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多店舗飲食事業の買収や食べログ百名店のM&Aを手掛けたottoの伊勢﨑氏にインタビュー。M&Aによるブランドの新たな価値の創出について語る

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2022年02月28日

「GOOD DISH TOKYO」、「泡泡 シャンパンマニア」など、東京、兵庫、大阪を中心に様々な飲食ブランドを運営している株式会社otto(東京都渋谷区、代表取締役:八須玲香氏)。多拠点での店舗運営に加えM&Aも得意とし、コロナ禍においても意欲的に展開を広げている企業だ。今回は、ottoのM&A案件を担当する執行役員兼営業本部長の伊勢﨑正雄氏にインタビュー。同社がM&Aで重要視している「価値あるブランドの持続」と「新たな価値の創出」について伺った。

多店舗飲食事業の買収や食べログ百名店のM&Aを手掛けたottoの伊勢﨑氏にインタビュー。M&Aによるブランドの新たな価値の創出について語る

伊勢﨑正雄氏

経歴
大学在籍中にバーテンダー・グローバルダイニングでのウェイターや麻布十番のレストラン「Casita」でアルバイト勤務を経験。その後、飲食プロデュースという形でお好み焼き店「なんじゃかんじゃ」の立ち上げに携わりヒットを飛ばし、自社ブランドの多店舗展開も広げた。2008年、otto代表の八須玲香氏と出会い、同社を立ち上げ。飲食店の多店舗経営や売主、買主ともに経験したことによるM&Aの知識を生かし、活躍を続けている。

飲食店プロデュースから多店舗経営、M&Aのノウハウを蓄積。現在の展開への足がかりに

-伊勢﨑さんは、ottoの立ち上げメンバーですが、それ以前にも飲食店経営やM&Aの経験があったと伺っています。軽く経歴を伺ってもよいでしょうか?

伊勢﨑:大学在籍中にバーテンダーのアルバイトをしていたことが、飲食業との初めての関わりです。その後、グローバルダイニングでウェイターとしてアルバイトを開始。2年ほど続けた後退職して、青山にあるレストラン「Casita」で働き始めました。超繁盛店で、色々なことを学びとることができたと思っています。その後、この店のお客さまで「お好み焼き屋をやりたいのだけれど、協力してくれないか」と声をかけてきた方がいて、プロデュースという形で携わることに。2003年頃でしたね。明大前に「なんじゃかんじゃ」というお好み焼き屋を開いて創業。これが初日から爆発して、1年待たずに増床することになったんです。

―すごいですね! そこから店舗展開を続けていったのですか?

伊勢﨑:私自身も別の業態を始めたい気持ちがあったので、増床した店舗は2階建てで、1階はイタリアン、2階はお好み焼きという形で運営しました。これもまた、売れて。当初はプロデュースとマネジメントという形で携わっていたのですが、2005年には資本関係が株主になったんです。そこから自己資金でイタリアンレストランを展開していき、6店舗ほど広がったところでM&Aの話が来ました。業績は黒字だったのですが、条件が良かったので現存店舗のうち3つを売却。足元に残った3つの店舗を2~3年ほど運営していました。その後、2008年頃に弊社代表の八須と出会い、暖簾分け創業というかたちで店舗を引き渡し。私自身もottoの立ち上げに関わることになります。

将来性を見据え、大阪の拠点づくりを検討。M&Aによって展開を広げる

多店舗飲食事業の買収や食べログ百名店のM&Aを手掛けたottoの伊勢﨑氏にインタビュー。M&Aによるブランドの新たな価値の創出について語る

-その後、自社ブランドの展開を広げつつ、2019年には大阪の飲食店グループをM&Aで買収しています。この経緯も伺えますか?

伊勢﨑:もともと、2020年の東京オリンピックが決まった時点で、東京は短期的なバブルと、それが弾けてしまったあとの景気の後退が起こるであろうと見越していたんです。そこで、その後に盛り上がりそうな地域はどこだろうと考えた中で、東京に並ぶ大都市である大阪に着目しました。万博の開催も決まっていましたしね。ただ、いざ大阪が盛り上がったときにゼロスタートでは、何もできない。何かタネを植える必要がある。そう考えていたときに、お世話になっている公認会計士の方から「困っている企業がいる」と、紹介されたのが大阪の飲食店グループだったんです。

-具体的には、どのような問題を抱えていたのですか?

伊勢﨑:話を聞くと、1999年に創業してから何度もオーナーチェンジがあり、モチベーションが低下してマンネリ化が続いている状況であると。そのせいで新しい試みに乏しく、業績も伸びていない。加えて、労務環境や経理なども効率化できていないから、営業時間以外に行う無駄な作業も多かった。けれども、わるいところばかりでもなく、ブランディングや接客には力を入れていて、店舗ひとつひとつ単位で考えれば、他社と差別化できるコンセプトを持っている。要は、細かいところにこだわっているものの、会社全体の状況や課題を誰も把握できていないような状態だったんですね。シンプルに「もったいないな」と感じました。私たちとしては、大阪での拠点づくりを考えていたので話が来た時点で8店舗あったことや、立地、賃料といった条件も魅力的だった。加えて、今まで培ってきたノウハウも役立ちそうで、そのやり方がはまれば十分に伸びしろのあると感じたんです。私たちが参入することで、その事業にプラスアルファの価値を提供できるなら、やるべき。そういう考えで、買収を進めることに決まりました。

後継者不在の食べログ百名店をM&A

-2020年には東京都で「讃岐饂飩(さぬきうどん)元喜(げんき)」を買収されています。食べログの百名店にも数えられる有名店ですが、こちらを買収した経緯はどのようなものだったのでしょうか。

伊勢﨑:これは、もともと日本政策金融公庫事業承継部から紹介いただいたお話でした。オーナーの岩﨑良蔵さんは52歳の頃に脱サラして、うどん店を開業。16年間真面目に店を営み続けてきましたが、店舗が入居しているビルの取り壊しが決まって、立ち退きをしなければならない状況になっていたんです。自身も69歳で、新たな物件で始めることは難しい。一度は閉業を考えたそうですが、思い返し、事業承継で新たなオーナーのもと、再出店しようと公庫に相談したという経緯があります。公庫としても実質店舗なしでの相談はレアケースだったようですが、私たち以外にも50社が買主として手を挙げていました。おそらく、16年という長期にわたる経営と食べログ百名店という実績が目を引いたのだと思います。
私たちは、お呼びがかかって選考を検討したのですが、まず、「どんな店なのだろう」と実店舗に様子を見に行きました。すると、雨の日にも関わらず、行列ができているんです。それを目にして「こんなに多くの人に愛されているお店は、残していかなければいけない」と、選考に臨むことに決めたんです。

-そして、選考で決まったと?

伊勢﨑:一度選考は漏れたのですが、 2ヶ月後に私たちと話をしたいと連絡がきました。話を聞いてみると、いくつかの企業さまと進めようとしていたけれど、なかなかうまく進まず、私たちに話が回ってきたようでした。多店舗経営をしていて、M&Aの経験も豊富であることも、信用をいただく決め手になっていたようですね。
M&Aで問題が起きやすいのは、買主と売主が互いにどこまで主導権を持つかという部分です。そこで、価格やメニュー構成など、さまざまな項目の主導権はどちらが持つのかという部分で決めごとを20項目ほど作って、面談に臨みました。結果的に、面談はスムーズに進み、代々木上原の好立地で店舗を構えることができました。互いの決めごとを守っていることで経営もスムーズで、実績もしっかり積み上げることができ、岩﨑さんにも喜んでもらえています。また、案件を進めていく中で実は岩﨑さん自身もずっと多店舗展開を考えていたことがわかったため、今後はそちらの方向に広げることも視野に入れています。それこそ、「うどん×居酒屋」や「うどん×イタリアン」といったように、私たちの積み上げてきた業態と掛け合わせた展開にも前向きでいてくれています。そういった、ottoと組むことでの付加価値を提供できたことは、この案件で一番良かったことだと思っています。

事業の継続からリブランディングまで。新たな価値を創出するM&Aを進めていく

-今後は、どのようなM&Aの展開を考えていますか?

伊勢﨑:基本的には、私たちにご相談があってから進めていくかどうかを決めていくような考えでいます。その中で、「価値ある事業の継続」、「新たな価値の創出」というふたつのテーマを大切にしながら案件を進めていく考えです。当初の目的を果たしたあと、オーナーさんが密かに抱いていた多店舗展開の展望も現実味を帯びた「讃岐饂飩 元喜」のように。わたしたちが後方支援をすることで、あらためてブランドのブラッシュアップを行うきっかけになり、オーナーさんが本当にやりたかったことを実現する手助けができればと考えています。

-それでは、最後に読者のみなさまに一言、メッセージをお願いします!

伊勢﨑:店舗や企業、ブランドの存続という局面で、M&Aは選択肢のひとつとして有効だと思います。しかし、それを良いものにするには、売主と買主がメリットとデメリット、リスクとリターン、すべてをオープンにしたうえで話を進めていく必要があります。飲食業に限らず、M&Aを検討する企業の抱える問題点は数字だけでは測れない部分に潜んでいるケースがほとんどです。私たち、買収を進める側にしてみると、あまりに条件が良すぎる案件は、逆に隠れた大きな問題があるように感じます。その数字が事実なら、M&Aを行う必要がない、という話になるからです。仮に点数をつけるならば、100点満点中70点くらいのオファーが理想で、残りの30点を私たちが埋めることで、その企業になかった新しい価値を創り出すことができると思います。もし、M&Aを検討している方がいらっしゃるならば、包み隠さずすべてをさらけ出してお話をしていただくことが何よりも重要であると思います。

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