乗りを上げました。
引継ぎはスムーズに進み、2ヶ月後の6月1日から営業を再開。オーナーが変わっても、地元の憩いの場として新たな歴史を刻み続けています。
■パン屋で理想の働き方を手に入れた、元建材メーカー営業マン
東京都練馬区『すずめベーカリー』のオーナーは、元建材メーカーの営業マン。M&Aで既存事業を成長させる方が自分に合っていると考え、さまざまな交渉の末、同店を引継ぐことに。2021年2月からオーナーとして経営をスタートしています。
■日本酒の未来を切り開くために酒蔵を買った、業界注目の若手社長
新潟県佐渡市の酒造メーカー「天領盃酒造」の社長は、学生時代に日本酒に魅せられ、酒蔵の経営者になることを目標にしていたといいます。全国の酒蔵をめぐり、自分の理想に一番近く、後継者不足に悩んでいた「天領盃酒造」を引継ぎ、24歳で社長に就任しました。
個人でM&Aを行う場合、金額や条件の判断や交渉が一人では難しく、悩む場合も多いかもしれません。また、明確なビジョンを持って、どのような戦略で経営が続けられるかも重要になります。専門知識をもった専門家や仲介サービスを上手に活用しながら進めていくのがおすすめです。
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