- 売り手
株式譲渡、事業譲渡、造作譲渡など飲食M&Aの売却スキームを紹介。違いや注意点は?
2019年05月28日

M&Aを進めるうえでかかせないのが、売却スキーム(譲渡方法)を決定することです。どのスキームを選択するかで、条件や得る利益、課税も変わります。しかしはじめてM&Aを行う場合は、どのように決定すれば良いかわからない方も多いことでしょう。今回は代表的な売却スキームの特徴や、進めるにあたっての注意点をご紹介します。
代表的な売却スキームの種類
「売却スキーム」とは、M&Aにおける譲渡方法のことを指します。方法はいくつかあり、それぞれで課税額や手続きの仕方も変わります。代表的なものには、株式譲渡、事業譲渡、造作譲渡などが挙げられるでしょう。
■株式譲渡
株式を譲渡する方法のことであり、売り手側は所持する全株式を買い手に売却します。一方で買い手側は、その対価として株主に現金を支払います。
株式の過半数を所持することで経営権を掌握可能となるため、実質「会社譲渡」が成立します。会社の契約や雇用関係などは変わらず維持されること、契約書作成のみの手続きが迅速に行えることなどがメリットです。
また株式譲渡を活用して会社を売却した場合、売却代金にはのれん(独自のノウハウやブランド)が含まれます。そのためのれん代を見込める場合は、さらに高額取引が可能となります。
ただし、買い手は会社の負債があった場合も全て引き継ぐことになってしまい、引継ぎ後は買い手側が返済を行うことになります。トラブルを防ぐためにも、売却時には過去の決算書や従業員への給料支払い等、収入・支出に対する具体的な資料を事前にまとめておきましょう。
■事業譲渡
事業の一部に価格付けをして売却する手法です。たとえば複数店舗のうち特定の店舗のみを切り離して売却する場合は、事業譲渡で行われることが一般的。売り手も買い手も必要な事業だけを売買できるため、効率的なスキームともいえるでしょう。
しかしながら、譲渡条件のすり合わせが難しいというデメリットもあります。例えば自社の運営方針にそぐわない店舗や経営状況の悪い店舗を売りたくても、買い手は経営状況のいい別店舗の買取を希望しているなど、希望条件がすれ違って話が流れてしまうことも決して少なくありません。
また、事業を成立させている資産の特定と価値算定、取引先との契約や許認可の移行、従業員の転籍など、契約成立までに多くの手続きを要します。そのため、事業譲渡を視野に入れている場合は、自身の事業・店舗の価値(立地等)などを事前に調べておき、すぐ買い手とやり取りできるような状態にしておきましょう。

■造作譲渡
飲食店の譲渡で一番多いケースは、居抜きによる「造作譲渡」です。店舗設備(内装造作、厨房設備など)に価格付けをして売却をします。手続きは事業譲渡・株式譲渡などと比べると比較的簡略化されていますが、売却店舗の賃貸借契約の引継ぎなどが必要となるため、テナントの家主や管理している不動産会社とも協議を行う必要があります。
また店舗設備を買収する場合、厨房部分の水漏れや空調設備の劣化等、目で見えない部分のリスクがあります。売り手は設備状況を細かく把握して買い手に伝えることで、できるだけトラブルを回避することが可能です。
さらに売り手は退去時の原状回復費用をカットできることや、厨房等の設備が売却費用の対象となっていることなど、メリットも多くあります。
M&Aスキームを進めるにあたっての注意点
各スキームはそれぞれ特徴やメリット、デメリットが違うため、自店に合った方法を専門家と相談しつつ選択しましょう。またM&Aスキームは無事に締結するまでは他言無用です。お互いの会社の信頼問題にも発展しますので、注意しましょう。
また、売却スキームの方法が決まると、次は今後のスケジュールを具体的に決めていくことになります。進め方はそれぞれですが、事業承継を目的としたM&Aであれば経営者の引退を視野に入れていることが多いため、時間を制限されることもあるでしょう。そのような場合においては売り手の足元を見られてしまうこともあるため、焦らず、慎重に交渉を進めるようにしましょう。
M&Aスキームをきちんと考えて選択することで、より有利にスムーズに店舗を売却することが可能になります。売却を検討する際は、スキームのことも念頭において進めるようにしましょう。
飲食M&A by飲食店.COMでは、今後も飲食店のM&Aにまつわる調査レポートや、ニュースを公開していきます。
今までの飲食店出店にM&Aという新しい手法を加えることで、飲食業界全体の活性化に貢献できるようなサイト・サービスをご提供してまいります。
最新の案件はこちら
おすすめの記事
-
売却オーナー事例:【有名とんかつ店!】品川区2店舗 株式譲渡案件
2024年09月30日
売却オーナー事例 -
売却オーナー事例:【高評価イタリアン!】世田谷区1店舗 事業譲渡案件
2024年09月25日
売却オーナー事例