電話でのお問い合わせ

窓口:株式会社ウィット

03-6452-2190

  1. 飲食M&Aトップ
  2. M&Aマニュアル
  3. 飲食M&Aマガジン一覧
  4. 飲食店M&Aのシナジー効果とは? 売上シナジー、コスト...
飲食店M&Aマガジン
  • 買い手
  • 売り手

飲食店M&Aのシナジー効果とは? 売上シナジー、コストシナジーなど事例も解説

LINEで送る
Pocket

2020年12月15日

飲食店M&Aのシナジー効果とは? 売上シナジー、コストシナジーなど事例も解説 画像素材:PIXTA

M&Aを行う際、重視すべき点の一つに「シナジー効果」があります。M&Aにおけるシナジー効果とは、企業同士が互いに作用し合い相乗効果を発揮すること。シナジー効果を買収目的に掲げる企業もあり、M&Aの鍵を握る要素の一つとなっています。しかし、一般的に効果は目に見えにくく、実態が掴みづらいもの。飲食店におけるシナジー効果とは、どのようなものなのでしょうか。事例とともに解説します。

飲食業界におけるシナジー効果とは?

飲食業界のおけるシナジー効果はいくつかあります。例えば、以下の二つが代表的な例です。

■売上シナジー

飲食の場合、売上シナジーは大きく二つに分類できます。一つは同業態を買収して規模拡大を図ること、もう一つは別業態を買収して、多角化を図ることです。多くの企業は、売上シナジーに期待してM&Aを実施します。

規模拡大を図る事例としては、例えば、2020年3月に発表されたコロワイドによるアスラポートからの『牛角』事業の買収が挙げられます。コロワイドはもともと子会社を通して『牛角』を運営していましたが、一部はアスラポートがフランチャイズ店舗として運営していました。この部分を買収することで一体性を高め、直営・FCでの売上規模拡大を狙ったのです。

また、多角化の事例としては、2020年11月に発表された『木曽路』による『焼肉の大将軍』の買収が挙げられるでしょう。しゃぶしゃぶがメインの『木曽路』は冬の売上が大きくなる事業構造ですが、焼肉店を買収することで夏の売上に期待できます。別業態を買収することで、売上が増加するだけでなく、バランスも良くなるのです。

■コストシナジー

コストシナジーとは、買収によって時間と手間を省くことです。具体的には、業態開発にかける時間や物件を探す時間、FC加盟店を探す時間を買収によって短縮できます。また、セントラルキッチンによる省力化、採用コストの低減、業態開発費用の節約などを図ることもできます。

コストシナジーは目に見えづらく、売上シナジーと比較すると概念的なようにも見えます。しかし、これを見るための便利な指標があります。営業利益をベースとした「ROA」です。

飲食店M&Aのシナジー効果とは? 売上シナジー、コストシナジーなど事例も解説 画像素材:PIXTA

ROAでコストシナジーを計算しよう

「ROA」とは総資産利益率のことで、利益を総資産で割って算出します。企業が持つ総資産を活用して、どれだけの利益を出して稼ぐことができたのかを見る指標です。計算式で使う「利益」は、新聞や書籍では純利益を使うことがほとんどですが、企業が本来的に稼ぐ営業利益を使うとシナジー効果を出しやすくなります。

例えば、居酒屋を運営する企業A社と、食堂を運営するB社があったとします。A社が業態の幅を広げようと、B社を20億円で買収したとします。財務状況が以下のような場合を想定し、コストシナジーでROAがどのように変化するか見てみましょう。

【A社】
売上高:150億円
営業利益:15億円
総資産:100億円
営業利益率(営業利益÷売上):10.0%
ROA(営業利益÷総資産):15.0%

【B社】
売上高:50億円
営業利益:3億円
総資産:30億円
純資産;15億円
営業利益率(営業利益÷売上):6.0%
ROA(営業利益÷総資産):10.0%

のれん:5億円

【買収後のA社(連結)】
売上高:200億円
営業利益:18億円
総資産(A社+B社+のれん):135億円
営業利益率(営業利益÷売上):9.0%
ROA(営業利益÷総資産):13.3%

B社買収後、A社のROAが15.0%から13.3%に落ちました。理由はB社のROAが10.0%と低かったことと、純資産との差額である無形資産「のれん」が計上されて、総資産が膨らんだためです。

実は、B社は店内調理体制になっており、セントラルキッチンを導入することで、利益率が上げられる素地があったとします。A社のセントラルキッチンを活用することにより、B社の営業利益は8億円まで上がり、営業利益率が16.0%になったとします。ROAはどのように変化するでしょうか。なお、計算結果をわかりやすくするため、売上や総資産には変化がなかったものと仮定します。

【セントラルキッチン導入後のB社】

売上高:50億円
営業利益:8億円
総資産:30億円
営業利益率(営業利益÷売上):16.0%
ROA(営業利益÷総資産):26.7%

【買収後にB社をセントラルキッチン化したA社(連結)】

売上高:200億円
営業利益:23億円
総資産:135億円
営業利益率(営業利益÷売上):11.5%
ROA(営業利益÷総資産):17.0%

セントラルキッチンの導入によってB社のROAは26.7%まで急改善しました。その効果によって、A社のROAも17.0%まで上がっています。コストシナジーが生まれてA社の経営状態がより良くなったのです。

上の例と近いのが、話題になったコロワイドによる大戸屋ホールディングスのTOBです(※数字はモデルで、実際とは一切関係ありません)。『大戸屋』はこれまで店内調理にこだわってきましたが、コロワイドはセントラルキッチンで効率化を図れるとしています。コロワイドは日常食業態の食堂によって業態を多角化する売上シナジーと、『大戸屋』のセントラルキッチン化によるコストシナジーを狙ってTOBを仕掛けたと見ることができます。

シナジー効果はほかにもさまざまにあり、例えば財務シナジーがあります。これはM&Aによって企業の信用力を上げて融資を受けやすくしたり、買収した企業の余剰資金を活用したりできるメリットのことを指します。また、繰越欠損金などの債務を受け継ぎ、節税効果に期待することも、財務シナジーに含まれます。

M&Aを行う際、シナジー効果を考えることはとても重要です。譲渡、あるいは買収を検討している場合は、どんな効果が考えられるかをしっかりと見極めながら進めていきましょう。

飲食M&A by 飲食店ドットコムでは、飲食事業を売却したい方と、譲り受けたい方の出会いから引継ぎをサポートさせていただきます。

事業の譲渡、売却をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
専門のスタッフが丁寧にご対応させていただきます。

  • 相談無料
  • 秘密厳守

電話でのお問い合わせ

03-6452-2190

受付時間:10-18時(土日祝祭日を除く)
窓口:株式会社ウィット

ページトップへ↑
飲食 M&A は株式会社シンクロ・フード
(証券コード3963)が運営しています