「お客様は神様」を捨ててカスハラに徹底抗戦。YOSROMANTICの飲食店経営論
毅然とした態度で接したことで客層は良くなる
現在はスタッフも多く雇っているため一人ですべて抱えているわけではないが、悪質な客に対しての態度は変わらないそうだ。
「悪態をつかれても僕は対等に話せますが、その人のせいで周りのお客さんやスタッフが嫌な気持ちになるのは店にとってマイナスになるじゃないですか。なので、そういう方にはしっかり注意したり、酷い場合には退店していただいています」
酷い客には徹底抗戦の構えで接しているうちに、共通点を発見したという神田氏。
「退店を促したり、あまりに酷くて出入り禁止を伝えたとき、マニュアルでもあるのか大体の人が『もっと店に金落とすのに』とか、『俺がここでシャンパン入れても同じこと言えるの?』って言ってくるんですよ(笑)。売上どうこうの話じゃないんでお帰りいただきますけど、パターンが同じでちょっと面白いです」
そうしている内に、来店する客層にも変化があったそうだ。
「不思議なことにいいお客さんが増えたような気がします。きつめに注意したことで二度と来ない人がいるのはもちろんですが、トラブルの対応が減っているので僕の方針は間違っていなかったんだなと思いますね」
繁盛する飲食店の必須条件
神田氏の会社である神田SEKIZAAIの2023年の年商は前年比で120%増と好調だ。そこで、ヒットする店舗に必要なものについてもうかがった。
「飲食店の経営者のインタビューを読むと『人が一番大事』ってよく見るんですが、飲食店が繁盛するためにまず必要なのは絶対に好立地です。物件を決めないと融資も下りないので焦る気持ちはわかりますが、妥協せずにいい物件を選ぶことが繁盛店の第一歩でしょうね」
神田氏がそう断言するのには理由がある。
「町田でやっていた『CASUAL BAR Don'tCry』の前身であるバーが、オープンから移転直前までの3年間ずっと赤字だったんですよ。駅から徒歩4分とアクセスはよかったんですが、階段しかないビルの3階でしたし、近くにあった町田市役所が移転し人通りが激減したので金曜日の24時にノーゲストということもザラでした」
その後、『CASUAL BAR Don'tCry』は知人の法人に入れてもらう形で目黒に移転する。
「目黒では駅から徒歩2分、1階の路面店のテナントを2年かけて探しました。当然家賃も高くなりましたが、それを差し引いても売上は町田時代の4倍に。2023年にオープンさせた『KARAOKE & BAR NiceFace』と『大衆バル 沖縄LOVER』も好立地の物件を選び抜いたおかげで順調に伸びています」
