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伝統をブラッシュアップし、新たなステージへ。「喜多方ラーメン坂内」の株式会社麺食代表・中原誠氏のクレバーな戦略眼とアツい経営者魂に迫る!

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2024年03月05日

国内・海外合わせて70店舗以上を展開している「喜多方ラーメン坂内」をはじめ、近年、ベトナム料理店、アジア料理店、スペインバルなど、新たなジャンルへ進出している株式会社麺食。新時代への一歩を踏むのは、2代目代表取締役の中原誠氏だ。聞けば、父・明氏との確執も乗り越え、今があるという。遠回りか、近道か。今日までの歩みはどのようなものだったのか、とくと伺う。

伝統をブラッシュアップし、新たなステージへ。「喜多方ラーメン坂内」の株式会社麺食代表・中原誠氏のクレバーな戦略眼とアツい経営者魂に迫る!

1973年12月生まれ。大学卒業後、第一勧業銀行へ就職。28歳で退職し、ベンチャー・リンク、グローバルダイニングを渡り歩いた。2005年に麺食へ入社し、2012年に社長就任。創業者である父・中原明氏から引き継いだ「喜多方ラーメン坂内」のブランドを守りつつ、海外出店や多業態のM&Aなど、新たな展開を広げている。

飲食の道は、財務の学びから。金融機関を経てグローバルダイニングへ

―ではまず、中原社長の経歴からお伺いできますか?

中原氏:大学を出た後は第一勧業銀行へ就職して、4年間過ごしました。その後、ベンチャー・リンクへ入ってコンサルティングを1年半ほど。その次はグローバルダイニングへ入ってお台場のモンスーンカフェの店長を3年ほど務めて、2005年に麺食へ就職した、という流れです。

―金融業界から飲食業界へ。何か心変わりが?

中原氏:いいえ、実は学生時代から描いていたキャリアプランで。もともと大学2年生までは工学部だったんです。何かしら発明して特許を取りたい、と考えていたのですが、当時はそういったベンチャー思考がなかなか受け入れてもらえず、諦めてしまった。じゃあ、何をやろうかと考えたとき、飲食業が浮かびました。すでに父親が麺食を経営していたので、イメージが湧いたんです。
とはいえ起業するなら1、2店舗で終わらず大きく展開したい。ならば、お金のことを学ぶべきだろう。そう考え、最初に銀行に入りました。

―いずれ麺食を継ごう、という気持ちもあった?

中原氏:それはありませんでした。実は私、幼少期から父との確執が深くて。
ラーメン屋として素晴らしい商品を作っているという部分はすごく尊敬していたのですが、それ以外の部分を全く受け入れられなかったんです。だから、飲食業での開業を目指しても、全く関係のないことをやろうと思っていた。グローバルダイニングへ入ったのも、エスニックで開業したかったからで。
けれどもある日、私が店長をしているモンスーンカフェに父がやってくるんですよ。番頭さんも連れて。

―突然ですね。

中原氏:驚きましたよ(笑)。聞けば、この頃は会社が15年目くらいで、ちょっと停滞期に入っていたそうなんです。次のステージへ行くため、力を貸してくれないか、ということで。
とはいえ、父との確執は解けていないし、自分自身はエスニックをやりたい。すごく悩みました。
けれど、長男坊の責任感とでもいうのですかね。「どうにかせねばなるまい」という気持ちが急に芽生えてしまって。「会社は継ぐ。けれど、自分の好きなこともやらせてもらう」と念押しして、入社することに決めました。結局、自分の好きなことをやれるようになるのはもっと先になるんですけどね。

麺食入社後の「お手並み拝見」。父の文化が色濃く残る中でリーダーシップを見せ、代表就任へ

伝統をブラッシュアップし、新たなステージへ。「喜多方ラーメン坂内」の株式会社麺食代表・中原誠氏のクレバーな戦略眼とアツい経営者魂に迫る!

―入社後に目の当たりにした麺食はいかがでしたか?

中原氏:まず財務状況を見たのですが、めちゃくちゃ真面目にやってるんですよ。コツコツお金を貯めてきたのも感じたし、やはりプロダクトであるラーメンの完成度は素晴らしい。職人気質な高クオリティで売ってきた会社で、それをつくった父の凄さを感じました。私が前職で学んできたサービスや見せ方を融合させれば、十分に伸ばしていけるポテンシャルを持っている。

―やはりプロダクトの強さはアドバンテージですよね。

中原氏:一方、カリスマ創業者によるトップダウンの体制だったので、新しいアイデアが出にくいという弊害もありました。どれだけ練ったアイデアでも、創業者がノーと言えば白紙になる。そういう環境だったので、意見を出さない、そもそも考えない。けれど、会社が踊り場を迎えて変化を求められている今、その状況はまずい。なので、少しずつですけれど意見を出しては実績を出して。少しずつ周りの信用を積み上げていこうとしていました。周りからしたら「若造のお手並み拝見してやろうじゃん」という目だったんでしょうね。

―そして、2012年に社長就任すると。

中原氏:小さな信用の積み上げはありましたが、きっかけは2011年の東日本大震災だったと思います。
このとき、私たちは社員旅行で仙台に来ていて、帰路につこうとしたときに地震が起きたんです。交通機関が止まって帰れない。情報も錯綜している。挙句、雪も降り始めてきた。その中で若いメンバーと協力して、社員全員の宿泊先を見つけたり、なるべく早く店が再開できるよう奔走したりして、大急ぎで色々なことを乗り切ったんです。この手際を見て、「この若いの、やるじゃないか」と諸先輩方が感じてくれたようです。次の年、代表に就任することになりましたし。

―実際に、社長就任後にはどのようなことを始めましたか?

中原氏:先述したとおり、社員がもっと意見を言えるようにボトムアップ型の組織に変えること。これは今でもずっと続けていますね。
具体的な事例を挙げると、2014年に初めてアメリカで出店する際、店長の選定を従来の社長指名制から立候補制にしてみたことがありました。全社員の前で演説して、一番票を取れた人がアメリカ1号店の店長に決定。票は、社員であろうと、役員であろうと等しく1票ずつ。

―選挙ですね!

中原氏:候補者4人中で、当時26歳の男の子が1位をとりました。ベテラン勢もいる中で、一番演説が下手だった男の子。本当に、言葉はたどたどしかったんですけど、「僕にやらせてくれ!」という気持ちが伝わって、多くの社員の心を打ったんです。結果的に、アメリカの店舗も無事に立ち上がって、実績を出せた。「何かを変える」って、こういうことなんだな、と企画した私自身が驚かされた出来事でした。今でも社内を変えていこうと色々していますが、あの選挙は、本当にやってよかった。大きな出来事でしたね。

目指すビジョンは「世界に通じる外食グループ」。毎日を全力で駆け抜ける!

伝統をブラッシュアップし、新たなステージへ。「喜多方ラーメン坂内」の株式会社麺食代表・中原誠氏のクレバーな戦略眼とアツい経営者魂に迫る!

―コロナ禍を経て、飲食業界も色々と変わったと思いますが、今後はどのような展開を考えていますか。

中原氏:弊社もコロナが蔓延した2020年の5月ごろ、一気に10店舗ほど閉店したんです。正直、あの頃はいつまでその状況が続くのかわからなくて、「とにかくキャッシュを手元に置いておくんだ」と、黒字を確保できるような財務状態をつくることに専念していました。それこそ、補助金を引っ張ってくる、という手もあったのですが、それはどうにも健全じゃないな、と思って。
結果として、会社は黒字で推移して今に至り、また成長戦略にシフトしているところです。まずは「喜多方ラーメン坂内」を国内で100店舗に増やしつつ、「ヴェトナム・アリス」や「88亞細亞」、「Bar de Ollaria」などの別業態も20~30店舗ほどの規模に成長させて、国内の柱をつくることが直近の目標ですね。

―その後のビジョンも?

中原氏:もちろん! その後は海外への発信ですね。現在は「喜多方ラーメン坂内」をアメリカで出店していますが、今後は日本ならではの別の業態も展開していこうと思っています。そのために、M&Aも活用していきたいですね。 例えば、強いブランドを開発しようとすれば、どうしても時間がかかってしまう。だとしたら、すでに歴史も実績もある老舗をM&Aさせてもらってブラッシュアップし、アメリカのモールに出店している「坂内」の隣に出すとか。海外ではラーメンはとてもフックのあるコンテンツなので、それを呼び水にしながら、別の日本食の文化を発信していく。なんだったら、アジア圏まで業態を広げてもいいかもしれません。韓国には焼肉やキムチがあるし、タイ、ベトナムの屋台文化も独自性があってすごくいい。中華だって、アメリカの企業が考えた世界展開のチェーンはあるけれど、本場中国発祥のものはまだない。そういった現地から出てきた食文化を集めてグループにしたら、きっとマクドナルドとか、スターバックスとかのような世界を席巻するグループにも食い込めると思うんです。

―では最後に、中原社長の目指すゴールがあれば、教えてください。

中原氏:サグラダファミリアのように、いつまでも未完成でありたいです。途方もなく大きなビジョンを描いて、そこに魅力を感じた人が集まって、みんなが楽しそうにモノを作り続けている。麺食は、関わる人がいつも笑顔でいてくれる企業でありたいですね。
だからこそ、私の仕事は次代へしっかり繋ぐこと。その土台をつくること。これを60歳までにやる。ズルズルと居座らないで、きれいにさっぱりと後進に引き継ぐ!

―あれ、社長。今、おいくつでしたっけ?

中原氏:50歳です。あと10年しかないんですよ(笑)。限られた時間の中で、全力で駆け抜ける。自分との闘いですね。そういう生き方が、性に合ってるんですよ。

株式会社麺食

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