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世界は、意思の力で変えられる! 日本酒の新たな可能性を追求する株式会社Clearの生駒龍史氏が目指す100年後の未来とは

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2023年12月25日

2013年に設立し、日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」、高単価日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」の創業など、業界に新たな風を吹き込んできた株式会社Clear。2020年には最高峰の日本酒ブランドを目指す目的から「SAKE HUNDRED」をリブランディングした。今回は、同社代表の生駒龍史氏にインタビュー。日本酒の可能性を信じて走り続けるその理由をとくと伺った。

世界は、意思の力で変えられる! 日本酒の新たな可能性を追求する株式会社Clearの生駒龍史氏が目指す100年後の未来とは

1986年生まれ、日本大学法学部卒業。IT企業に就職後、2011年からインターネットで日本酒の販売を開始。その後、日本酒市場の拡大を目指し2013年に株式会社Clearを設立する。2014年に日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」を創業。2018年には有限会社川勇商店を完全子会社化し、日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」を創業した。同ブランドは2020年にリブランディングしている。

飲まず嫌いだった日本酒にドハマり。未経験だからこそ見えた業界の可能性に心湧く

―まず、生駒社長の起業までの経緯を伺えますか?

生駒氏:新卒で IT 企業に入社したのですが、1ヶ月半ほどで辞めてしまいました。当初、起業したいという気持ちはなかったのですが、トータルで2年ほどサラリーマンをした後、独立することに決めました。
最初に始めたのは、海外からのアウトドアブランドをECで仕入れて日本で売る。いわゆる並行輸入品の販売です。商品については、強いこだわりもなくて、「自分の好きなモノを売ろう」くらいの軽い気持ちで。そんなとき、大学時代の友人から「実家の酒屋を継いだので、インターネットでお酒を売りたい」と、相談を持ち掛けられまして。日本酒の業界に足を踏み入れるきっかけは、そこでしたね。

―日本酒は「好きなモノ」だったんですか?

生駒氏:実はあまり好きではなかったんです。それまでおいしい日本酒を飲んだことがなくて、良いイメージがなかった。でも、友人が「おいしかったら、やりましょう」と言うので、お酒を飲ませてもらったんです。熊本県酒造研究所の「香露」だったのですが、まろやかで、香り高くて、自分の価値観を変えられるほどのおいしさだった。衝撃でしたね。
マーケットを調べてみると、WEBの活用ができていなかったり、若手が台頭してきていたり、国内は苦戦しているけど海外で人気の兆しがあったりと、可能性があって面白い。「これは、人生をかけてのめり込める」と、日本酒に舵を切ることに決めました。
その後、2年ほどネット販売で実績をつくったのち、2013年に株式会社Clearを設立します。

「SAKETIMES」運営初期は茨の道も、地道で真摯なクリエイティブで信用を勝ち取る

世界は、意思の力で変えられる! 日本酒の新たな可能性を追求する株式会社Clearの生駒龍史氏が目指す100年後の未来とは

―翌年2014年に日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」を創業しました。こちらもきっかけを教えてください。

生駒氏:日本酒のことを調べていくうちに、その魅力は「情報」にあるということに気づきました。「誰が、どのように作っているか」。お酒ごとに異なるストーリーこそ、付加価値になるはずだと考えたんです。けれども、世の中の人々の捉え方は逆で、「日本酒ってウンチクが多くて面倒くさい」と、本来は付加価値になるはずの情報がボトルネックにもなってしまっている。これを解消するためにWEBメディアをつくって、世に発信していこうと決めたんです。

―始めてみて、反響はいかがでしたか?

生駒氏:ひと言で言えば、無風でした。むしろ、逆風と言えたかもしれません。日本酒業界はメーカーから問屋、小売、飲食店と、プレイヤー同士の縁で繋がっている業界です。WEBメディア自体、今ほど一般的ではなかったから、彼らはほとんど触れる機会もない。そんなところに、蔵出身でも、酒屋でもない私たちが行っても、なかなか信用してもらえません。初めのうちは、取材を受けてもらうのも難儀していました。メディアを立ち上げて最初の1年ほどは、足しげく蔵に通って、自分たちのやりたいことを説明して、の繰り返しです。
とにかく、「一生懸命いい記事を書きます」と、頭を下げて取材させてもらう。取材させてもらったら、必ずいい記事に仕上げる。いい記事だけを出していれば、読者の信用を得ることができる。そうすることで、業界の方々からも評価をしてもらえる。そう信じて、社内でも声をかけながら、コツコツ記事を出し続けていきました。
2年後にはPV数が30万を超え、広告やタイアップの案件も増えてきた。この辺りからマネタイズもできるようになって、現在まで続く土台を作ることができたと思います。

「プレミアム」ではなく「ラグジュアリー」。目指すべき価値が明確になったリブランディング

世界は、意思の力で変えられる! 日本酒の新たな可能性を追求する株式会社Clearの生駒龍史氏が目指す100年後の未来とは

―もうひとつのブレイクスルーである「SAKE HUNDRED」についても教えてください。

生駒氏:私たちが目指すのは「日本酒の未来をつくる」こと。そのためには産業がもっと経済的に豊かになることが必要です。「SAKETIMES」では多くの人に情報発信ができたけれど、酒蔵に利益がいくような仕組みをつくれたとは言えない。次のステップが必要だと考えたんです。
そこで目をつけたのが、高単価市場でした。実は、日本酒の国内市場ってほとんどの酒蔵が薄利多売の商売を続けているんです。一方、国外に目を向けると日本酒は高単価市場が盛り上がっている。例えば、香港では四合瓶の日本酒が1本 40万円相当で売られていた。実際に「いいモノに、相応のお金を払っている人がいる」という事実を目の当たりにしたことで、「高単価」に着目した自社ブランドの日本酒を造ろうと思い立ちました。2017年頃でしたね。

―この頃、有限会社川勇商店をM&Aで買収していますが、こちらも「SAKE HUNDRED」の開発に関連してのことでしょうか?

生駒氏:まさに、その通りです。実は、酒販をするために必要な酒類小売業免許は1989年を境に新旧分かれていて、新しい免許だと通販における大手酒販メーカーの取り扱いが大きく規制されてしまうんです。けれども、「SAKE HUNDRED」は新しい市場を形成していくための日本酒だから、スケールしていかなければならない。大手とも手を組んで、たくさん売る場面も必ず来る。そのため、1989年以前の免許がどうしても必要だったんです。そんな中、実家が酒屋だという「SAKETIMES」の読者がいたことを思い出して、連絡してみた。その酒屋さんが、川勇商店というわけです。社長であるお父様と引き合わせていただいて、私たちの 展望を伝えたところ、「ウチの店をそういう風に使っていただけるなら」と、快く頷いてくれました。何ひとつトラブルのない、スムーズなM&Aでしたね。

―こうして創業に至った「SAKE HUNDRED」だったわけですが、2020年にはリブランディングします。こちらにはどのような経緯が?

生駒氏:フラグシップモデルの「百光」って、今でこそ売値が3万8500円なのですが、リブランディング前は1万6800円だったんです。当時の私は、この価格帯でいいのか、毎日悩んでいました。と、いうのも、1万円台の日本酒を探してみると、他にもたくさん見つかる。そもそも「高単価市場の開拓」を目的につくったお酒なのに、代替品があるなんて、自分たちのビジョンと合っていないんじゃないか。お客さまからも「ギフトに使いたいのに安すぎる」という声も頂いたりして、私が思っているより金額はモノの価値に直結している。考えれば考えるほど、「このままでいいのか」と心にモヤがかかっていく。そんな中、ふと手に取った書籍の一文で一気に目が覚めたんです。

―その書籍とは?

生駒氏:弊社の社外取締役・齋藤峰明のインタビューです。彼はエルメス本社の副社長を務めた人物で、書籍内で「エルメスのライバルは?」という質問を受けていたんです。彼の答えは「強いて言えば、虎屋さんでしょうか」と。その理由を、モノ作りに基軸を置き技術と感性を磨き続けてきたことなど、企業として大切にしているところが似ていると語り、齋藤が語る「ラグジュアリー」が示すものが、心のモヤモヤを晴らしてくれました。それまで、私はプロダクトアウトの思想にはなりきれないなかで「SAKE HUNDRED」を売り出していました。知らずに「プレミアム」という言葉も使っていた。けれど、「プレミアム」って他に比較するものがあることで成立する価値観なんです。相対的であって、絶対的な価値ではない。今より高い、究極のステージを目指すにはそれでは届かない。
「プレミアム」ではなく「ラグジュアリー」! これが、次の日本酒の100年をつくるため、生み出すべき価値なのだと確信しました。
そこからは早かったですね。社員同士の共通言語にするため全員でラグジュアリーに関してインプットを重ね、知見を深めながら、一気にリブランディングを進めました。

変革の可能性を信じ抜き、日本酒業界の未来をつくる!

世界は、意思の力で変えられる! 日本酒の新たな可能性を追求する株式会社Clearの生駒龍史氏が目指す100年後の未来とは

―お話を伺っていて、改めて生駒社長の信念の強さが垣間見えました。

生駒氏:僕は、基本的に「諦める」というボタンを取り払っている生き物ですから(笑)。
私は「世界は意思でできている」という信条を持っているんです。
「できる」と思えば何でもできるし、「できない」と思えば何もできない。結構シンプルなもの。そう信じていられるのは、私と同時期に創業した経営者たちが、世界を変えていく様を目の当たりにしたからです。彼らがつくった、初めは誰にも知られていなかったサービスが、今、人々の価値観を変え、暮らしを豊かにしている。
だから、「世界は変えられる」と信じている。そう信じていた方が、人生が楽しいと思うんですよね。

―では、今後の展望を教えてください!

生駒氏:一貫して、ラグジュアリー市場の開拓です!  日本酒業界の最も欠けているところは経済的なサステナビリティだと思っています。日本酒って、伝統とか、造り手の仕事とか、素晴らしい文化を持っているのに経済が両輪として回っていない。現実問題として、1973年をピークに酒造の生産量が落ちているので、毎年の売上が昨対比割れ、という状態が当たり前になっている業界なんです。
じゃあ、どうすれば解決するかと言えば、市場規模の拡大しかない。規模が大きければ、日本酒の価値のひとつである多様性も守っていける。もっと充実させていける。そのために、来年以降は「SAKE HUNDRED」を海外にも展開してさらに市場を広げていきます。
全ては、日本酒の次の100年をつくっていくため。「できる」と信じ切って、突っ走っていきます!

株式会社Clear【SAKE HUNDRED】

https://clear-inc.net/
https://jp.sake100.com/

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