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飲食店を相続するときの手続きとステップ。相続できる範囲やかかる税金はどれくらい?
2020年12月25日

飲食店経営者の高齢化が進む中、家族が引き継いで営業を続けるケースも少なくありません。しかし、飲食店を「相続する」となると、さまざまな手続きが発生したり、税金を支払うケースも。そこで、飲食店を相続する際はどんな手続きが必要なのか、どんな注意点があるのかをまとめました。
飲食店の相続=営業許可の相続
「相続」とは、ある人の権利や義務のすべてを法定相続人などが引き継ぐことをいいます。相続は権利や義務のすべてが対象になるので、現金や預貯金、土地・建物などの不動産などあらゆるものが含まれます。被相続人が個人で事業を行っていた場合は、その事業も相続の対象になります。
事業を相続するということは、すでにある営業許可を相続することを意味します。これは相続により経営者の地位を承継することであるため、「地位承継」と呼ばれます。地位継承をできるのは、原則、経営者の配偶者又は子供です。
経営者が生きているうちに配偶者や子供に店を譲った場合、基本的には新しい経営者が自分名義の新規の営業許可を取らなければいけません。ですが、経営者が亡くなった場合は地位継承ができるので、営業許可の取り直しをする必要はありません。
飲食店を相続するまでのステップ
■遺産分割協議で店を相続する人を決める
遺言がない場合、一般的には相続人全員が参加する遺産分割協議で営業許可を相続する人を決めます。営業許可を相続する方は相続人全員からの同意を得る必要があります。営業許可を相続する方以外の相続人全員から「食品営業者相続同意書」に同意の署名、捺印をもらいます。また、あとあと問題が起こることがないように、営業許可の相続内容を含め、協議の結果を「遺産分割協議書」に残すとよいでしょう。
遺産分割協議に期限の決まりはありません。ただ、店舗のスムーズな運営を続けていくためには早い段階で行う必要があります。
■役所に書類を提出する
相続をする方は役所に届出のための書類を提出します。
・地位承継の届出書
・亡くなった経営者が交付を受けた営業許可証
・戸籍謄本(相続人全員の確認ができるもの)
・相続人全員の同意書(相続人全員の同意を証明する「食品営業者相続同意書」)
相続の申請をした場合、申請した方は、経営者の死亡日から承認・不承認の通知を受ける日まで営業をすることができます。上記の必要書類は基本ですが、管轄地域によって若干異なる場合があるので保健所等で確認をしましょう。また管轄地域によっては届出に期限があるので注意してください。
■承認を受けたら許可証の書き換えをする
承認を受けた相続人は、亡くなった経営者が交付を受けた許可証の書き換えをする必要があります。書き換え申請書と営業許可証を公安委員会に提出し書き換えをしましょう。もし不承認だった場合、亡くなった経営者が交付を受けた許可証は安委員会に返納します。

地位継承できる範囲は?
後継者が次の場合、届出による簡易な手続で相続が可能です。
・配偶者または子ども
・孫(亡くなった経営者の子供も死亡している場合)
・直系尊属(※)(亡くなった経営者に子供や孫がいない場合)
・兄弟姉妹(亡くなった経営者に子供や孫、または直系尊属がいない場合)
※直系尊属……亡くなった方の両親や祖父母
次の場合、営業許可の取り直しが必要です。
・孫(亡くなった経営者の子供が健在の場合)
・直系尊属(亡くなった経営者に子供や孫がいる場合)
・兄弟姉妹(亡くなった経営者に子供や孫、または直系尊属がいる場合)
・従業員などの第三者、法定相続人にはなれない娘婿
相続した際の税金は?
個人で経営していた店を個人で相続した場合、一般的な財産の相続と同じように「相続税」が発生します。税率は個人での相続と同じで、税額は事業やそれに付随する建物や設備など財産をどのくらい相続したかによって変わります。
営業許可の取り直しを必要とせず、簡易な届出で済む「地位継承」は相続人にとっては有難い仕組みと言えます。ただ、それまで店を仕切っていた経営者から情報やアドバイスがもらえない中での経営スタートは、簡単なことではないでしょう。また、高齢の経営者の6割以上が事業継承を望んでいるというデータもあります。引き継ぎを考えている場合は早い段階から家族内で事業継承の話をしておくほか、引き継ぎ手がいない場合にどうするかをきちんと話し合うことが大切です。
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