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コロナ禍で注目を集める飲食業界のDXとは? 話題の事例から最新事情を学ぶ
2021年06月30日

コロナ禍で飲食業界のDXが加速しています。自店で取り入れるのはもちろん、資本提携などを行い、DXに強い企業とタッグを組む店舗も増えてきました。しかし、まだまだ浸透しているとはいえず、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。今回は飲食業界のDXとは何かとともに、M&Aによって積極的に取り入れている事例を紹介します。
飲食業界のDXとは? IT化との違い
DXとは「Digital Transformation」の略で、ITの活用によって人々の生活を良いものにしようとする動きのこと。TransformationをXと表記しているのは、Transが交わるという意味があり、それを表す「X」が略語として使われているためです。
IT化によってペーパーレス化や業務の見える化、コミュニケーション手段の多様化が起こりました。しかし、顧客体験を変えるほどの価値創出には至っていません。DXはそこに一歩踏み込むものといえます。顧客体験を変革した結果として競争優位性が増し、他社との差別化につながるという考え方です。
コロナで飲食DXが大注目
現在、スタートアップ企業や投資家が飲食業界のDX推進に注目しています。その理由は、新型コロナウイルス感染拡大によって業績が悪化した飲食店が、生産性を向上させて売上を確保するために、顧客体験を高める必要があるからです。

資本提携でDXを促進する事例も登場
2020年1月13日、『WIRED CAFE』などを運営するカフェ・カンパニーの子会社・グッドイートカンパニーが、NTTドコモと資本提携すると発表。ドコモがグッドイートの第三者割当増資を引き受け、51%の普通株式を取得しました。
グッドイートカンパニーはECサイト「GOOD EAT CLUB」を軸とし、飲食店と消費者をつなぐサービスを展開。一方でドコモはキャッシュレス決済のd払いや、スマートフォンでメニューの注文ができる「EasyEat」などのデジタル化技術を持っています。
ドコモが提供するキャッシュレスや、デジタルオーダーシステムを店舗が導入することにより、従業員のレジや接客業務の負担が軽減されると同時に、顧客の満足度も向上。今回の業務提携によってECという多チャンネル化による集客力強化と、キャッシュレス・モバイルオーダー導入による生産性の向上の2つを兼ね備えた店舗が出来上がったと言えます。
最終的には、会員化によって顧客と店舗がデジタルでつながり、実店舗とECの垣根がなくなる未来が予想できます。店舗に行かなくてもECでその味が提供でき、遠隔地でも常連客をつかまえることができるのです。
そのほか、飲食業界のDX最新事例
最後に、飲食のDX最前線を見ていきましょう。まず、店舗で提供するメニューの「仕込み済商品」を発注するプラットフォーム「シコメル」。仕込み時間を短縮し、空いた時間をメニュー開発などに活用ができます。シコメルは1月にミダスキャピタルから出資を受け、総額4,375万円の資金を調達しています。
また、ダイニーは、串カツ田中が昨年買収した『鳥玉』でのモバイルオーダーサービスを開始。同サービスは銀座クルーズなどにも導入されています。顧客のスマートフォンで注文できるダイニーは、LINEと自動連携して顧客の会員化へとつなげる点にサービスの面白みがあります。
DXは集客においても重要なポジションを占めています。イデア・レコードはワタミの『から揚げの天才』において、ネット注文すると商品を駐車場まで運ぶサービスを2月に開始。顧客の利便性を上げ、リピーター確保につなげるものです。
販売の多チャンネル化につながるクラウドキッチンも注目の分野。「cookpyクラウドキッチン」を提供するcookpyは、2020年11月にヤフー傘下のベンチャーキャピタル・YJキャピタルから出資を受けました。「cookpy」はデリバリーメニューを提供したいレストランと、飲食店のキッチンをつなぐプラットフォーム。テイクアウトを提供したいレストランの設備投資を抑え、飲食店のキッチンの稼働率を上げることができます。
DXは顧客体験を変革して競争優位性を確保することが目的であり、オペレーションの生産性を上げ、一時的な集客力をつけることがゴールではありません。技術を導入した先の未来を見据えることが重要となるでしょう。
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