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コロナ禍でも活発な飲食M&A、不況の中でも飲食店を買収するメリットと理由とは?
2021年03月31日

2020年の飲食企業のM&Aは、開示されているだけでも14件となりました。緊急事態宣言の発令や宴会控えが鮮明となり、業界全体が停滞気味だった中でもM&Aは活発に行われています。この先、飲食業界は厳しさが増すことが予想されますが、店舗や会社、事業の買い手は何に期待していて、このタイミングで買収するメリットはどこにあるのでしょうか。コロナ禍でも飲食店を買収する理由やメリットを紹介します。
コロナ禍でも、飲食店を買収する理由とは?
新型コロナウイルスの影響は大きく、東京商工リサーチの調査によると、2020年の飲食業の倒産件数は842件。2001年以来過去最多となりました。中華料理、ラーメン、焼肉店などの専門料理店が201件、食堂・レストランが194件、居酒屋が174件と幅広い業態で倒産が起こっています。
しかし、この状況下においてもM&Aで飲食店を買収する企業は少なくありません。コロナ禍でも飲食店を買収する理由は、大きく3つ挙げられます。
1)後継者問題を背景とした売り案件の増加
2)コロナ禍でも強い業態を狙った買収
3)低金利で資金調達のしやすい環境
1)後継者問題を背景とした売り案件の増加
飲食店の後継者不足は業界でも深刻な問題。特に現在は、新型コロナウイルスの感染拡大によって拍車をかける結果となっています。帝国データバンクの「後継者不在率」調査によると、2019年の飲食店の後継者不在率は71.1%。2020年は71.6%と0.5ポイント上昇しました。
さらに時短営業の要請や三密回避の設備投資、テイクアウト・デリバリーの導入、衛生管理の徹底など、飲食店が越えるべきハードルが次々と押し寄せています。経営の難易度が上がり、これまでの常識が通用しなくなりました。これが引き金となり、誰かに店舗を任せたくても、身内に引き受けてもらえないケースも増えています。
そこで、経営者にM&Aで店舗を譲渡するケースが増加。買い手にとっては案件が増えて、優良店舗や希望している業態を見つけやすくなったというメリットがあります。

2)コロナ禍でも強い業態を狙った買収
新型コロナウイルスの感染拡大で、飲食店の需要が蒸発したものが2つあります。宴会とインバウンドです。この影響を大きく受けたのが居酒屋でした。その一方で需要が大きく膨らんだものがあります。テイクアウトとデリバリーです。
収益の落ち込みを別業態の買収によって補おうとする動きが、2020年飲食M&Aの一つの特徴。コロナ禍で廃業やむなしと判断した飲食店オーナーも続出しました。その中にはブランド力のある繁盛店も含まれます。大企業にとって、長い時間をかけて育てたブランドは何より強力な武器になります。
飲食店の集客はこれまでよりも一層、難しいものになります。マーケティングや業態開発などの優秀な人材を取り込むため、人ごと企業を買収する動きは活発化するでしょう。
3)低金利で資金調達のしやすい環境
新型コロナウイルスによる景気の落ち込みを危惧し、日本銀行は2020年6月の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和を継続することを決定。6月12日に成立した第二次補正予算では民間金融機関を通じた無利子融資の拡充も決定しています。日銀が銀行や信用金庫にゼロ金利で貸し出す枠は90兆円規模まで膨らみました。
大型のM&Aは金融機関からの借り入れが必須。特に投資ファンドはLBOと呼ばれる銀行借り入れをフル活用したスキームを得意としています。金利が低くなればなるほど、買い手は有利になります。
また、金利が低いことで投資ファンドは投資家からの資金を集めやすくなりました。資金を銀行に預けるよりも、ファンドに預けた方が高利回りだからです。
飲食店チェーンTBIホールディングスを傘下に収める独立系投資ファンド「インテグラル」は、2020年12月に1,200億円のファンドを設立。チーズケーキ『BAKE』を買収した投資ファンド「ポラリス・キャピタル・グループ」も12月に450億円規模のファンドを立ち上げています。大規模な金融緩和が続いて資金調達がしやすくなるほど、買い手のメリットが高くなるといえます。
このように、コロナ禍で飲食業界が苦境に立たされている時期でも、M&Aで飲食店を買収するメリットは多くあると考えられます。飲食店の売却、買収を考えている方はM&Aという選択肢を視野に入れるのも良いのではないでしょうか。
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