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店舗を有効活用できるゴーストレストラン。最新事情とM&Aの動向を紹介

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2022年03月10日

店舗を有効活用できるゴーストレストラン。最新事情とM&Aの動向を紹介 画像素材:PIXTA

2021年のデリバリー市場は前年比27%増の7,975億円(NPD Japan, エヌピーディー・ジャパン調べ)となり、2019年比で91%増と2倍近く市場が膨らんでいます。飲食店の全売上高に占める割合は9.4%で、2019年の3.1%と比較するとその比率は大きくなりました。客数の減少が鮮明になった新常態において、デリバリー需要の獲得は欠かせないものになりました。

しかし、店舗の看板を掲げてUberEatsや出前館に登録したものの、想定していた売上水準の足元にも及ばない。そのような問題に直面する飲食店が多いのも事実です。デリバリーやゴーストレストランには独特のノウハウが存在します。この記事では、ゴーストレストランの最新事情とM&Aの動向を紹介します。

失敗するゴーストレストランとは?

ゴーストレストランは、実店舗を持たずにデリバリーのみで料理を提供するビジネスモデルです。もともとはニューヨークや中国を中心に人気を集めていたもので、既存の飲食店のキッチンをゴーストレストランの運営会社が間借りをし、デリバリーのみで商売するものでした。飲食店はアイドルタイムのキッチンを稼働させてその対価を得ることができ、ゴーストレストランの運営会社は設備投資を抑えて料理を提供することができました。

ポイントは、ゴーストレストランと飲食店の運営者が切り離されていた点です。これはWebを活用してデリバリー需要を獲得するノウハウと、飲食店の運営ノウハウは全く異なっていたことを示しています。

新型コロナウイルス感染拡大でデリバリー需要が膨張し、多くの飲食店がこの分野に参入しました。その際、飲食店運営の延長で看板料理をそのまま弁当化する事例が多数見受けられました。デリバリー売上の伸び悩みの多くは、発想の転換ができないことに起因しています。

知名度の高い大手企業も続々と参入

個人店がデリバリー需要を獲得しようと考えた場合、まったく別の業態・ブランドを立ち上げるくらいの意識が必要です。規模の大きな会社ですら、これまで育ててきた既存のブランドとは異なるゴーストレストランを続々と市場投入しています。

WDIは2020年6月にゴーストレストランブランド「WE COOK」を立ち上げ、「鰻 かぐら」や「タコライス☆ラバー」、「ハノハノキッチン」の名でUberEats上に店舗を展開しています。WDIは「カプリチョーザ」という圧倒的に知名度の高いブランドを抱えていますが、デリバリーニーズに沿った専門業態を新たに立ち上げました。厨房は研修で使っていた設備を活用し、会社全体の生産性を上げています。

きちりホールディングスは、2020年10月に植物肉原料を開発するDAIZと資本業務提携契約を締結し、ゴーストレストラン「XMEAT」で植物肉「ミラクルミート」を採用した料理の提供を開始しました。カジュアルダイニング「KICHIRI」の路線とは異なり、食生活や健康への配慮、価値観の多様化に対応する新たなブランドを展開しました。

2社に共通しているのは、ニッチな分野に特化している点です。これは需要が大きいピザやハンバーガー、寿司などは強力なブランドがひしめいており、目的型消費のニーズを拾おうとしているためです。専門店化、ニッチ需要の獲得はゴーストレストランを成功させる要因の一つでもあります。

設備の貸し出しを仲介するプラットフォームも登場

ゴーストレストラン運営者向けにキッチンの提供を始めたのが出前館です。2020年11月、東京都江東区に厨房設備や自動検温システム、勤怠システムなどを備えたシェアリングデリバリー拠点を設けました。月額18万円でゴーストレストラン事業者に貸し出しています。

会議室の貸し借りを仲介するプラットフォームを提供するスペースマーケットは、2020年6月USEN-NEXT GROUPと連携し、飲食店の空き時間を貸したい人と借りたい人のマッチングを行うサービスを開始しました。スペースマーケットのアンケート調査によると、アイドルタイムの厨房設備をゴーストレストランとして使ってほしいと考えている飲食店オーナーは21.1%に上っています。

店舗を貸し出すという選択も、ゴーストレストランのビジネスを考える上で欠かせません。

店舗を有効活用できるゴーストレストラン。最新事情とM&Aの動向を紹介 画像素材:PIXTA

主なM&Aは?

「丸亀製麺」のトリドールホールディングスは2020年5月に「Ghost Kitchens」を運営するゴーストレストラン研究所に出資しました。同社は「すーぷのあるせいかつ」「きょうだけはゆるして!」「グレートチキンパワーズ」などの名でデリバリー専門店を展開しています。

トリドールは2015年4月に外食企業として初めてのCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を立ち上げていました。CVCは事業会社が本業との相乗効果を得るために運営されるもので、この出資は将来的なリターンを期待するだけでなく、本業とのシナジー効果を狙ったものと考えられます。

SNS運用支援のガイアックスは、2021年7月にゴーストレストランのGRCと資本業務提携に合意したと発表しました。GRCはゴーストレストランの専門家を抱えており、不動産オーナーなどにコンサルティングを行っています。ガイアックスは2021年4月に韓国クラウドキッチン企業と合弁会社WECOOK Japanを設立し、ゴーストレストラン事業に参入していました。資本提携は事業を本格化させる狙いがあります。

投資ファンド、CLSAキャピタルパートナーズは自社が組成した日本企業特化型ファンドであるサンライズ・キャピタルを通じて、2021年8月SBICに出資しました。SBICは「宅配とんかつ専門店 かさねや」を中心に、複数の宅配専門業態を運営しています。CLSA買収後も経営者や運営方針、社名に変更はありません。CLSAは買収後もオーナー社長を会社に残し、IPOを目指す二段階エグジットと呼ばれる手法を得意としている投資ファンドです。今回の買収により、SBICは事業を大きく飛躍させる可能性があります。

ゴーストレストランのM&Aは今が旬?

ゴーストレストランはデリバリー市場の盛り上がりを背景として、注目を集めています。すでに市場で知名度を獲得している会社は高値で売却できるタイミングとも言えます。

デリバリー需要がこの先伸び続けるかどうかは不透明で、コロナ収束と共に頭打ちになる可能性があります。参入障壁が低く、人気業態を模倣しやすいため、レッドオーシャンになりやすい市場でもあります。ブランド力を磨いてきた会社でも、競争力を失いかねません。

ゴーストレストランで収益化できている会社は、資金力や提携先が多くある企業の傘下に入り、FC化による次なる成長ステージへと進められる可能性もあります。

買い手にとっても、即時デリバリーの収益化ができる点はメリットが高いです。今後、時短協力金なしでの店舗経営は避けられず、客数が完全回復しない可能性は十分に考えられます。その備えとしても有効です。

ゴーストレストランで何を実現するのかを明確に

一口にゴーストレストランと言っても、自前でブランドを立ち上げるだけが参入方法ではありません。厨房の貸し出し、FCへの加盟、ブランドの買収など、さまざまな方法があります。運営する店舗の課題を解決するためには何が有効なのかを明確にし、その手段を選んでください。

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