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「壱角家」「山下本気うどん」を手掛ける株式会社ガーデン代表・川島賢氏の思い描く前人未到の未来とは

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2024年04月04日

「東京チカラめし」を「横浜家系ラーメン 壱角家」へ業態変更。「山下本気うどん」の再生。「肉寿司」のM&Aなど、人気ブランドの再生・M&Aを手掛けて注目を集めている株式会社ガーデン。代表取締役社長・川島賢氏自身、起業のきっかけは不採算のカラオケ事業の再生だった。数多の成功と挫折を味わいつつ、今や日本屈指の外食企業へと成長を遂げている川島氏の歩みと今後を伺う。

「壱角家」「山下本気うどん」を手掛ける株式会社ガーデン代表・川島賢氏の思い描く前人未到の未来とは

1971年2月生まれ。高校卒業後、フリーターに。2000年に知人から引き継いだカラオケ店事業で独立。2007年以降は飲食事業へも進出し、数多くの再生案件を手掛けた。株式会社ガーデンを設立。現在では、「東京チカラめし」から業態変更した「横浜家系ラーメン 壱角家」や「山下本気うどん」、「肉寿司」など、数多くの有名ブランドを擁する企業へと成長している。

カラオケの再生事業で独立。その手腕を活かして飲食事業も手掛け始める

―まず、創業までの経緯を教えてください。

川島氏:イトーヨーカドーの創業者・伊藤雅俊さんの影響で「商売をしたい」と、商業高校に入学しました。卒業後はフリーターで色々な仕事を転々としていましたが、25歳の頃、知人の紹介で不採算のカラオケボックスを引き継ぐことになります。ここが独立のタイミングですね。

―不採算の事業を引き継ぐって、なかなか冒険ですね。

川島氏:カラオケボックスって初期投資が高くて億単位かかることもザラなんです。でも、引継ぎなら0円で始められる。そこが大きいですね。時間の延長やフード・ドリンクなどで単価を上げることができるし、原価はほぼかからない。カラオケ事業は初期投資の部分をクリアすれば利益がとてもいいんです。ウチの店では学生向けに単価を下げて集客をしていましたが、それでも利益率は常に40~50%をキープしていました。

―ビジネスモデルとしては、すごく理にかなっている業態なんですね!

川島氏:ちょうどその頃、大手のカラオケチェーンの台頭で市場の寡占化が進んでいました。その影響で、個人や中小企業が運営しているカラオケの居抜きがたくさん出てきていた。そこで、1店舗目と同様に初期投資0円で不採算の店舗を引き継ぎ、再生。これをスキーム化することで展開を広げていきました。

―その後、2007年にステーキ事業の譲渡を受けています。これはどういった経緯があったのでしょうか?

川島氏:創業して3年経った頃、銀行から再生案件の話を持ち掛けられることが多くなりました。その中のひとつの案件ですね。これもまた、不採算の店舗で。飲食は初めて触れる業界でしたが、もうチャレンジ精神に従うままに。若かったですね、ほとんど何も考えずに受けることを決めました(笑)。

―何も知らない状態からスタート。どのようなことから始めたのでしょうか。

川島氏:まず、朝・昼・晩と店舗へ赴いて状況確認です。それに加えて事前にもらっているPLなどのデータも見る。現場の状況と数字が把握できれば、素人目にも課題は見えてきます。
この店舗に関しては、以前の社長さんが全く様子を見に来ず、荒れ放題でした。夜、看板の電気は消えているし、ショーケースも散らかっている。逆に言えば、電気を点けて片付けをすれば、それだけでお客様が来てくれるはずだと考えました。また、昼はガラガラなのに、外に列ができている。要は、店内に空きスペースはあるのに、席を作っていないという状況で、それなら席を増やせば売上は上がるはずだと。
当たり前のことを当たり前にする。単純な足し算、引き算、掛け算をすれば、おのずと結果が出せると信じて改善をしていたら、すぐ黒字化できました。

再生事業のセオリーは「資産の有効活用」と「業態のブラッシュアップ」

―このステーキ事業を皮切りに飲食店の再生案件を数多く手掛けることになりますが、川島社長流の成功のセオリーはあるのでしょうか?

川島氏:「企業の資産を有効活用する」か「業態をブラッシュアップする」。このふたつに尽きます。
「企業の資産」というのは、無駄な保証金や眠っている遊休資産など財務的な資産はもちろん、立地、設備、人材といったものも指します。ウチの会社でいえば、2014年に買収した「東京チカラめし」が当てはまりますね。
「東京チカラめし」は、一時期200店舗に届くほどまで急激に展開しましたが、それ以降は減少傾向に転じ、60店舗ほどに減少したタイミングでウチが買収しました。
全店舗、立地がすごくいい。これは大きな資産です。
「牛丼」では難しいけれど、別の業態なら絶対売れる。と、思いました。

―そして業態変更したのが「横浜家系ラーメン 壱角家」ですね。

川島氏:当時、都内に家系ラーメンはほとんどありませんでした。すでに競合だらけだった牛丼よりもフックがある。加えて、牛丼とラーメンは10~20坪の広さでほぼカウンター席と、店の造りも同じです。ゆで麺器などの設備投資はあるにしても、イチから店舗をつくるのと比べれば微々たるもの。回転率もいいので、すぐに回収できる算段は十分に見える。狙いは的中して、すぐに不採算から脱却できました。

―では、もうひとつのセオリーである「業態のブラッシュアップ」の事例も教えてください。

川島氏:2017年に買収した「山下本気うどん」ですね。こちらは元々芸人をやられていたオモロー山下さんが創業したのですが、徐々に採算が合わなくなり、紹介を受けた私たちが買収することになりました。
香川出身の山下さんは本場のうどんの味をよくご存知で、芸人の仕事と並行して、数年間うどんの有名店で修業も積みました。熱意があるし、味もすごくいい。問題があるとすれば、目黒の二等地という立地の悪さです。一等地に移転すれば、絶対に売れる。その確信がありました。

―そうして渋谷に移転する、と。

川島氏:並木橋の付近ですね。当時、SNSも流行り始めていたので、移転後は内観をお洒落にしたり、写真映えする創作メニューも品書きに並べたりしました。元々の味がいいので、変化球があってもブランド的には全くブレないので。 また、これは想定外だったのですが、この界隈は芸能事務所が多く、芸能人の方々が大勢足を運んでくれたり、メディアにも紹介されたりといった機会も多かったんです。移転してから2年後、客足が一気に増えて、黒字化することができました。

―一方、「山下本気うどん」を買収した2017年には、長年の中核事業であったカラオケ事業を売却されています。これはどのような経緯があったのでしょうか?

川島氏:私たちがカラオケ事業を始めた頃、カラオケメーカーは20社ほどあったのですが、2017年時点では大手2社だけになっていました。原因は大手による市場の寡占化です。
カラオケ事業は外食と違って商圏外からの需要が発生しにくく、店舗数が増えれば需要の取り合いになり、各店舗の売上が減っていく。そこに大手が入ってきたら、体力のない中小や個人の店舗は、まず勝てない。もはや、成長の見込みが持てない。このタイミングで売却しないと、将来の大きなリスクになる。だから、売却を決意しました。
結果論にはなりますが、数年後のコロナ禍で、カラオケ業界は大打撃を受けている。その前に手放す決断をして良かったと思っています。

リーマンショックの苦境から学んだ客観視の重要性

―飲食業態においても、撤退のタイミングはとても重要ですよね。一方で、簡単に決断できないというジレンマを抱えている経営者も多いかと思います。

川島氏:私の主観ではあるのですが、正しい決断をできる人は少ないと思います。
コロナ禍を例に挙げると、実はそれ以前から健全な状態ではなかった企業や店舗が多かったのではないかなと。けれども、コロナ禍というインパクトある外部要因に惑わされ、「仕方ない」と納得してしまった。おまけに、協力金も出たから、余計に自社の現状が見えにくくなってしまう。本当は、コロナ以前から自社の業態に問題があったかもしれないのに、それを忘れてしまう。そういった経営者が多かったのだと思います。

―とにかく客観視ができない。自分の都合の良いように捉えてしまうと?

川島氏:経営者って、うまくいっているときは「自分たちが頑張ったから」と思い込み、うまくいっていないときは「外部要因のせい」という思考になりがちなんです。
私自身もそうでした。20代半ばで起業したので勢い任せで展開をしていたし、根拠はないけれど自分の考えが正解だと思い込んでいた。黒字のPLはお酒を飲みながらしげしげと眺めているくせに、資金繰りがうまくいかなくなった途端、目を背けていました。
ですが、そうも言っていられないほど追い詰められたのがリーマンショックでした。本当に、資金がショート寸前で、逃げてしまおうかと思ったほどです。でも、そこまでくると「見たい、見たくない」なんて関係なくて、とことん直視して分析するしかなくなる。分析すれば、どう動こうか選択肢も見えてくるんですよ。
当時のウチは、メインバンクから貸しはがしを受けたものの、店舗は黒字運営ができていた。なので、最悪銀行からお金を借りられなくても、売却をすれば会社を存続させることができたんです。

―なるほど。それこそ業績のいい店舗を売却すれば、キャッシュに変えられると。

川島氏:でも、そこで考えるんです。そうして残るのは「収益の少ない店舗だけで存続している会社」なわけで、何の展望も展開もない。がらんどうの会社で息をしているだけ。それでいいのだろうか。
私は嫌なんですよ。「カッコ悪いな」って思っちゃった。勢いの良いときもありましたからね。
なので、全国の銀行すべてに電話をかけて資金調達に走って、どうにかこうにか危機を乗り切ることができました。
この、リーマンショックでの苦い経験からですね。徹底的に自社を客観視して、分析するようになったのは。財務の健全化のため、現金を貯めて、黒字の店舗だけを残すような方針に変えました。

―すると、コロナ禍はダメージが少なかった?

川島氏:現金が50億円ほど手元にあり、残っている店舗もほとんどが黒字。例え赤字でも数年耐えられる環境は整っていました。
それに加えて、居酒屋ではなく、中核事業がラーメン屋とうどん屋だったのも運が良かった。営業時間の短縮要請を受けたことで売上への影響はありましたが、協力金も入ってきたので、逆に財務も良くなってしまうという(笑)。過去の危機があったからこそ、ほとんどダメージ無しでコロナ禍を乗り切れたと思っています。

従来の外食企業が成せなかった「メイドインジャパン」を世界に広げていく!

―では、今後の展望についても教えてください。

川島氏:まず、中核事業のラーメンとうどんを一都三県の一等地でのドミナントで成長させる。その後、弊社が得意とするM&Aも活かして海外進出も視野に入れています。

―その目は海外まで向いていると。

川島氏:最終的には、マクドナルドやスターバックスのように、世界の誰もが知っているブランドをつくる。それを、日本の文化として広めていきたい。これは、従来の日本の外食企業が成し遂げていないことなんです。
そのためには、外食を外食と捉えず、多角的に成長していく戦略を立てていなければならない。他業種からの人材を積極的に登用したり、海外の企業と合弁会社をつくったり。今以上に財務状況を向上して、労働環境も良くしていく。

―労働環境について、動いていることはありますか?

川島氏:昨年12月、社員全員の冬季賞与を前期の2倍にしたんです。将来的に外食業界トップの賞与水準にするため、 今年も従業員への還元のため、更に賞与を増やせていければ、と思っています。 日本の外食企業でナンバーワンの労働環境をつくりあげていきますよ!

―すごい。夢が広がりますね。

川島氏:そうですね。なので、今後のM&Aに関しても、弊社の中期的・長期的戦略とのシナジーがある企業と行っていきたいです。もちろん、ある程度成功が見込める根拠があることは前提なのですけれども。従来の日本の外食産業にはないものだとか、ちょっと世間が驚いてしまうようなコンテンツだとか。そういったものを「面白い」と感じてくれる企業と手を組んで、外食企業の新たな未来をつくっていきたいと思っています!

株式会社ガーデン

https://gardengroup.co.jp/

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