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飲食店M&Aにおける「デューデリジェンス」とは? チェックしたい項目と注意点
2019年12月26日
M&Aについて調べてみると、よく目にするのが「デューデリジェンス」という言葉です。M&Aにおいて重要なステップの一つですが、あまり理解できていない方も多いのではないでしょうか。M&Aのキーポイントとなる「デューデリジェンス」について、飲食業界に特化した内容も併せて詳しく解説します。
デューデリジェンスとは?
「デューデリジェンス」とは、売り手企業の価値を買い手がさまざまな観点から審査することを指します。売り手の企業にどんな価値があるか、どんなリスクが起こり得るかを知るために、買い手は売り手に企業の情報を提供してもらい、それを見て価値を判断します。
売り手が用意する資料は、財務や税務、法務、労務などの情報、決算書や商業登記簿謄本、株主名簿などが挙げられます。そのほか、買い手が希望した資料があれば揃えるのが望ましいでしょう。
デューデリジェンスは、M&Aの合意へに向けての重要なステップです。書類の準備に時間がかかったり、書類に不備が多かったりすると買い手の信頼を失い、せっかくのM&Aが破談になってしまう可能性も考えられるため、売り手は必要な書類を事前に準備をしておくことが大切です。
<参考記事>
飲食店のM&Aで準備すべき書類とは? 必要な資料から契約書まで細かく解説
買手がチェックしておきたい、飲食店のデューデリジェンス項目
飲食店のM&Aでは、事業譲渡で店舗の業態や従業員をそのまま引き継ぐ場合も多く、他の業種と比較しても、デューデリジェンスに関わる項目は多い傾向にあると考えられます。飲食店の売買を検討する場合に注意しておきたい確認項目としては、以下があります。
■固定資産
飲食店をそのまま引き継ぐ際に注意したいのが、店舗の契約状況です。テナントや設備の契約がどうなっているのかを把握できていなければ、余分なコストの発生やトラブルの原因にもなり得ます。
■従業員やスタッフ
人手不足の現代において、M&Aによって従業員が退職してしまっては、安定した店舗経営は難しくなります。特に、メニュー開発や店舗運営に関わる中心的なスタッフの存在は、店舗の長期的な運営において非常に大切な存在。M&Aが成立した後は、賃金や待遇面で厚遇するなど対策を取ることをおすすめします。
■在庫のチェック
飲食店のM&Aにおいては、保有している在庫もチェック項目の重要なポイントになります。在庫自体に実在性があるかだけでなく、余剰在庫や滞留在庫を保有していないか、実在しない在庫が計上されていないかなども確認しましょう。
■店舗のブランド
有名店や老舗としてのブランド力、人気メニューの商標権などがあれば、ブランド価値を十分に活用できます。株式譲渡でM&Aを行う場合は、特許権や商標権などの知的財産も譲渡することが一般的ですが、事業譲渡を行う場合は知的財産を個別に譲渡する必要があるので、注意が必要です。
デューデリジェンスの実施は、専門家にサポートを依頼しよう
企業の詳細な情報が必要となるデューデリジェンスには、知識を持った専門家に資料の準備をサポートしてもらうことが一般的です。飲食店のM&Aを得意とするM&Aアドバイザーや会計士、弁護士などに依頼しましょう。
あらゆる項目のデューデリジェンスを実施するのが理想ですが、費用や時間を考えると、すべてを行うことはあまり現実的とは言えません。優先順位をつけて実施することで、コスト面も考慮したデューデリジェンスが実現できます。M&Aを成功させるためにも、デューデリジェンスをサポートしてくれる専門家選びと、事前準備はしっかり行いましょう。
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