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中小企業庁が提案する事業承継支援とは? 飲食店の後継者不在問題を解決する一手に

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2019年04月17日

中小企業庁が提案する事業承継支援とは? 飲食店の後継者不在問題を解決する一手に

近年話題となっている飲食店の後継者不在問題。せっかくの名店も引き継ぐ人がいなければ閉店せざるを得ず、廃業を余儀なくされてしまう。この問題を解決するために積極的に働きかけを行っているのが中小企業庁だ。「事業承継支援」として、引き継ぎ先の紹介から引き継ぎ後のフォローまで多様な支援を行っている。今回は事業環境部財務課の調査員である小野 淳さんに話を伺い、一体どのような支援を行っているかを教えてもらった。

後継者不在は現在、社会問題に発展している

多くの中小企業で、経営者が引退時期に差し掛かっても後継者が見つからず、廃業してしまうケースが見受けられるという。日本総研株式会社の調査によれば、倒産・廃業の理由のうち65.4%は後継者の不在によるものだといわれている。

事実、1995年は経営者年齢のピークが47歳だったのに対し、2015年は66歳。この20年で経営者全体の年齢層が上がってしまっていることがわかる。小野さんは経営者の平均年齢が上がっていることについて次のようにコメントしている。

中小企業庁が提案する事業承継支援とは? 飲食店の後継者不在問題を解決する一手に

「このまま放置してしまうと、2025年には245万人の経営者が70歳を超える計算になります。またこのうちの127万人、つまり半分以上が後継者不在のままとなることが予想されており、廃業せざるを得ない企業が大幅に増えてしまいます」

企業や店を続けるかどうかは個々の問題でもある。「本人がいいなら、閉店してもいいのではないか?」「危惧する必要はないのでは?」と思う人もいることだろう。しかしこの問題は、日本全体の問題でもある。このまま廃業する企業が増え続けると、2025年頃までに約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われてしまうことが予測されており、日本の未来が危惧されているのだ。

「残念ながら廃業してしまううちの半分くらいは、黒字企業や生産性が高い企業です。だからこそ、こうした貴重な経営資源が少しでもきちんと引き継がれるように、国が支援していくべきだと考えています」

これらの問題は以前から認識されていたが、近年より集中して支援を行うようになったという。

中小企業庁が提案する事業承継支援とは? 飲食店の後継者不在問題を解決する一手に

承継前から承継後まで「切れ目のない支援」

こうした後継者不在問題を解決するため、中小企業庁では承継前から承継後のフォローまで一貫して行う「切れ目のない支援」を展開している。現在行っている施策を具体的に教えてもらった。

1、事業承継の重要性に気づく機会を増やす

個人経営の飲食店などであれば一代で店をたたむことを検討している店も多く、そもそも事業承継しないといけないという認識も少ないことが多い。また、後継者を求めていても、どう探したらよいかわからない方もいるだろう。

そこで中小企業庁では全国に「事業承継ネットワーク」を作り、「事業承継は大切なことである」「後継者を探すことができる」ということに気づいてもらうための機会を提供している。

「中小企業のお客様を持っておられる金融機関や商工会議所の方などに、事業承継の情報について働きかけを行ってもらっています。経営者の方々と接する際に事業承継の悩みを聞いていただいたり、後継者の有無や事業承継をどう考えているかなどのアンケートを取ってもらったりしています」

こうしたネットワークの活動を通じて経営者の悩みなど、支援のニーズを調査し、後継者探しのサポートに繋げているそうだ。

2、経営者と後継者のマッチング支援

事業を引き継ぎたいと考えていても、後継者がいないという悩みを抱えている経営者は非常に多い。一定規模以上の会社であれば、民間のM&Aの仲介を行っている企業に依頼して売却をするのもよいが、規模の小さい会社であれば高額な手数料を払えない場合もあるだろう。

そこで中小企業庁では「事業引継ぎ支援センター」を全国に設置し、売り手と買い手のマッチングを行っている。年々マッチングの件数が増加しているそうだ。相談窓口は無料で利用できるようになっており、個人の飲食店なども相談しやすい仕組みになっている。

3、承継時の負担軽減措置

会社を引き継ぐ際にも課題は多い。たとえば先代経営者から株式を無償で贈与された場合は贈与税、先代が亡くなった場合は相続税を支払う必要が出てくる。

そこで、負担軽減措置として「事業承継税制」を設けている。これは非上場株式の引き継ぎを行った際にかかる相続税・贈与税の納税を猶予する制度のこと。「平成30年度に改正され、さらに利用しやすくなった」と小野さんはいう。

「これまでは猶予される金額は全額ではなかったうえに、親から子のように、1人の経営者から1人の後継者に承継する場合でないと適用できませんでした。さらに、この制度を利用できたとしても、5年間は平均8割の雇用をキープしなければ猶予を打ち切られることもあるなど、見直しを求める声がたくさんありました。平成30年度から始まった特例措置では猶予は全額OK、雇用8割を維持できなくても猶予を継続できる等の抜本的な拡充をしました」

多少の業種制限などがあることや、認定基準を5年間満たし続ける必要があるといった条件はあるものの、条件さえ守れば事業を継続している間は猶予され続け、実際に払う必要はない。また、2019年より個人事業者が活用できる類似制度の「個人版事業承継税制」が創設された。より利用できる人を増やせるように努めているそうだ。

4、引き継ぎ後の資金支援

引き継ぎ後は、後継者のサポートも実施。たとえば新しい設備を導入しなければならない、新しい事業などを始めなければ存続できないという場合のために、承継後のチャレンジ支援として「事業承継補助金」の制度を設けている。

事業承継補助金とは、安定して事業を経営・発展させるためにかかる費用を補助してくれる制度のこと。後継者の商品開発や設備導入をサポートする「後継者承継支援型」とM&A後の取り組みをサポートする「事業再編・事業統合支援型」で構成されており、どちらも活用できる幅は広い。

「たとえば経営改善のために事業を撤退したい場合にも活用できますし、新商品の広報費用や新しく雇用する場合の人件費などにも使うことができます。引き継ぎ後は資金がかかってしまい大変なことも多いですから、ぜひご活用いただければと思います」

今年度の補助金は2019年4月12日(金)~2019年5月31日(金)19:00まで申し込みを受け付けているとのこと。また、4月15日からはそれに伴う説明会がスタートすそうだ。

中小企業庁が提案する事業承継支援とは? 飲食店の後継者不在問題を解決する一手に

後継者不在の場合に支援を受けるにはどうするべき? 引き継ぎのステップ

こうしたさまざまな支援策があるが、後継者不在の飲食店がマッチングの支援を受けるにはどうしたらいいのだろうか。小野さんが教えてくれた3つのステップをもとに見てみよう。

1、まずは相談窓口に行ってみよう

後継者を探したい、事業承継に関心があるとなれば、ひとまず全国の都道府県にある事業引継ぎ支援センターに行ってみよう。相談は無料で行っているうえ、金融機関OBや会計士、税理士などのM&Aの経験がある専門家が常駐しているので、相談もしっかり行うことができる。

「引継ぎセンターへの相談件数自体は少しずつ増えてきており、2018年度には単年度で1万件を突破しました。相談は無料ですし、民間企業のM&A支援を受けることを検討している場合でも、セカンドオピニオンとして活用できるのではと思います」

ちなみに、売り手側だけでなく買い手側として検討している場合も相談ができる。気になることがあれば、まずは窓口に行ってみるのがいいだろう。

2、引き継ぎ先を探そう

事業引継ぎ支援センターで相談し、ある程度の希望が定まってきたら、次は売り企業や売り事業として引継ぎセンターのデータベースに登録することになる。このデータベースは全国にネットワークがあり、同じ都道府県で見つからなくても、ほかの土地で見つけられる可能性もあるなど、幅広くマッチングを提案している。

ここから売り手と買い手のマッチングが始まっていくが、事業引継ぎ支援センターでそのまま請け負うだけでなく、一般のM&A仲介業者を紹介することもあるとのこと。

「規模が大きい企業であれば、提携しているM&A仲介業者や金融機関にお願いして相手探しをしてもらうこともあります。基本的には民間でマッチングできる案件は民間に委ねています。規模が大きい場合は、民間の仲介業者等を紹介して探すケースが多いでしょう」

3、引き継ぎの手続きを行おう

引き継ぎ先が決まれば、いよいよ内容を詰めていくことになる。事業引継ぎ支援センターでは引き続き仲介のサポートやフォローを行ってくれるため、何かあれば相談してみるようにしよう。

これらの支援を受けて、実際に事業承継を成功させた飲食店も多い。たとえば、「カフェをやってみたい」と前々から思っていた夫妻が、カフェの売却物件を見て事業引継ぎ支援センターに相談した事例がある。売り手と買い手の話し合いの場を設け、「店名を変えない」などの条件を設定し、経営指導を受けたうえで承継。数か月後には難なく経営できるようになり、売り手にも買い手にも良い結果をもたらした。

あるいは焼肉店の経営者が体調に不安があるうえに後継者が見つからなかった際、商工会議所に相談をしたことから事業引継ぎ支援センターの支援を得ることになったケースもある。見つかった後継者は飲食店開業の夢があったがなかなか実現できずにいたため、引き継ぐことで希望を持つことができるようになった。焼肉店は常連客に加えて若者層も増えたといい、店にも活気が出たそうだ。

引き継ぎ先を探すなら今! 相談だけしてみるのも手

色々とメリットが多い事業支援制度だが、じつは永久的に使えるものではないものもある。税制については、法人であれば2027年、個人であれば2028年までに承継した人のみが使える制度なのだ。また、会社も個人も事前に計画を提出する必要がある(法人は2023年3月末まで、個人は2024年3月末までに提出が必要)。この確認、認定をもって活用できるようになる。

「期限を設けて10年程度集中して支援を続けることによって、しっかりと引き継いでもらう環境を作れたら」と語る小野さん。後継者問題で悩んでいる人はもちろんのこと、一代で店じまいを検討している方も、一度相談窓口に話を聞きに行ってみるのはいかがだろうか。

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